平成の本音―北朝鮮の核・ミサイル開発で引いた貧乏くじ!?
北朝鮮は、8月29日早朝(5時58分頃)、日本の津軽海峡から北海道襟裳岬上空の大気圏外を飛翔する形で太平洋公海上に達する中距離ミサイルの発射‘訓練’(飛翔距離約2,700㎞)を実施し、朝鮮半島を巡り米・韓両国と北朝鮮の緊張が高まっている。北朝鮮が核兵器とその運搬手段であるミサイル開発を加速させる一方、米国は韓国にミサイル迎撃のためのTHAAD配備し、また3月の米韓合同軍事演習‘首斬り作戦’を実施したのに続き、8月に合同軍事演習を実施する中で、これへの反発と見られている。
また北朝鮮は、このような国際的な批判の中で、9月3日、地下核実験(6回目)を実施した。水爆実験とされている。
これに対し国連安全保障理事会は、9月11日、これらの北朝鮮の行動を受け、北朝鮮への石油輸出に上限を設けるなど、一層厳しい制裁決議を中・ロを含む全会一致で採択した。
北朝鮮はこの新たな安保理制裁決議を激しく批判する一方、核保有国米国への抑止力保持のためとしつつ、核、ミサイル開発を継続することを表明した。
このような中で北朝鮮は9月15日、北東方向の太平洋に向け中・長距離ミサイルの発射‘訓練’をまた挙行した。同ミサイルは北海道上空約700キロの大気圏外を通過、北海道の東約2,000キロの太平洋上に落下した(飛翔距離約3,700㎞)。
1、北朝鮮、‘日本列島’を攻撃の対象として名指し
朝鮮戦争は‘休戦’状態であり、北朝鮮と米・韓両国とは未だに敵対関係にあり、これまでも北朝鮮は、事あるごとに米国、韓国を激しく口撃して来ている。核、ミサイル開発は、正に米国への対抗として行われている。
安倍政権は、北朝鮮の上記のミサイル発射実験や核爆発実験が行われるたびに、‘新たな段階の脅威’として北の脅威を強調すると共に、‘断じて容認できない’、‘圧力を強化する必要がある’と批判を強めている。
このような安倍政権の姿勢を受けて、北朝鮮の朝鮮アジア太平洋平和委員会は、9月13日の声明で、国連安保理での対北朝鮮制裁強化決議に関し、‘日本は米国の制裁騒動に便乗した’と非難し、その上で‘日本列島4島を核爆弾で海に沈めなければならない’とした。
北朝鮮の核、ミサイル開発は、国際世論が広く非難しており、日本が懸念を表明することは当然だ。しかし北朝鮮から、敵対関係にある米・韓両国と並んで日本列島全体が攻撃の対象とされることは、日本国民の生命と財産を危うくし、日本の北朝鮮に対する安全保障が著しく悪化する結果となっている。
安倍政権は、北への非難を強め、国民の生命と財産を守ると口では言いながら、結果として、国民の生命と財産、日本の安全保障が著しく悪化させており、
非常に危険な‘貧乏くじ’を引いた形となっている。
もっと賢明で大人の対応が出来ないのだろうか。脅威をあおり、防衛費を大幅増額すれば日本の安全が確保されるということでもない。言葉だけが先行し、日本の全体的な安全保障を悪化させているように映る。
これ以上この政権に日本の安全保障、国民の生命、財産を委ねてよいものだろうか。
2、日本を前面に出そうとする米国
米国は、9月14日、テイラーソン国務長官名でプレス・ステートメントを発出し、‘北朝鮮のミサイル発射は、この数週間の間に、条約上の同盟国である日本が、2度にわたり直接的におびやかされたことを表している。このような継続的な挑発は、北朝鮮の外交的、経済的孤立を深めるだけである。’云々として安保理制裁決議の実施を呼びかけた。
そもそも北朝鮮の核、ミサイル開発は米国への対抗で進められているのであり、また最近の2度に亘るミサイル発射は、米国方向の太平洋に向けられたものであり、日本が直接の脅威にさらされたものではないことは明らかだ。北のミサイルは、日本の上空をまたいだが、1回目は約350km、2回目は約750km上空の大気圏外で、宇宙空間を通過したものだ。
米国の国防総省筋は、先のミサイル発射は‘米国やグアムを標的にしたものではなく、米国にとって脅威ではない’としている。
それにも拘らず今回国務長官がこのような表現を用いたのは、日本側があたかも直接的な脅威にさらされたかの印象を与える説明を米国にも行っていたからであろう。
米国とすれば、正に渡りに船であろう。日本が北からの脅威の盾となる。
安倍政権が脅威を強調することは国内の関心を外に向け、内閣支持率を若干高めることが出来るとしても、誰のための安全か。日米が良好な関係にあることは望ましい。しかし北朝鮮からの危険性についてはジャパン・ファースト、安全についてはアメリカ・ファーストの構図になっているのだろうか。
3、早期解決に繋がるか、日本人拉致問題
トランプ米大統領は、9月19日の国連総会の一般討論演説で、北朝鮮を厳しい言葉で非難し、また名前は明示しなかったものの、日本人少女の拉致問題にも触れ、卑劣な北朝鮮への制裁の実施等を訴えた。
安倍首相は、政権の座について、日本人拉致問題について‘自分の世代で解決したい’としばしば述べて、拉致被害者家族に期待感を持たせて来た。しかしそれは、言葉だけの期待感なのか。
安倍政権は、事あるごとに‘対話と圧力’と言い続けているが、4年半に亘る政権では、‘圧力’を繰り返すばかりだ。北の核、ミサイル問題でも、脅威をあおり、対話の時期ではないとし、‘制裁強化’一辺倒だ。
少なくても過去4年半、何の実績も出しておらず、今後についても、核、ミサイル問題での‘制裁強化’と防衛費増額が強調されることだろう。それで日本列島は北の核攻撃の対象になってしまった。(2017.9.20.)
北朝鮮は、8月29日早朝(5時58分頃)、日本の津軽海峡から北海道襟裳岬上空の大気圏外を飛翔する形で太平洋公海上に達する中距離ミサイルの発射‘訓練’(飛翔距離約2,700㎞)を実施し、朝鮮半島を巡り米・韓両国と北朝鮮の緊張が高まっている。北朝鮮が核兵器とその運搬手段であるミサイル開発を加速させる一方、米国は韓国にミサイル迎撃のためのTHAAD配備し、また3月の米韓合同軍事演習‘首斬り作戦’を実施したのに続き、8月に合同軍事演習を実施する中で、これへの反発と見られている。
また北朝鮮は、このような国際的な批判の中で、9月3日、地下核実験(6回目)を実施した。水爆実験とされている。
これに対し国連安全保障理事会は、9月11日、これらの北朝鮮の行動を受け、北朝鮮への石油輸出に上限を設けるなど、一層厳しい制裁決議を中・ロを含む全会一致で採択した。
北朝鮮はこの新たな安保理制裁決議を激しく批判する一方、核保有国米国への抑止力保持のためとしつつ、核、ミサイル開発を継続することを表明した。
このような中で北朝鮮は9月15日、北東方向の太平洋に向け中・長距離ミサイルの発射‘訓練’をまた挙行した。同ミサイルは北海道上空約700キロの大気圏外を通過、北海道の東約2,000キロの太平洋上に落下した(飛翔距離約3,700㎞)。
1、北朝鮮、‘日本列島’を攻撃の対象として名指し
朝鮮戦争は‘休戦’状態であり、北朝鮮と米・韓両国とは未だに敵対関係にあり、これまでも北朝鮮は、事あるごとに米国、韓国を激しく口撃して来ている。核、ミサイル開発は、正に米国への対抗として行われている。
安倍政権は、北朝鮮の上記のミサイル発射実験や核爆発実験が行われるたびに、‘新たな段階の脅威’として北の脅威を強調すると共に、‘断じて容認できない’、‘圧力を強化する必要がある’と批判を強めている。
このような安倍政権の姿勢を受けて、北朝鮮の朝鮮アジア太平洋平和委員会は、9月13日の声明で、国連安保理での対北朝鮮制裁強化決議に関し、‘日本は米国の制裁騒動に便乗した’と非難し、その上で‘日本列島4島を核爆弾で海に沈めなければならない’とした。
北朝鮮の核、ミサイル開発は、国際世論が広く非難しており、日本が懸念を表明することは当然だ。しかし北朝鮮から、敵対関係にある米・韓両国と並んで日本列島全体が攻撃の対象とされることは、日本国民の生命と財産を危うくし、日本の北朝鮮に対する安全保障が著しく悪化する結果となっている。
安倍政権は、北への非難を強め、国民の生命と財産を守ると口では言いながら、結果として、国民の生命と財産、日本の安全保障が著しく悪化させており、
非常に危険な‘貧乏くじ’を引いた形となっている。
もっと賢明で大人の対応が出来ないのだろうか。脅威をあおり、防衛費を大幅増額すれば日本の安全が確保されるということでもない。言葉だけが先行し、日本の全体的な安全保障を悪化させているように映る。
これ以上この政権に日本の安全保障、国民の生命、財産を委ねてよいものだろうか。
2、日本を前面に出そうとする米国
米国は、9月14日、テイラーソン国務長官名でプレス・ステートメントを発出し、‘北朝鮮のミサイル発射は、この数週間の間に、条約上の同盟国である日本が、2度にわたり直接的におびやかされたことを表している。このような継続的な挑発は、北朝鮮の外交的、経済的孤立を深めるだけである。’云々として安保理制裁決議の実施を呼びかけた。
そもそも北朝鮮の核、ミサイル開発は米国への対抗で進められているのであり、また最近の2度に亘るミサイル発射は、米国方向の太平洋に向けられたものであり、日本が直接の脅威にさらされたものではないことは明らかだ。北のミサイルは、日本の上空をまたいだが、1回目は約350km、2回目は約750km上空の大気圏外で、宇宙空間を通過したものだ。
米国の国防総省筋は、先のミサイル発射は‘米国やグアムを標的にしたものではなく、米国にとって脅威ではない’としている。
それにも拘らず今回国務長官がこのような表現を用いたのは、日本側があたかも直接的な脅威にさらされたかの印象を与える説明を米国にも行っていたからであろう。
米国とすれば、正に渡りに船であろう。日本が北からの脅威の盾となる。
安倍政権が脅威を強調することは国内の関心を外に向け、内閣支持率を若干高めることが出来るとしても、誰のための安全か。日米が良好な関係にあることは望ましい。しかし北朝鮮からの危険性についてはジャパン・ファースト、安全についてはアメリカ・ファーストの構図になっているのだろうか。
3、早期解決に繋がるか、日本人拉致問題
トランプ米大統領は、9月19日の国連総会の一般討論演説で、北朝鮮を厳しい言葉で非難し、また名前は明示しなかったものの、日本人少女の拉致問題にも触れ、卑劣な北朝鮮への制裁の実施等を訴えた。
安倍首相は、政権の座について、日本人拉致問題について‘自分の世代で解決したい’としばしば述べて、拉致被害者家族に期待感を持たせて来た。しかしそれは、言葉だけの期待感なのか。
安倍政権は、事あるごとに‘対話と圧力’と言い続けているが、4年半に亘る政権では、‘圧力’を繰り返すばかりだ。北の核、ミサイル問題でも、脅威をあおり、対話の時期ではないとし、‘制裁強化’一辺倒だ。
少なくても過去4年半、何の実績も出しておらず、今後についても、核、ミサイル問題での‘制裁強化’と防衛費増額が強調されることだろう。それで日本列島は北の核攻撃の対象になってしまった。(2017.9.20.)