ORGANIC STONE

私達は地球を構成する生命を持った石に過ぎないのですから。

肉屋の兄ちゃんみたいなイタリア語を話す男MIKAエッセイ (June.2013)

2013-08-01 11:38:03 | 音楽:MIKA
My Sicilian teacher says I speak Italian like a butcher

東京の一番高いビルの52階で、イザベラは失望で手に顔をうずめた。彼女は僕の使うイタリア語のボキャブラリが酷くて肉屋の店員みたいだって言う。僕は肉屋みたいじゃない、ニューヨーカーみたいに話してるんだって彼女の誤りを正してやった。彼女は呆れたように目玉を回すと付け加えた、酷く乱暴なイタリア語を話すだけじゃなくてスペイン大使の妻みたいなアクセントも持っている生徒に教えるのは初めてだ、と。僕はそうかい、だったらシシリアの気取り屋を雇うべきじゃなかった、と返す。これがいつものイタリア語のレッスンで、僕の最近の日常。僕は2カ月でイタリア語をマスターしようと努力している。イタリア語を始めたのが去年の10月、そして今度の生放送のイタリア版Xファクターの審査員をすることでこの新しいスキルをテストされることになる。もしこれが外国語を習う十分な動機にならなかったら他に何が動機になるって言うんだ?

去年の12月、3度目のイタリア版Xファクター出演の後で興奮気味のプロデューサーから審査員をやってみる気はないかと尋ねられた。僕は笑い、彼女ジョークを言ってるのか、さもなきゃ頭が完全に狂ってると思った・・・だから答えを保留した。その後、彼女は本気で、僕のマネージメントが驚いたことに僕はその申し出を受けることにした。僕のマネージャーは僕がオーディション番組の審査員をするなんて信じられないようだった(僕は既にいくつかの国の番組からオファーを受けてすべて断ってきた)し、しかもイタリア語でだよ?理由はシンプルなんだ、僕はここ数年仕事でイタリアという国にかかわることが多かったし、仕事以外でイタリアで過ごすことも多かった。イタリア版Xファクターは他の似たような番組に比べると制約が緩くリラックスした雰囲気を感じていた。イタリアの40年代から続く伝統的な歌謡コンテストとタレントの素質、これが番組に合っているのだと思う。期日までにイタリア語をマスターしなきゃならないっていう事も重要な要素だった。それが僕が気違いじみたチャレンジを始め、24歳のイタリア語教師をツアーで世界中を回る間も連れ回している理由だ。

結果はどうなるだろう?まだ分からないけれど、自分がこの状況を可能な限り楽しもうとしていることは知っている。ちょっとジェットコースターみたいな感じ。今コースターのトップへあがる前の退屈なところで上がりきった後どうなるか怖い・・・でもこのまま進み続ける。終わりのないボキャブラリと文法のレッスンは力士に頭を足で締めつけられてるみたいな気分だし、イザベラっていう重要人物を憎み始めてる。昨夜時差ぼけのせいで悪夢を見たんだ。夢で僕が居たのはジャカルタへ行く前に泊ったホテルのロビー、そこにはインドネシア人の子供がたくさん走り回っていて保母がドイツ語で叫び始める。その保母がこちらを向くとそれはシモーナ・ベンチュラで子供たちは全員凍りついたように動かなくなる。彼女は完ぺきなへアスタイルで、全身をプラダで決めダイヤモンドのジュエリーを着け、これまで見たこともないほど最も魅力的な保母だった。彼女は僕にドイツ語で話しかけ僕はそれに自分でも理解できないスペイン語で答えていた。僕はちょっと気が狂いかけているのかもしれない。実際は番組収録ではシモーナはとても僕に良くしてくれて、一番良く話をした審査員の一人だったのに。

僕は獣みたいなイタリア語を話したくない。上手に話せるようになりたい。イザベラは僕のスペイン大使ワイフ風アクセントは直せるって言ってくれたけど・・それがどういう意味であれ。

元記事:
http://xl.repubblica.it/articoli/mika-pop-up-xl-87-english-version-my-sicilian-teacher-says-i-speak-italian-like-a-butcher/3717/

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