シリーズ平成の本音―日米関係の根底を揺るがす靖国参拝問題!
衛藤首相補佐官は、インターネット上の動画サイトにおいて、安倍首相の12月の靖国神社参拝に関して、米国政府が近隣諸国との関係に影響するものとして‘失望した’と公表したことを受けて、‘失望したのは日本側’であり、‘米国は同盟国である日本をもっと大切にすべき’などと述べた。首相官邸は、これは同補佐官の個人的見解であり、動画は削除されたので問題はないとしている。しかしその見解は同首相補佐官の本音であり、動画は削除されても、靖国神社参拝は肯定されるという信条は残っている。
もっと深刻なのは、首相官邸側が靖国神社参拝に関して作成している対外説明用の想定問答だ。首相官邸側は、靖国参拝問題などで停滞している日中、日韓関係等を改善するために誠心誠意説明するとしており、そのために作成された想定問答なのであろう。しかし、それは靖国神社参拝を前提とし、肯定するものであるので、そのような説明で国際理解が図れるのだろうか。その上この‘想定問答’は、首相自身の見解ではなく、政府全体としての公式な見解で、事務方を含め関係各国にこのような説明をして行くことになると、日本政府全体が靖国神社の参拝を擁護することになるので、その意味するところは重大だ。
確かに、行政府の長として国家のために命を落とした兵士等の霊を’尊崇の念を持って’参拝するのはどこの国でも行っているので当然とか、’不戦の誓いを持って’参拝するという説明はそうなのかと思われるかもしれない。しかし重大な点を説明していない。
靖国神社は一見他の神社と同様に見えるが、他の神社とは全く異なることだ。一つには、太平洋戦争を主導、遂行し、連合国の下で行われた東京裁判で戦犯とされた東条英機首相(当時)始め戦争責任者が合祀されている。また同神社には遊就館という戦争博物館があり、戦争を美化、容認していることである。遊就館には、片道だけの燃料を搭載し米国艦船に突撃して行った戦闘機(ゼロ戦)や人間魚雷なども展示されている。太平洋戦争では、兵隊や民間人を含め、300万人以上の尊い命が亡くなっている。そのような戦争を遂行した政府の責任者を靖国神社は合祀している。
太平洋戦争を主導、遂行し、300万人以上の尊い命を失わせた戦争責任者を‘尊崇する’ことに違和感を持つ国民も少なくないだろう。それは、中国や韓国、そして米英等の旧連合国との関係の問題ではなく、軍事統帥権者を含めた戦争責任者とどう向き合うかという日本国民自身の問題なのだろう。
(2014.2.28.)(All Rights Reserved.)
衛藤首相補佐官は、インターネット上の動画サイトにおいて、安倍首相の12月の靖国神社参拝に関して、米国政府が近隣諸国との関係に影響するものとして‘失望した’と公表したことを受けて、‘失望したのは日本側’であり、‘米国は同盟国である日本をもっと大切にすべき’などと述べた。首相官邸は、これは同補佐官の個人的見解であり、動画は削除されたので問題はないとしている。しかしその見解は同首相補佐官の本音であり、動画は削除されても、靖国神社参拝は肯定されるという信条は残っている。
もっと深刻なのは、首相官邸側が靖国神社参拝に関して作成している対外説明用の想定問答だ。首相官邸側は、靖国参拝問題などで停滞している日中、日韓関係等を改善するために誠心誠意説明するとしており、そのために作成された想定問答なのであろう。しかし、それは靖国神社参拝を前提とし、肯定するものであるので、そのような説明で国際理解が図れるのだろうか。その上この‘想定問答’は、首相自身の見解ではなく、政府全体としての公式な見解で、事務方を含め関係各国にこのような説明をして行くことになると、日本政府全体が靖国神社の参拝を擁護することになるので、その意味するところは重大だ。
確かに、行政府の長として国家のために命を落とした兵士等の霊を’尊崇の念を持って’参拝するのはどこの国でも行っているので当然とか、’不戦の誓いを持って’参拝するという説明はそうなのかと思われるかもしれない。しかし重大な点を説明していない。
靖国神社は一見他の神社と同様に見えるが、他の神社とは全く異なることだ。一つには、太平洋戦争を主導、遂行し、連合国の下で行われた東京裁判で戦犯とされた東条英機首相(当時)始め戦争責任者が合祀されている。また同神社には遊就館という戦争博物館があり、戦争を美化、容認していることである。遊就館には、片道だけの燃料を搭載し米国艦船に突撃して行った戦闘機(ゼロ戦)や人間魚雷なども展示されている。太平洋戦争では、兵隊や民間人を含め、300万人以上の尊い命が亡くなっている。そのような戦争を遂行した政府の責任者を靖国神社は合祀している。
太平洋戦争を主導、遂行し、300万人以上の尊い命を失わせた戦争責任者を‘尊崇する’ことに違和感を持つ国民も少なくないだろう。それは、中国や韓国、そして米英等の旧連合国との関係の問題ではなく、軍事統帥権者を含めた戦争責任者とどう向き合うかという日本国民自身の問題なのだろう。
(2014.2.28.)(All Rights Reserved.)