サダークの定義:
サダークとは、ニカーの契約によって発生する夫が妻に支払わなければならない金品のことをいう。
(サダークの語源 ص د ق は、誠実、信頼、友情などを意味する)
ニカーのために金品を捻出する誠意を表すため、サダークと名づけられる。
サダークの決まり:
A 法則:サダークの支払いは、結婚契約が発生すると同時に夫に義務になる。契約時にサダーク額が明瞭にされていてもされていなくてもである。もしサダークは不要と合意があったとしてもなくても、サダークは必須であるのでその合意は無効である。
B 必須性の根拠:クルアーン、スンナ、ウンマの意見一致
クルアーン:『وَآتُواْ النَّسَاء صَدُقَاتِهِنَّ نِحْلَةً فَإِن طِبْنَ لَكُمْ عَن شَيْءٍ مِّنْهُ نَفْسًا فَكُلُوهُ هَنِيئًا مَّرِيئًا(そして(結婚にさいしては)女にマハルを贈り物として与えなさい。だがかの女らが自らその一部を戻すことを願うならば、喜んでこれを納めなさい。)』女性章4-4
『 فَمَا اسْتَمْتَعْتُم بِهِ مِنْهُنَّ فَآتُوهُنَّ أُجُورَهُنَّ فَرِيضَةً(それでかの女らと、交わった者は、定められたマハルを与えなさい。)』女性章4-24
『لاَّ جُنَاحَ عَلَيْكُمْ إِن طَلَّقْتُمُ النِّسَاء مَا لَمْ تَمَسُّوهُنُّ أَوْ تَفْرِضُواْ لَهُنَّ فَرِيضَةً(あなたがたがかの女らに触れず、また贈与額も定めない中に、離別するのは罪ではない。だがかの女らに(マハル)の一部を与えなさい。)』雌牛章2-236
スンナ:サハル・ブン・サアドは言った:ある女性が預言者(S)の許にやって来て、私は自分をアッラーとその使徒に捧げますと言った。預言者(S)は、「私は女性を必要としていない」と答え、ある男が「彼女と結婚させてください」と言った。預言者(S)は、「彼女に服を与えてあげなさい」と言われたが、男は「持ち合わせていません」と答えた。預言者(S)は、「鉄の指輪でもいいから彼女にあげなさい」と言われた。男にはそれも無理そうだった。預言者(S)は彼に「クルアーンの何かを覚えていないか?」男は、これこれなら、と言った。預言者(S)は、「私はあなたのもつこれこれのクルアーンをもって彼女と結婚させよう」と言われた。
ウンマの意見一致:サダーク支払いが義務であるということですべての学者の意見は一致している。
C サダーク施行の英知:マハル(サダークとマハルは同じ意味を持つ)は、夫の、妻と尊い関係を持ちたいという誠実な思いを表すものである。また、女性はマハルによって、衣類など結婚の準備をすることが可能となる。イスラームはマハル(支払い)を、女性を守りたいと思う夫の義務とした。
D 契約時にサダークの額を決めること:結婚契約時にマハルの額を明瞭にすることはスンナである。預言者(S)はどの結婚契約時にもマハルの額を不透明にすることはなかったからである。そして額を明瞭にすることで、夫婦間のトラブルを避けることができる。
預言者(S)はマハルの額を明瞭にするのは義務ではないとし、結婚契約時にマハルの額が不透明であっても問題はないと学者間でも意見が一致している。といってもそれは預言者(S)の行動に反するので、嫌悪されることである。
E マハル保有者:マハルは妻一人の所有物である。彼女の保護者にそれを取る権利はない。彼らはマハルを受け取ることはできるが、それは計算や妻に渡すためにだけである。『فَلاَ تَأْخُذُواْ مِنْهُ شَيْئًا أَتَأْخُذُونَهُ بُهْتَاناً وَإِثْماً مُّبِيناً(仮令かの女に(如何に)巨額を与えていても、その中から何も取り戻してはならない。あなたがたは、ありもしない中傷という明白な罪を犯して、これを取り戻そうとするのか。)』女性章4-20、『فَإِن طِبْنَ لَكُمْ عَن شَيْءٍ مِّنْهُ نَفْسًا فَكُلُوهُ هَنِيئًا مَّرِيئًا(だがかの女らが自らその一部を戻すことを願うならば、喜んでこれを納めなさい。)』女性章4-4
F マハルの限度額:上限も下限もない。金銭的価値のあるものであればすべてマハルとして有効である。例:絨毯、1000リラ、居住権、技術的学習など
しかし、マハルは10ディルハム以下にならないことが好ましい。また、500ディルハム以上にならないことも好ましい。これは預言者(S)の娘たちや妻たちがそうだったからである。(訳者注:ここのディルハムは昔の銀貨である)以下詳細割愛
G マハル支払い期限を早急にするか遅らせるか:マハルを早急にすることは条件にならないどころか、すべてのマハル支払いを床入り前に求めることは有効である。また支払いのすべてを遅らせることも有効である。またマハルの幾額を床入り後に支払うことも有効である。しかし猶予期限が明瞭にされることが条件である。なぜならマハルは妻の所有物であり、彼女に好きに期限を早めたり遅めたりする権利があるからである。
マハル支払いを早急にすると合意があった場合、妻には夫がマハルを支払うまで自分自身を制する(夫の性的要求に応じない)権利がある。
マハル支払いを遅めると合意があった場合、妻はそれに満足しているため、自分自身を制する権利はない。
H マハルの定着
①マハル全額の定着:→夫と妻の性的関係が成立した場合。
→夫婦のどちらかが他界した場合。他界前に性的関係が成立してもしていなくても。
②マハルの半額の定着:結婚契約後、明瞭にマハル額が決定して、夫が妻と性的関係がまだ成立せず離婚した場合。『وَإِن طَلَّقْتُمُوهُنَّ مِن قَبْلِ أَن تَمَسُّوهُنَّ وَقَدْ فَرَضْتُمْ لَهُنَّ فَرِيضَةً فَنِصْفُ مَا فَرَضْتُمْ (あなたがたがかの女らと離別する場合、まだかの女らには触れてはいないが、既にマハルを決めていた時は、約定した額の半分を与えなさい。)』雌牛章2-237
③マハル欠落:性的関係成立前に妻が夫と別れたい場合で、原因が妻にある場合。
サダークとは、ニカーの契約によって発生する夫が妻に支払わなければならない金品のことをいう。
(サダークの語源 ص د ق は、誠実、信頼、友情などを意味する)
ニカーのために金品を捻出する誠意を表すため、サダークと名づけられる。
サダークの決まり:
A 法則:サダークの支払いは、結婚契約が発生すると同時に夫に義務になる。契約時にサダーク額が明瞭にされていてもされていなくてもである。もしサダークは不要と合意があったとしてもなくても、サダークは必須であるのでその合意は無効である。
B 必須性の根拠:クルアーン、スンナ、ウンマの意見一致
クルアーン:『وَآتُواْ النَّسَاء صَدُقَاتِهِنَّ نِحْلَةً فَإِن طِبْنَ لَكُمْ عَن شَيْءٍ مِّنْهُ نَفْسًا فَكُلُوهُ هَنِيئًا مَّرِيئًا(そして(結婚にさいしては)女にマハルを贈り物として与えなさい。だがかの女らが自らその一部を戻すことを願うならば、喜んでこれを納めなさい。)』女性章4-4
『 فَمَا اسْتَمْتَعْتُم بِهِ مِنْهُنَّ فَآتُوهُنَّ أُجُورَهُنَّ فَرِيضَةً(それでかの女らと、交わった者は、定められたマハルを与えなさい。)』女性章4-24
『لاَّ جُنَاحَ عَلَيْكُمْ إِن طَلَّقْتُمُ النِّسَاء مَا لَمْ تَمَسُّوهُنُّ أَوْ تَفْرِضُواْ لَهُنَّ فَرِيضَةً(あなたがたがかの女らに触れず、また贈与額も定めない中に、離別するのは罪ではない。だがかの女らに(マハル)の一部を与えなさい。)』雌牛章2-236
スンナ:サハル・ブン・サアドは言った:ある女性が預言者(S)の許にやって来て、私は自分をアッラーとその使徒に捧げますと言った。預言者(S)は、「私は女性を必要としていない」と答え、ある男が「彼女と結婚させてください」と言った。預言者(S)は、「彼女に服を与えてあげなさい」と言われたが、男は「持ち合わせていません」と答えた。預言者(S)は、「鉄の指輪でもいいから彼女にあげなさい」と言われた。男にはそれも無理そうだった。預言者(S)は彼に「クルアーンの何かを覚えていないか?」男は、これこれなら、と言った。預言者(S)は、「私はあなたのもつこれこれのクルアーンをもって彼女と結婚させよう」と言われた。
ウンマの意見一致:サダーク支払いが義務であるということですべての学者の意見は一致している。
C サダーク施行の英知:マハル(サダークとマハルは同じ意味を持つ)は、夫の、妻と尊い関係を持ちたいという誠実な思いを表すものである。また、女性はマハルによって、衣類など結婚の準備をすることが可能となる。イスラームはマハル(支払い)を、女性を守りたいと思う夫の義務とした。
D 契約時にサダークの額を決めること:結婚契約時にマハルの額を明瞭にすることはスンナである。預言者(S)はどの結婚契約時にもマハルの額を不透明にすることはなかったからである。そして額を明瞭にすることで、夫婦間のトラブルを避けることができる。
預言者(S)はマハルの額を明瞭にするのは義務ではないとし、結婚契約時にマハルの額が不透明であっても問題はないと学者間でも意見が一致している。といってもそれは預言者(S)の行動に反するので、嫌悪されることである。
E マハル保有者:マハルは妻一人の所有物である。彼女の保護者にそれを取る権利はない。彼らはマハルを受け取ることはできるが、それは計算や妻に渡すためにだけである。『فَلاَ تَأْخُذُواْ مِنْهُ شَيْئًا أَتَأْخُذُونَهُ بُهْتَاناً وَإِثْماً مُّبِيناً(仮令かの女に(如何に)巨額を与えていても、その中から何も取り戻してはならない。あなたがたは、ありもしない中傷という明白な罪を犯して、これを取り戻そうとするのか。)』女性章4-20、『فَإِن طِبْنَ لَكُمْ عَن شَيْءٍ مِّنْهُ نَفْسًا فَكُلُوهُ هَنِيئًا مَّرِيئًا(だがかの女らが自らその一部を戻すことを願うならば、喜んでこれを納めなさい。)』女性章4-4
F マハルの限度額:上限も下限もない。金銭的価値のあるものであればすべてマハルとして有効である。例:絨毯、1000リラ、居住権、技術的学習など
しかし、マハルは10ディルハム以下にならないことが好ましい。また、500ディルハム以上にならないことも好ましい。これは預言者(S)の娘たちや妻たちがそうだったからである。(訳者注:ここのディルハムは昔の銀貨である)以下詳細割愛
G マハル支払い期限を早急にするか遅らせるか:マハルを早急にすることは条件にならないどころか、すべてのマハル支払いを床入り前に求めることは有効である。また支払いのすべてを遅らせることも有効である。またマハルの幾額を床入り後に支払うことも有効である。しかし猶予期限が明瞭にされることが条件である。なぜならマハルは妻の所有物であり、彼女に好きに期限を早めたり遅めたりする権利があるからである。
マハル支払いを早急にすると合意があった場合、妻には夫がマハルを支払うまで自分自身を制する(夫の性的要求に応じない)権利がある。
マハル支払いを遅めると合意があった場合、妻はそれに満足しているため、自分自身を制する権利はない。
H マハルの定着
①マハル全額の定着:→夫と妻の性的関係が成立した場合。
→夫婦のどちらかが他界した場合。他界前に性的関係が成立してもしていなくても。
②マハルの半額の定着:結婚契約後、明瞭にマハル額が決定して、夫が妻と性的関係がまだ成立せず離婚した場合。『وَإِن طَلَّقْتُمُوهُنَّ مِن قَبْلِ أَن تَمَسُّوهُنَّ وَقَدْ فَرَضْتُمْ لَهُنَّ فَرِيضَةً فَنِصْفُ مَا فَرَضْتُمْ (あなたがたがかの女らと離別する場合、まだかの女らには触れてはいないが、既にマハルを決めていた時は、約定した額の半分を与えなさい。)』雌牛章2-237
③マハル欠落:性的関係成立前に妻が夫と別れたい場合で、原因が妻にある場合。