シリーズ平成の本音 田中防衛相のこの時期の問責は国益か??
野党自民党他3党は、田中直紀防衛相と前田国交相に対し問責決議を提出する意向だ。前田国交相への問責は、市長選に伴う公職選挙法違反の疑いであるので立法者である国会の判断に委ねられても仕方ない。
しかし田中防衛相への問責決議は、朝鮮半島が緊張の度が高まっている現在、日本の安全確保、ひいては国益に沿うのだろうか。金正恩体制の下で北朝鮮は、軍事転用可能なロケット発射実験を失敗とは言え実施し、またこれに対する国連安保理議長声明による非難と自制要請に対し北朝鮮が従来のシナリオ通り反発し、食料支援の見返りとして約束したウラン濃縮の停止などの米朝合意を破棄するとして緊張を高めている。
確かに同相の就任直後の言動は頼りなく映る。しかし旧自民党政権時代においても、大臣が派閥順送りで頻繁に交代し、“急に拝命した、就任後勉強したい”などの発言が就任会見で連発されていたと言われている。それで良いとは言えないが、民主党は始めての政権担当であり、閣僚経験者はほとんどいない状態で発足しているので、健全な2大政党を育てるという観点からは、若干の習熟期間を与えても仕方ないのであろう。自・公政権の下でも、小池防衛相が事務次官との確執で2ヶ月も持たなかったこともある。
北朝鮮のロケット発射実験は、気象衛星打ち上げとしており、今回は打ち上げの方向も日本本土上空を避け、南太平洋に向けて行われたもので、軍事転用可能であるためミサイル発射と一部に報道され、危機を煽る結果となっていたが、切り離したロケット部分が屋久島周辺に落下する危険性があり、安全対策が課題となっていた。4月13日午前7時40分頃に発射されたが、日本政府の発表が40分以上後となり、その原因や責任が問われている。発射直後に米国より情報を得ており、防衛庁の現地配備地に伝えられ、万一の場合の落下物の破壊体制は整っていたので、安全対策上はまず問題はなかったと言える。
一方現地住民や国民への公表については、米国よりの情報は機密性の高い軍事情報であり、日本独自の一次情報ではないので、韓国よりは距離的に余裕がある日本としての情報確認が必要であることは当然であろう。防衛庁内の情報収集部局の役割や情報の性格などにより、公表が遅れたようであるが、それは防衛庁内の事務体制の問題であり、一義的に大臣の責任を問う問題ではなさそうだ。旧政権でも同じような事は起ったであろう。
野田政権で国家、国民の安全を担う防衛相が問責を受けるのは2度目であり、ましてやまた辞任ということになれば諸外国に与えるマイナス・イメージは非常に大きく、日本の安全、ひいては国益を大きく害する恐れがある。こんなことを繰り返して何のためになるのか。
対外的な緊急時や非常事態時においては、不備などを相互にカバーしながら国家、国民が団結して乗り切ることが大切であり、そのような政治的な英知や判断が強く望まれる。敵失やネガテイヴ・キャンベーンのみで政権を攻撃しても、国民の信頼を得ることは出来ない。(2012.03.27.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
野党自民党他3党は、田中直紀防衛相と前田国交相に対し問責決議を提出する意向だ。前田国交相への問責は、市長選に伴う公職選挙法違反の疑いであるので立法者である国会の判断に委ねられても仕方ない。
しかし田中防衛相への問責決議は、朝鮮半島が緊張の度が高まっている現在、日本の安全確保、ひいては国益に沿うのだろうか。金正恩体制の下で北朝鮮は、軍事転用可能なロケット発射実験を失敗とは言え実施し、またこれに対する国連安保理議長声明による非難と自制要請に対し北朝鮮が従来のシナリオ通り反発し、食料支援の見返りとして約束したウラン濃縮の停止などの米朝合意を破棄するとして緊張を高めている。
確かに同相の就任直後の言動は頼りなく映る。しかし旧自民党政権時代においても、大臣が派閥順送りで頻繁に交代し、“急に拝命した、就任後勉強したい”などの発言が就任会見で連発されていたと言われている。それで良いとは言えないが、民主党は始めての政権担当であり、閣僚経験者はほとんどいない状態で発足しているので、健全な2大政党を育てるという観点からは、若干の習熟期間を与えても仕方ないのであろう。自・公政権の下でも、小池防衛相が事務次官との確執で2ヶ月も持たなかったこともある。
北朝鮮のロケット発射実験は、気象衛星打ち上げとしており、今回は打ち上げの方向も日本本土上空を避け、南太平洋に向けて行われたもので、軍事転用可能であるためミサイル発射と一部に報道され、危機を煽る結果となっていたが、切り離したロケット部分が屋久島周辺に落下する危険性があり、安全対策が課題となっていた。4月13日午前7時40分頃に発射されたが、日本政府の発表が40分以上後となり、その原因や責任が問われている。発射直後に米国より情報を得ており、防衛庁の現地配備地に伝えられ、万一の場合の落下物の破壊体制は整っていたので、安全対策上はまず問題はなかったと言える。
一方現地住民や国民への公表については、米国よりの情報は機密性の高い軍事情報であり、日本独自の一次情報ではないので、韓国よりは距離的に余裕がある日本としての情報確認が必要であることは当然であろう。防衛庁内の情報収集部局の役割や情報の性格などにより、公表が遅れたようであるが、それは防衛庁内の事務体制の問題であり、一義的に大臣の責任を問う問題ではなさそうだ。旧政権でも同じような事は起ったであろう。
野田政権で国家、国民の安全を担う防衛相が問責を受けるのは2度目であり、ましてやまた辞任ということになれば諸外国に与えるマイナス・イメージは非常に大きく、日本の安全、ひいては国益を大きく害する恐れがある。こんなことを繰り返して何のためになるのか。
対外的な緊急時や非常事態時においては、不備などを相互にカバーしながら国家、国民が団結して乗り切ることが大切であり、そのような政治的な英知や判断が強く望まれる。敵失やネガテイヴ・キャンベーンのみで政権を攻撃しても、国民の信頼を得ることは出来ない。(2012.03.27.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)