シリーズ平成の本音―放漫な東京オリンピック用新国立競技場 (改訂)
東京オリンピック2020の目玉となる新国立競技場の建設については、従来の施設を取り壊したものの、キールアーチ式の開閉式屋根の競技場の建設費高騰や完成が間に合うかなどで、もめにもめている。その中で6月29日に開催された2020年東京五輪・パラリンピック関係主要組織による調整会議において、下村文部科学相は新国立競技場(東京都新宿区)の整備方針について、キールアーチを残し、総工費を2520億円とし、2019年5月の完成を目指すことを報告した。
この方針を、1日開催される日本側組織委員会(森喜朗会長)等と国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会との合同会議において、日本側から説明するようだ。
しかし、この問題は次の通り当初見積もりを大幅に超える膨大な建設費だけではなく、完成時期をオリンピックの1年以上前の19年5月とする点など、全く合理性に欠ける放漫、身勝手な計画であり、将来の多額の管理運営費を考慮するとガラパゴス化し、将来世代の負の遺産の象徴になる可能性がある。
1、1,000兆円を越える公的債務を抱えながら、放漫な建設費は許されるのか!
日本は既に1,100兆円近くの公的債務を抱えており、今後3年間は国としても財政改善のための集中期間としており、東京オリンピックやラグビー・ワールドカップなどのために、贅沢や無駄は許されない。
現在、EUを中心として世界はギリシャの債務不履行で揺れている。6月30日で切れた国際通貨基金(IMF)からの債務は15億ユーロ、約2,100億円相当である。その債務不履行で世界経済は揺れており、ギリシャは財政破たんに追い込まれている。
日本は、超金融緩和で通貨がダブつき、株価は一見上がっているように見えるが金融バブルの状態とも言え、政府は1,100兆円近くの公的債務を抱え、先進工業国で断トツの借金超大国だ。ギリシャが約2,100億円で財政破たん、債務不履行に追い込まれているのに、日本は1,100兆円近くの公的債務を抱えながら、オリンピックのためとは言いながら、新国立競技場建設のために2,520億円もの高額を浪費して良いのだろうか。多分答えは明確だろう。
基本設計時に立ち返って、総工費1,625億円以下での建設とすべきであろうし、それでも大会には十分以上であろう。
国民には、未だに東北地震復興特別税を課しておきながら、新国立競技場のために当初計画の総工費を900億円近く上回る無駄を国民に強いる必要があるのだろうか。東北地震復興特別税は、企業については2014年度から免除(廃止)となっているが、新国立競技場のために900億円も追加支出する予算上の余裕があるのであれば、個人所得に対する東北地震復興特別税も廃止する方が遥かに国民のためになるのではないか。
更に財政改善のため、社会福祉予算を削減するという。消費増税をし、それを社会福祉予算に充当すると言いながら、社会福祉予算を削減するのは国民への2重負担ではないのか。
その上、議員報酬や公務員給与は2014年4月に引き上げ(削減額の回復)、政務調査費などの付帯経費はそのままにして、国民に2重にも3重にも税負担や福祉減額を強いる一方、新国立競技場などにダブダブと浪費を続けるのは、極楽トンボどころか、国民窮乏化政策と言えないだろうか。負担は若い世代と定年後の年長者に最も強く課されることになりそうだ。
2、新国立競技場完成日をオリンピックの年2020年4月頃までで充分
オリンピック大会組織委員会の森会長は、自らが関係するラグビー・ワールドカップが開催される2019年5月までに完成させることに固執している。キールアーチ式の開閉式屋根の競技場とする場合、開閉式屋根は間に合わないようだ。開閉式屋根の敷設はオリンピック後となるようだが、そもそもそれならば、キールアーチ式の開閉式屋根はオリンピックにもラグビーにも必要ないということであり、キールアーチ式の開閉式屋根などは無駄であり、オリンピック大会自体には必要ないということなのだろう。
その上、オリンピック後に開閉式屋根を敷設する費用は、別額とされているので、工事費2,520億円は見せ掛けで、実際は3,000億円を越える可能性がある。この面でも説明は不十分且つ不適切だ。
キールアーチ式の開閉式屋根は取り止め、より単純で機能性の良い競技場とし、建設完成がオリンピック大会の2020年夏に間に合うことを優先すべきであろう。ラグビー・ワールドカップは別の単一のスポーツであり、それが開催される2019年5月までの完成とする必要はない。そもそも当初からそのような説明はなかったし、身勝手な主張だ。ラグビー・ワールドカップは、各地のドームやラグビー場等で開催出来る。
3、大会後の維持管理費に関し少子高齢化、人口減を考慮すべし
大会後の維持管理費については、少なくても年間35億円かかるとされており、これを各種のイベント、行事開催により費用を賄うとしている。しかし直接費用だけではなく維持管理組織も必要となるので、少子高齢化、人口減を考慮すると、負担になることは目に見えている。このような時代に新たなガラパゴス施設を作る必要はなさそうだ。もし赤字となる場合は誰が責任を負うのか。(2015.7.1.)(All Rights Reserved.)
東京オリンピック2020の目玉となる新国立競技場の建設については、従来の施設を取り壊したものの、キールアーチ式の開閉式屋根の競技場の建設費高騰や完成が間に合うかなどで、もめにもめている。その中で6月29日に開催された2020年東京五輪・パラリンピック関係主要組織による調整会議において、下村文部科学相は新国立競技場(東京都新宿区)の整備方針について、キールアーチを残し、総工費を2520億円とし、2019年5月の完成を目指すことを報告した。
この方針を、1日開催される日本側組織委員会(森喜朗会長)等と国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会との合同会議において、日本側から説明するようだ。
しかし、この問題は次の通り当初見積もりを大幅に超える膨大な建設費だけではなく、完成時期をオリンピックの1年以上前の19年5月とする点など、全く合理性に欠ける放漫、身勝手な計画であり、将来の多額の管理運営費を考慮するとガラパゴス化し、将来世代の負の遺産の象徴になる可能性がある。
1、1,000兆円を越える公的債務を抱えながら、放漫な建設費は許されるのか!
日本は既に1,100兆円近くの公的債務を抱えており、今後3年間は国としても財政改善のための集中期間としており、東京オリンピックやラグビー・ワールドカップなどのために、贅沢や無駄は許されない。
現在、EUを中心として世界はギリシャの債務不履行で揺れている。6月30日で切れた国際通貨基金(IMF)からの債務は15億ユーロ、約2,100億円相当である。その債務不履行で世界経済は揺れており、ギリシャは財政破たんに追い込まれている。
日本は、超金融緩和で通貨がダブつき、株価は一見上がっているように見えるが金融バブルの状態とも言え、政府は1,100兆円近くの公的債務を抱え、先進工業国で断トツの借金超大国だ。ギリシャが約2,100億円で財政破たん、債務不履行に追い込まれているのに、日本は1,100兆円近くの公的債務を抱えながら、オリンピックのためとは言いながら、新国立競技場建設のために2,520億円もの高額を浪費して良いのだろうか。多分答えは明確だろう。
基本設計時に立ち返って、総工費1,625億円以下での建設とすべきであろうし、それでも大会には十分以上であろう。
国民には、未だに東北地震復興特別税を課しておきながら、新国立競技場のために当初計画の総工費を900億円近く上回る無駄を国民に強いる必要があるのだろうか。東北地震復興特別税は、企業については2014年度から免除(廃止)となっているが、新国立競技場のために900億円も追加支出する予算上の余裕があるのであれば、個人所得に対する東北地震復興特別税も廃止する方が遥かに国民のためになるのではないか。
更に財政改善のため、社会福祉予算を削減するという。消費増税をし、それを社会福祉予算に充当すると言いながら、社会福祉予算を削減するのは国民への2重負担ではないのか。
その上、議員報酬や公務員給与は2014年4月に引き上げ(削減額の回復)、政務調査費などの付帯経費はそのままにして、国民に2重にも3重にも税負担や福祉減額を強いる一方、新国立競技場などにダブダブと浪費を続けるのは、極楽トンボどころか、国民窮乏化政策と言えないだろうか。負担は若い世代と定年後の年長者に最も強く課されることになりそうだ。
2、新国立競技場完成日をオリンピックの年2020年4月頃までで充分
オリンピック大会組織委員会の森会長は、自らが関係するラグビー・ワールドカップが開催される2019年5月までに完成させることに固執している。キールアーチ式の開閉式屋根の競技場とする場合、開閉式屋根は間に合わないようだ。開閉式屋根の敷設はオリンピック後となるようだが、そもそもそれならば、キールアーチ式の開閉式屋根はオリンピックにもラグビーにも必要ないということであり、キールアーチ式の開閉式屋根などは無駄であり、オリンピック大会自体には必要ないということなのだろう。
その上、オリンピック後に開閉式屋根を敷設する費用は、別額とされているので、工事費2,520億円は見せ掛けで、実際は3,000億円を越える可能性がある。この面でも説明は不十分且つ不適切だ。
キールアーチ式の開閉式屋根は取り止め、より単純で機能性の良い競技場とし、建設完成がオリンピック大会の2020年夏に間に合うことを優先すべきであろう。ラグビー・ワールドカップは別の単一のスポーツであり、それが開催される2019年5月までの完成とする必要はない。そもそも当初からそのような説明はなかったし、身勝手な主張だ。ラグビー・ワールドカップは、各地のドームやラグビー場等で開催出来る。
3、大会後の維持管理費に関し少子高齢化、人口減を考慮すべし
大会後の維持管理費については、少なくても年間35億円かかるとされており、これを各種のイベント、行事開催により費用を賄うとしている。しかし直接費用だけではなく維持管理組織も必要となるので、少子高齢化、人口減を考慮すると、負担になることは目に見えている。このような時代に新たなガラパゴス施設を作る必要はなさそうだ。もし赤字となる場合は誰が責任を負うのか。(2015.7.1.)(All Rights Reserved.)