東日本巨大地震で深刻な被害を受け、放射能漏れで予断を許さない危険な状況が続く東京電力福島第一原子力発電所。原発を保有もしくは建設計画を持つ世界各 国は、今後の成り行きを注視するとともに安全対策の再確認を行い始めた。伯国でもアングラ・ドス・レイス原発が稼動しており、安全確保のための調査を始め た。29日付エスタード紙、フォーリャ紙が報じた。
アングラ原発は1970年代に建設が始まり、アングラ1は85年1月 に、アングラ2は2001年2月からそれぞれ運転が開始された。続いて1985年にアングラ3の建設が始まったものの、経費の高さと環境面で反対の声が上 がり、建設計画は86年から頓挫していた。2009年にようやく建設が再開されたが、現在も建設中だ。
伯国は水資源が豊富なため全発電の80%以上を水力発電で賄っており、原子力発電はわずか4%強に過ぎない。
アングラ原発はリオから150キロ地点のリオ・サントス街道(BR101号線)にあり、山脈を背にした海岸沿いに位置する。同地域には約2万人が居住して いるため、もしも事故が起これば住民と原発職員の避難経路が必要になる。ところが、避難経路はリオ・サントス街道しかなく、山沿いを通る同街道は雨期には 土砂崩れが多発し、山肌には100トンを超える岩石が点在していることから、通行不能になる危険性を秘めている。
このため、ア ングラ原発を運営するエレトロ・ヌークレアール社は新しい避難経路として、海岸に桟橋を建設する計画を煮詰めている。しかし、この計画では桟橋の建設場所 が決まっていない。候補地としては、同原発の中心部から3キロ離れたプライア・ブラバもしくは10キロ離れたバイア・ダ・ヒベイラが有力視されている。ま た、大型客船が横付けできる程度の桟橋と説明されているが、桟橋の規模なども明らかになっていない。
こうした状況から、今回の福島第一 原発の事故に危機感を抱いたエレトロ・ヌークレアール社では、リオ・サントス街道の安全性を調査するため、数日中に調査会社と契約すると発表した。同社の 説明によると、調査期間は4か月間で同街道の斜面状況を調べ、土砂崩れの危険性のある箇所の有無を明らかにするという。
同社の役員、ジオジェネ ス・サルガード・アルベス氏は、「避難経路としてリオ・サントス街道の安全性を確保しなければならない。この調査計画は以前から持っていたが、福島原発の 事故により予定を早めて実施することになった」と説明し、さらに住民にも安心してもらえるように安全性を公表していく方針を示している。
2011年3月30日付