海獣学者、クジラを解剖する。 海の哺乳類の死体が教えてくれること
田島木綿子著
鯨など海獣の死体を解剖すると胃の中からプラスチックが発見される。
そのプラスチックが海獣をしに至らしめていることは知っていた。
しかし本書ではもう一つ海洋プラスチック汚染の怖さが書いてある。
それが「POPs」
POPsとは、難分解性、高蓄積性、長距離移動性、有害性(人の健康・生態系)を持つ物質のこと。
海洋を漂うプラスチック片には、残留性有機汚染物質「POPs(Persistent Organic Pollutants)」が吸着し、濃縮することがわかっているのだ。
そのプラスチック片を誤食した海獣はPOPsが体内に高濃度に蓄積される。
すると免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなったり、発がんや内分泌機能の異常(甲状腺、副腎、下垂体から成長ホルモンや性ホルモンを正常に分泌できなくなる)などにもつながる可能性が示されている。
実際に、国内でストランディングした海の哺乳類のうち、POPsが体内に高濃度に蓄積した個体では、健康な個体では通常かからない感染症(日和見感染症)にかかっているものもいる。
また、現在知られているPOPsは油に溶けやすいため母乳を介して子供に与えられる。
子供が単独でストランディングする要因はPOPsが原因の一つではないかと考えられている。
(海の哺乳類が何らかの理由で陸へ打ち上げられ、自力では海へ戻れなくなった状態を、ストランディングといい、日本語では「漂着する」「座礁する」と訳されることが多い)
POPsの由来となり物質の一つに難燃剤がある。
プラスチックを燃えにくくする添加剤だ。
ポリ袋にも難燃剤を転嫁する場合がるようで、以前、難燃剤入りのポリ袋に関する問い合わせを受けたことがある。
私にはそのような高度なポリ袋を取り扱う知識はないのでお断りした。
ポリエチレンは無味無臭、安全性が高いため、食品、医薬品分野で使用される。
しかしポリエチレンはPOPsを吸着する力が強い。
だからレジ袋やポリ袋を海洋に出してはいけない。
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