ぽん引きをフィリピン語で(Bugaw ブガウ)と言います。
物売りからおねーちゃん臨時斡旋業、カラオケのフリーランス呼び込みはじめ称してこのように言われます。
お断り。そのような方に向かって決していいませぬよう。
なぜか。当人たちは生活をかけ職業としてやっていてプライドがあります。
支署の警察官と仲の良い者も多く、あらぬことを理由に侮辱罪で訴えられたりします。
久しぶりにマラテへ出かけ、マクドナルドのあるマラテ通りとペドロヒル通りの交差点で、ばったりとバイアグラ売りのボスと会いました。
顔見た途端。両手を上にして
「ボス、俺はもうこの街から田舎へ帰るよ」
・指名手配にでもなったのかい・
「違うなマネー」
・奥さんに逃げられたのか?
「違うんですよ」
・この街はお前のナワバリだよ。それを捨てて田舎へ帰るんでしょう。ポリスの上納金が足りなくて追われてるのか?
「追われていればここに居ないデバ」
からかあっているうちに
「コロナが終わって、バイアグラたくさんかっただよ。でも売れない。お客さんいないだからね。日本人のお年寄り沢山くれば、1日100個は軽く売れていて、俺の子分から売り上げの4割もらえたんだけど、今はまったくダメ。コンビニに放火したい気持ちだ」
・今、ステーション5へ電話するから。
「ボスどうして電話するの?」
・ここにコンビニに放火すると言っているブガウがいますって。
「アノバイヤン!だってねコンビニでROBUST 180ペソだよ。しかも2粒入って。私の偽物バイアグラ4粒で1000ペソ。高いと言われて500ペソ。まったく売れない。悔しいデバ」
・安く売ればいいじゃない
「ダメダメ。今のお客さんみんな言うだから。あなたたちのバイアグラ危ない。すぐに頭が痛くなってしまう」
・危ないもの相変わらず売ってんだね
「ここでバイアグラを売り出して20年だよ。アラブ、ヨーロッパ、アメリカ、もちろん日本人。特に日本人のおじいちゃんは孫連れて遊んでいるからたくさん買うんだよ。日本へお土産と言って2万円分くらい買って帰った。今はワラ(ないという意味)」
・随分儲けたでしょう。妾を何人も作るからいけないの
「エクスキュースミーボス。妾じゃないよ。みんな奥さんだよ」
・そうだねあなた方の信じている宗教は5人ももてるんだったね
「そうですよ。でも今は一人になった。でもこのままだと誰もいなくなるな」
・なんでもまた?
「収入がない。在庫もいっぱいあるけど売れない。田舎のカーチャンの所へ帰るかな」
・そんなに売れないの?
「売れない。それよりこの街見て分かるでしょう。いるのは、フィリピン人とポン引き、乞食だけ。外人はたまに。声かけると怒られるよ。夜もダメ。カラオケのポン引きの方が多い。外国人は昔の3割くらいしかいない。居る外国人は、韓国人とインチェック(中国人)。でもみなさんベテランや在住者なのでひっかからない」
・あんたのその顔はもう見たくないほど落ち込んでるね。
「お金がないから、交通費あるうちにサンボアンガへ帰る」
・現実だね
「両替屋も全然ダメ。家賃払うとなんとかご飯が食べれる程度」
「ボス俺本当にお腹空いてるだからマクド買って」
・お前さんは相変わらずだね。今日は奥さん一人と言ったから2個だな。
「一個だけ」
・昔は子供が可哀想とか言って5個買ってやると、お前さん周りのブガウに売って、安いパン買って金残してたでしょう
「今は真面目だからね」
確かに見るからにきつそうでした。
縄張りを持っているだけに、そこそこの格好をしていたのですが、薄汚れたTシャツを着て何とも言い難い格好で
サンアンドレス方向へ帰って行きました。
両替商の前にたくさん屯していたブガウも今ではほとんど見なくなりました。
コロナの影響というのか、フィリピンにはいまだ外国人にとって安心感がない国なのだと思います。
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