
今年のある寒い1月の朝、僕は風の強い道路をコネチカットの北へと向かっていた。僕は緊張していた・・・運転してるのが僕だったからって訳だけじゃなくて(だって僕はひどいドライバーだから)、この小旅行がただ人に会うというより巡礼に近いと感じていたからなんだ。散々迷ったあげく辿り着いたのは、人里離れた鬱蒼とした森の中の控えめにペイントされた木造の家だった。「かいじゅうたちのいるところ」の絵本作家モーリス・センダックの家に着いたんだ。家の中に入ると、そこにはパジャマ姿でダイニングテーブルに座り大声で電話をしている小柄な老人が居た。僕が自己紹介をすると彼は僕を優しく見、微笑んだー「君はとても若い...私は82歳だ。そこに座りたまえ。」
その後の3時間、僕は自分の人生に最大の創造的インスピレーションを与えて来た人物の内の1人の生活を垣間見ることが出来た。センダックは「かいじゅうたちのいるところ」で有名だが、100以上の本にイラストを描いている。彼の絵は他の絵本やイラストレーションへ大きな影響を与えて来た、ノーマン・ロックウェルが広告イラストレーションの世界でそうであった様に。彼は彼のアシスタントと友人と暮らし、訪ねてくる者に寛容だが、どちらかと言えば仕事をしシューベルトを聞く方が好きらしい。彼は寝室と仕事場を兼ねた部屋で暮らし、絶え間なく働き、彼のヒーローであるウィリアム・ブレイクやキーツと同様の素晴らしい作品を残すことに相当な情熱を傾けているようだった。
もし僕が音楽で生活していなかったらイラストレーターになっていたかもしれない。イラストを描く事はポップミュージックを作る事と良く似ている。ポップミュージックの歌詞とメロディーはダイレクトにリスナーに訴える物でなければならない。最小限のシンプルな要素で何か説明の出来ない様な作品が出来た時、それが最も素晴らしい結果をもたらすんだ。イラストレーションも同じなんだ、シンプルな線でそのイメージは直感的に理解出来る作品、でも実はルーブルにある絵画と同じくらいスキルを必要とする。この面において、センダックはアート界のビートルズなんだ。
センダックと座っていると彼のキャラクターの1人と座っている様な気分になる。小柄で表情豊かで顔の大きい、一言ジョークの好きなキャラクター。彼は奇妙な皮肉屋でいて芸術と音楽への畏敬の念も持ち合わせる。それが彼を子供っぽく見せている。彼のユダヤっぽさは強調されていて、たまに声を張り上げて芝居がかったイディッシュを少し喋ったりする。大抵の人は自分たちが子供の頃影響を受けた数々の作品が1940年代の、東欧のアーティスト(特にユダヤ系)だってことに気がついていない。戦争と政治的混乱から逃げ出すために数多くのアーティストがアメリカに移住した。彼らは絵を描くことで生きていけない事を知り、成長著しい出版業界に未来を見つけた。高品質カラー印刷の発達で本や雑誌が溢れ、色鮮やかなイラストが必要になったんだ。移民のアーティスト達がそれを担った。イラストはダイレクトでポップだけど(出版社の方針だ)、彼らはそこに熟練と洗練を与えたんだ。ディズニーが雇ったグスタフ・テングレンやティボル・ゲルゲイといったアーティスト達を筆頭に、彼らの多くがディズニーの初の長編アニメ「白雪姫」を含むディズニーのクラシック作品の複雑なビジュアルを作り出して行った。
そんなアーティスト達の一部の憤りは不当じゃなかった。彼らの多くは長らくポップカルチャーの縁の下の力持ちに甘んじ、ファインアート界から無視され、低賃金だった。そんな時代から180度世の中は変わった。僕は学校から追放された後、11歳で最初の仕事を得た。でも読み書き出来なかったから、母は僕に新しいスタートを与えるべく1年近く通常の教育から僕を遠ざけた。その期間、僕は歌を習い、ピアノを習い、絵本を眺めた。絵の方が文章より遥かに重要だったから、そこから僕のイラストへの執着が始まったんだ。数年後、僕はなんとか初めてお金を貯める事に成功し、そのお金を全部僕の最初のイラスト購入に使った。それはジム・ウードリング(アメリカのコミック作家、ポップアートととしての評価も高い)の水彩だった。フランクって言うウサギの絵で、フランクはドラッグ、セックス、不安、幸福と恐怖なんだ。唯一重要なのはね、フランクはしゃべらない。彼のコミックに台詞は無いし、彼は作り物の超現実主義のファンタジーワールドの住民なんだ。とにかく、この感情は未だ彼のイラストから伝わってくるし、明確でもある。フランクはデストロイヤー。でも僕の両親は理解出来ない様だった。フランクのイラストは300ドルで、その頃の僕には大金さ、しかしそれが終わりじゃなかった。その後も僕はお金が貯まれば欲しい作品を見つけていた。17歳の時には既にオンラインでイラストの売り買いをしていた。この趣味は大抵友人達には秘密で、リスクが伴う事を知られるのが恥ずかしかった。でも僕だけじゃなかった、イラストレーションとともに育って来たすべての世代はイラストを簡単に捨てられる様な代物と見なす事を拒否したんだ。テングレンやゲルゲイの作品はかつてただ同然だったけど、今じゃ10万ドル以上の値が付けられている。彼ら墓の中でどんな気分で居るだろう!
その後の3時間、僕は自分の人生に最大の創造的インスピレーションを与えて来た人物の内の1人の生活を垣間見ることが出来た。センダックは「かいじゅうたちのいるところ」で有名だが、100以上の本にイラストを描いている。彼の絵は他の絵本やイラストレーションへ大きな影響を与えて来た、ノーマン・ロックウェルが広告イラストレーションの世界でそうであった様に。彼は彼のアシスタントと友人と暮らし、訪ねてくる者に寛容だが、どちらかと言えば仕事をしシューベルトを聞く方が好きらしい。彼は寝室と仕事場を兼ねた部屋で暮らし、絶え間なく働き、彼のヒーローであるウィリアム・ブレイクやキーツと同様の素晴らしい作品を残すことに相当な情熱を傾けているようだった。
もし僕が音楽で生活していなかったらイラストレーターになっていたかもしれない。イラストを描く事はポップミュージックを作る事と良く似ている。ポップミュージックの歌詞とメロディーはダイレクトにリスナーに訴える物でなければならない。最小限のシンプルな要素で何か説明の出来ない様な作品が出来た時、それが最も素晴らしい結果をもたらすんだ。イラストレーションも同じなんだ、シンプルな線でそのイメージは直感的に理解出来る作品、でも実はルーブルにある絵画と同じくらいスキルを必要とする。この面において、センダックはアート界のビートルズなんだ。
センダックと座っていると彼のキャラクターの1人と座っている様な気分になる。小柄で表情豊かで顔の大きい、一言ジョークの好きなキャラクター。彼は奇妙な皮肉屋でいて芸術と音楽への畏敬の念も持ち合わせる。それが彼を子供っぽく見せている。彼のユダヤっぽさは強調されていて、たまに声を張り上げて芝居がかったイディッシュを少し喋ったりする。大抵の人は自分たちが子供の頃影響を受けた数々の作品が1940年代の、東欧のアーティスト(特にユダヤ系)だってことに気がついていない。戦争と政治的混乱から逃げ出すために数多くのアーティストがアメリカに移住した。彼らは絵を描くことで生きていけない事を知り、成長著しい出版業界に未来を見つけた。高品質カラー印刷の発達で本や雑誌が溢れ、色鮮やかなイラストが必要になったんだ。移民のアーティスト達がそれを担った。イラストはダイレクトでポップだけど(出版社の方針だ)、彼らはそこに熟練と洗練を与えたんだ。ディズニーが雇ったグスタフ・テングレンやティボル・ゲルゲイといったアーティスト達を筆頭に、彼らの多くがディズニーの初の長編アニメ「白雪姫」を含むディズニーのクラシック作品の複雑なビジュアルを作り出して行った。
そんなアーティスト達の一部の憤りは不当じゃなかった。彼らの多くは長らくポップカルチャーの縁の下の力持ちに甘んじ、ファインアート界から無視され、低賃金だった。そんな時代から180度世の中は変わった。僕は学校から追放された後、11歳で最初の仕事を得た。でも読み書き出来なかったから、母は僕に新しいスタートを与えるべく1年近く通常の教育から僕を遠ざけた。その期間、僕は歌を習い、ピアノを習い、絵本を眺めた。絵の方が文章より遥かに重要だったから、そこから僕のイラストへの執着が始まったんだ。数年後、僕はなんとか初めてお金を貯める事に成功し、そのお金を全部僕の最初のイラスト購入に使った。それはジム・ウードリング(アメリカのコミック作家、ポップアートととしての評価も高い)の水彩だった。フランクって言うウサギの絵で、フランクはドラッグ、セックス、不安、幸福と恐怖なんだ。唯一重要なのはね、フランクはしゃべらない。彼のコミックに台詞は無いし、彼は作り物の超現実主義のファンタジーワールドの住民なんだ。とにかく、この感情は未だ彼のイラストから伝わってくるし、明確でもある。フランクはデストロイヤー。でも僕の両親は理解出来ない様だった。フランクのイラストは300ドルで、その頃の僕には大金さ、しかしそれが終わりじゃなかった。その後も僕はお金が貯まれば欲しい作品を見つけていた。17歳の時には既にオンラインでイラストの売り買いをしていた。この趣味は大抵友人達には秘密で、リスクが伴う事を知られるのが恥ずかしかった。でも僕だけじゃなかった、イラストレーションとともに育って来たすべての世代はイラストを簡単に捨てられる様な代物と見なす事を拒否したんだ。テングレンやゲルゲイの作品はかつてただ同然だったけど、今じゃ10万ドル以上の値が付けられている。彼ら墓の中でどんな気分で居るだろう!
ステキな日本語訳ありがとうございます!
今回のエッセイはMIKAらしさが詰まってて、改めてMIKAの魅力に引き込まれました。
日本語で読めたことに感謝です<m(__)m>
再来週、韓国のライブに行ってきます!
ptdさまは行かれますか!?
毎回彼のエッセイは知的で奥が深いですよね!博学なんですね。
韓国のライブ、いいですねええ・・・
行きたいなあ!
でも行けないんです残念!
楽しんで来てくださいね!