先の見えない天国002

貧困は、今日世界が直面している大きな問題の一つです。

フィリピンでは、貧困は根強い課題の一つとなっている。フィリピンの経済成長は、貧困層に有利なものではなく（低所得層に持続可能な雇用を提供できない）、包摂的でもありませんでした（社会的および環境的格差を縮小できない）。

貧困が根強く残るもう一つの理由として、フィリピンの人口増加率が東南アジアで最も高いことが挙げられます。


多くの人にとって、貧困は主に経済的、物質的、政治的、社会的、精神的な問題です。しかし、福音派のキリスト教徒にとって、貧困は精神的な問題としても捉えられるべきです。総合的な開発の枠組みでは、経済的、心理的、社会的、精神的な 4 種類の貧困があり、それに対応する 4 種類の開発、つまり経済的、心理的、社会的、精神的な開発が必要です。4 種類の貧困は相互に関連しているから、4 種類の開発も統合されるべきであると主張しています。したがって、総合的な開発とは、貧しい人々の経済的、心理的、社会的、精神的な開発であり、その結果としてシャロームがもたらされます。

福音派キリスト教会や信仰に基づく非政府組織 (NGO) が目に見える形で存在しているにもかかわらず、この巨大都市では貧困が依然として重大な問題となっているからです。貧困は世界中の主要都市で驚くべき速度で増加していますが、メトロマニラではさらにその傾向が顕著です。フィリピンの人口の約 5 分の 1 が依然として貧困ライン以下の生活をしていることは憂慮すべきことです。

フィリピンのマニラ首都圏の貧困問題に対する福音派キリスト教会、NGO、国際NGOの対応の有効性です。全人類に対するイエスの総合的な救いの愛を信じているとされる福音派キリスト教徒は、フィリピンの貧困への対応で目立っていますが、彼らは貧困者の総合的な発展にどれほどの影響を与えているのでしょうか。長年にわたる福音派キリスト教徒の貧困への対応は目に見える形で現れているにもかかわらず、なぜ貧困はフィリピンのマニラ首都圏で依然として重大な問題の一つなのでしょうか。

 

貧困と発展の4つのタイプ

 貧困をあらゆる意味で理解することは重要である。なぜなら、貧困に対する人々の反応は、通常、その言葉の理解の仕方によって決まるからである。フィリピンでは、福音派キリスト教徒が貧困への対応に目立っており、彼らの貧困緩和活動の多くは、貧困者の経済的、精神的発展に焦点を当てている。マニラ首都圏の福音派牧師へのインタビューから、福音派キリスト教指導者のうち、心理的ニーズを理解している者はごくわずかで、社会的ニーズを理解している者は一人もいないことが明らかである。彼らの貧困への対応プログラムやサービスは、主に貧困の経済的、精神的側面に焦点を当てていると推定される。しかし、心理的貧困と社会的貧困は、貧困者が発展を必要とする同じくらい重要な分野であり、これらは貧困者の経済的、精神的発展に影響を与える。

 

経済的貧困

これは貧困の最も一般的な理解です。貧困とは、人が生きていくために最低限必要なものさえ買えない状況です。汚いスラム街、路上の物乞い、お腹が張った赤ちゃん、不毛の畑、電気も水道もトイレもないことは、貧困の目に見える兆候です。しかし、すぐには見えない他の形の貧困もあるかもしれません。経済的な貧困は通常、人の心理的、社会的、精神的な側面に影響を及ぼします。

 

精神的な貧困

人々が神の前で不完全な状態を経験し、必要性、不完全さ、依存の感情を抱くと、圧倒されてしまうことがよくあります。福音派のキリスト教徒にとって、精神的な必要を満たすことは最優先事項です。ルース・カランタは著書『アジアの教会と貧困』の中で、次のように書いています。

世俗的な開発は、個人の物質的側面には対処しますが、精神的側面には対処しません。その結果、全体性に必要な価値観（神の意志に従うことから生じる正しい優先順位、正しい決定、正しい行動）が育まれませんでした。キリスト教的価値観のこの顕著な欠如は、開発プロジェクトに資源が投入されているにもかかわらず、貧しい人々が肉体的にも精神的にも貧しいままであるという状況をもたらしました。 

 

心理的貧困

自分は貧しく、これからも貧しくあり続けるだろうと信じる傾向のある人々の考え方は、心理的貧困の一形態です。これは、神の似姿としての自分のアイデンティティを正しく理解し、神から与えられた能力を正しく見なし、神の資源を正しく見なす必要があることを示しています。ビオレタ・ビジャロマン・バウティスタは、貧困者の総合的な発展には、単に物質的なニーズを満たす以上のものが必要であると主張しています。彼女は、フィリピンの福音派キリスト教徒が貧困者の心理的ニーズに応える必要があることを強調しています。彼女は次のように書いています。

「個人、人間関係、家族のケアと発展を目的としたプログラム、いわゆる心理プログラムが、コミュニティ活動の重要な要素です。これらは、社会開発プログラムの安定化を強化または促進する介入変数として機能します」。

 

社会的貧困

この形態の貧困は関係性の貧困とも理解されており、人々が幸福に生きるために必要な他者とのつながりが著しく欠如していることを示しています。ブライアント・マイヤーズは、貧困は主に関係性によるものであり、その原因は主に精神的なものだと主張しています。

貧しい人々が貧しいのは、主に彼らの幸福に役立たない人間関係のネットワークの中で暮らしているからである。貧しい人々の生活の中で「神」を演じている非貧困層が原因で、彼らと他の人々との関係は抑圧的で無力なものとなることが多い。貧困の苦しみと永続的な無力感のせいで、彼ら自身の人間関係は縮小し衰弱している。彼らが「他の人々」と呼ぶ人々との関係は疎外感として感じられる。貧困のために環境を気にかける余地がないため、彼らと環境との関係はますます生産的ではなくなる。彼らを創造し、彼らの命を支える神との関係は、神がどのような存在であるか、そして神が全人類に何を望んでいるかについての不十分な知識によって歪められている。

福音派キリスト教の教会、NGO、国際NGOの大半は、貧困者の物質的ニーズを満たし、福音を伝えることに重点をおいてきました。彼らは貧困者の肉体的、精神的発達に対応するために多大な努力を払ってきましたが、私の調査によると、貧困者の社会的、精神的発達に意図的に取り組んでいる団体はごくわずかです。貧困者を総合的に発達させるという目標を達成するためには、福音派キリスト教の貧困への対応は、身体的、心理的、社会的、精神的の4つの発達領域すべてにおいて意図的である必要があります。