続)ムスリムの子ども教育-3-
ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生12」(最初~13:35)
https://www.youtube.com/watch?v=JpETpYyw1zU
前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。
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預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の子どもたちへの愛情
預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、すべての創造物に対し、もっとも慈悲深い御方でしたが、特に、子ども達のことが大好きな方でした。
信仰深い人に見られる子どもたちに対する愛情について、ある敬虔な方は、いくつかの理由を挙げています。一つ目は、子どもたちはできないことがたくさんあるという点です。子どもは、成長の過程で、いろいろなことが少しづつできるようになっていく途中の状態です。アッラーに近しい人たちは、アッラーの偉大さを感じれば感じるほど、自分の小ささを感じ、アッラーに対して謙虚になり、自分が何もできない存在だと認めます。するとアッラーは、彼らの心に、慈悲を御恵みくださり、助けを必要としている存在を見ると、彼らはその人たちへの慈悲を感じるようになります。子どもが小さければ小さいほど、彼らは大きな慈悲を感じます。それは、年配の方々に対しても同じです。年老いて何もできなくなった人を見ても、信仰深い人たちは、彼らに対し大きな慈悲を感じます。
二つ目は、敬虔で心がきれいな人たちは、同じように心がきれいな人に対して慈悲を感じます。子どもたちの心は汚れのない純粋できれいな状態です。そのため、子どもたちは、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のご慈悲を、他の人たちよりもたくさん受けていたのです。
預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)には、7人のお子さんがいらっしゃいました。男の子が3人、女の子が4人、男の子は小さい時にみんな亡くなっています。息子のイブラーヒームが亡くなった時、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は涙を流していました。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の、息子への愛情深さをハディースに見ることができます。
《私はアッラーの使徒の前でその子供が最後の息を引き取るところを見た。そのときアッラーの使徒の両目からは涙が溢れていたがこう言った。
「目は涙し心は悲しみ(でも)私達は主の満足すること以外は何も言えません。アッラーに誓ってイブラーヒームよ、まこと私達はあなたのために悲しみます。」》ムスリム伝承
《私はアッラーの使徒よりも家族に優しい人を見たことがない。
(預言者の息子の)イブラーヒームがマディーナの郊外の乳母のもとへ預けられていた。それで彼(預言者)はよくそこへ出かけたが私達も彼の供をした。そして彼がその家に入ると家の中には煙が充満していた。なぜならその子の養父は鍛冶屋であったからです。さて彼は息子を抱きしめキスをしてそれから帰ったものでした。》ムスリム伝承
イブラーヒームが死んだ時、母親はまだ彼に授乳をしているほど小さな乳児でした。
《イブラーヒームが死んだときアッラーの使徒は次のように言った。「イブラーヒームは我が子、彼は乳飲み子のまま死んだ。まことに彼には天国で離乳するまで乳母夫妻がついている。」》ムスリム伝承
この言葉には、幼子を亡くした妻に対する預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のご慈悲が現れています。自分の子どもたちを亡くした預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の心情は、その後、お孫さん達への大きな愛情となって現れます。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の孫の、ハサン様、フサイン様、ザイナブ様、ウマーマ様(彼らにアッラーのご満悦あれ)への愛情です。
《それから彼(預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ))は戻り、ファーティマ様の家にやって来て「子どもはそこにいますか?子どもはそこにいますか?」と尋ねた。つまりそれはハサンのことでした。
さて私達は彼の母親がまず彼をつかまえ、水を浴びさせ、服を着させ、花の首飾りで彼を飾りつけているのであろうと思っていました。こうして待つほどもなく彼(ハサン)が走ってきて、お互いに抱きあった。そこでアッラーの使徒は次のように言った。
「アッラーよ、私は本当に彼を愛しています。どうかあなたも彼を愛して下さい。また彼を愛する者を愛して下さい。」》ムスリム伝承
預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の胸は、お孫さんたちにとってのあそび場で、その肩は、彼らの乗り物で、唾液は、彼らの飲み物でした。
ジャービル様(彼の上にアッラーのご満悦あれ)は伝えて言いました。
《私が預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のところに行くと、彼はハサンとフサイン(お二人にアッラーのご満悦あれ)を背中にのせて(四つん這いの状態で)歩いていました。私が、「あなた達のラクダはなんとすばらしいこと。」と言うと、アッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、「この二人は、なんとすばらしい騎手でしょう。」とおっしゃいました。》
預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、ここで子どもの教育について教えています。子どもに対して惜しみない愛情をそそぐこと、そして、子どもに尊厳を与えること、子どもを良い見方で見ること、また、それを直接子どもに伝えることです。今の時代に多くの親が、子どもの悪いところを探して、それを伝えるという逆のことをしています。
《私は、アッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)がフトバ(金曜礼拝の説教)をしているのを見ました。そこに赤い服を着て、つまづいたり立ち上がったりしている(よちよち歩きの)ハサンとフサイン(お二人にアッラーのご満足あれ)がやって来ると、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、(ミンバルから)降り、二人を抱えると、膝に置き、言いました。「アッラーとその使徒は真実を伝えました。本当にあなた方の財産と子どもは、フィトナ(誘惑)です。私はこの二人を見て耐えられなかったのです。」それから、フトバを続けました。》イブンマージャ伝承
《私はアッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が、ミンバルの上にいるのを見ました。ハサン・ブヌ・アリーと並んで。彼は人々の方を一回見、彼の方を一回見ていました。そして言いました。「実に私のこの子は、人々の長です。アッラーは、きっとこの子を使って、ムスリムの大きなふたつのグループの間を仲介するでしょう。」》ブハーリー伝承
ここでも、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、子どもに対して、良い希望を持つことを教えてくださっています。子どもに対して、「本当におまえは頭が悪い。」「なんでこんなこともできないんだ」と言い続けることは、その子の自信を奪い、その言葉通りの状態へと子どもを導きます。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、その逆のことをなさっていました。子どもに対して輝かしい将来を告げ、子どもが希望を持ち、自信を持てる言葉がけをしていました。
《アッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、アブドゥッラーとアビードゥッラーやアッバース家の子ども達を並べると、「私に先に来た子には、云々」と言っていました。彼らは競い合って彼に向かい、彼の背中や胸に乗っていました。そして、彼は彼らを抱きしめ、キスをしました。》アハマド伝承
預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の子どもたちへの愛情深さは、どの時代の親も学ぶべき姿勢です。子ども達は、親の愛情をとても必要としています。子どもに愛情をかけることは、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のスンナです。
私たちの子どもたちに、アッラーのご加護がありますように。