0時過ぎ、家族も寝静まったリビングで、テレビもつけず、ご飯を食べることに、私は独りを感じざる得ない状況で、たた栄養を摂取する為に、黙々と冷えたご飯を口に運ぶのであった。
12時間振りに口にする食事は、味という概念は無くなり、そこにはただ時間という概念しかなく、時計の秒針の音だけが、静寂(しじま)の底から聞こえてくるのであった。
楽しい食事とはどういったものだったのか?
美味しい食事とはどういったものだったのか?
私は記憶の片隅にある、理想の食事を引っ張りだしてみたのの、それが正確な記憶だったのかさえ、曖昧であった。
カラン
と、静かなリビングに烏龍茶のグラスの氷が音を立てる。
「1時か」
うなだれた様子で、食器を洗い、洗面台に立つ。
鏡には仕事と人生に疲れた男の顔があった。
「なんて顔してやがる」
かつて幸せを手にいれたはずの男の顔は、草臥(くたび)れており、年齢を重ねた顔はどこか心が病んで、泣けてくるようだ。
明日をも生きているのかどうかと思うほど、今の世界に興味が無かった。
生きていることに意味があるとすれば、それは死んでいないということだけだった。
過去の記憶を辿ることもあるが、楽しいことだけではない。
辛いことの方がたくさんあったと感じた。
だからといって、自分自身が悲劇の主人公を演じてるわけでもなかった。
周りからそう見られることに嫌気になってくるからだ。
あくまでこれが私の道。
人の業を背負って尚、歩いてきたのだ。
ここ数年泣いたことがない。
感情が欠如しているのだろうか。
ただ生きるのも世知辛い世の中で、どこか壊れてしまったのだろうか。
だとしたら、何を以ってして治すことができるのか。
私が医者であったなら、それを治すことができるのだろうか。
私が看護師であったなら、あの時、ひとつの命を救えたのだろうか。
教えておくれ。
この薄汚れた両手で、まだ何かできるのか。
教えておくれ。
後悔をしない生き方を。
教えておくれ。
悲しみを両手で優しく包み込む方法を。
12時間振りに口にする食事は、味という概念は無くなり、そこにはただ時間という概念しかなく、時計の秒針の音だけが、静寂(しじま)の底から聞こえてくるのであった。
楽しい食事とはどういったものだったのか?
美味しい食事とはどういったものだったのか?
私は記憶の片隅にある、理想の食事を引っ張りだしてみたのの、それが正確な記憶だったのかさえ、曖昧であった。
カラン
と、静かなリビングに烏龍茶のグラスの氷が音を立てる。
「1時か」
うなだれた様子で、食器を洗い、洗面台に立つ。
鏡には仕事と人生に疲れた男の顔があった。
「なんて顔してやがる」
かつて幸せを手にいれたはずの男の顔は、草臥(くたび)れており、年齢を重ねた顔はどこか心が病んで、泣けてくるようだ。
明日をも生きているのかどうかと思うほど、今の世界に興味が無かった。
生きていることに意味があるとすれば、それは死んでいないということだけだった。
過去の記憶を辿ることもあるが、楽しいことだけではない。
辛いことの方がたくさんあったと感じた。
だからといって、自分自身が悲劇の主人公を演じてるわけでもなかった。
周りからそう見られることに嫌気になってくるからだ。
あくまでこれが私の道。
人の業を背負って尚、歩いてきたのだ。
ここ数年泣いたことがない。
感情が欠如しているのだろうか。
ただ生きるのも世知辛い世の中で、どこか壊れてしまったのだろうか。
だとしたら、何を以ってして治すことができるのか。
私が医者であったなら、それを治すことができるのだろうか。
私が看護師であったなら、あの時、ひとつの命を救えたのだろうか。
教えておくれ。
この薄汚れた両手で、まだ何かできるのか。
教えておくれ。
後悔をしない生き方を。
教えておくれ。
悲しみを両手で優しく包み込む方法を。