(2011/8/23 訂正・加筆)
بسم الله الرحمن الرحيم
1. 言え、「ご加護を乞い願う、人間の主、
2. 人間の王、
3. 人間の神に。
4. こっそりと忍び込み、囁く者の悪から。
5. それが人間の胸に囁きかける、
6. ジン(幽精)であろうと、人間であろうと。」
人間は、理性、思考、自律などで際立った性質を備えた被造物ですが、その弱さは残り続けます。そのため、人間は主に救いを求めるか、信仰にしがみつかなければ、欲や悪魔のささやきに引っ張られてしまいます。そこでアッラーは私たちのどのように加護を求めたらよいかを教えてくださいました。アッラーはまことにお優しく、慈悲深い御方です。
この章は、マディーナで啓示されたと言われています。
また、善と悪の葛藤と、人間の天性の中にある悪行を象徴すると同時に、悪を回避することと悪に勝てるようにアッラーに力を求めることを示しています。
まず、アッラーへ避難するよう信者に求める言葉で始まります。次に、アッラーの三つの性質が述べられます:かれこそが人々の主であること、つまり、人々の教育を任された御方。そしてかれは人々の王であること、つまり、人々を支配し、人々に命じ、禁じる御方。そしてかれは人々の神であること、つまり、本当の崇拝対象である御方。かれは強く、全てのことを成し遂げ給う御方であり、かれこそが全ての悪から私たちを守り給う御方であることを、アッラーは私たちに思い出させているようです。強大な悪の力に応じるためにはこのような性質が必要なのです。ここで信者に求められるのはアッラーにお助けを求めることです:「言いなさい、私は人々の主、人々の王、人々の神に加護を求めます、と。」この三つの性質(主、王、神)はアッラーに属します。それらには、力と抑制と保護の機能があります。信者を見張り、悪を美しいものに見せかける隠れた敵から、人間はアッラーのこの三つの性質に逃避するのです。
「人々」というフレーズが繰り返されていることや、「人々」がアッラーの属格として述べられて特別な意味合いを持つことで、人々がかれの導きに沿って生きた場合の、彼らのアッラーのもとにおける位の高さや尊さが説明されます。
「こっそりと忍び込み、囁く者の悪から。」アル=ワスワース(囁く者)とは、人々の胸に囁く悪魔です。アル=ワスワサ(囁き)とは、隠れた声や心の声です。悪魔はアーダムの子の心に腰を下ろし、彼が気を抜いてアッラーを想うことを忘れると、悪に導く隠れた言葉で人間に囁きます。しかし人間が主を想えば、悪魔は縮んで人間を害したり迷わせたりすることを諦めます。
アッラーに加護を求めることは、悪に誘導するものや悪を犯してしまう可能性を放棄することと結びついていなければいけません。それなしのイスティアーザ(加護を求めること)は無意味な行為でしかありません。
続いてアッラーは、囁きがジンのものである場合と、人間のものである場合があると仰せになりました:「それが人間の胸に囁きかける、ジンであろうと、人間であろうと。」
人間による囁きはさらに危険で害が大きいものです。あなたのもとに、友達や親戚や仲間が、信頼の置ける忠告者として現れて、あなたに悪を美しいものに見せかけて、あなたが悪に陥るよう仕向けないとは言えないからです。
ジンは各種類に分かれています。彼らの中には善行を成す良い者がおり、またイブリースやその子孫のように迷い腐敗した者もいます。彼らこそは、悪に導く悪魔です。彼らこそがアッラーの加護を求められる対象なのです。
アッラーが「囁き」を、「人々の胸に囁くもの」、と表現し給うたところは注目すべきです。「スドゥール(胸)」と読んで、実は胸の中に存在する「心」をアラブでは指します。心こそが囁きが入り込む場所であると同じように、「心」が指すものが固体ではなく、その場所に安置されている精神的力であることが意味として求められています。
そして最後に留意すべき点は、どのような囁きであっても、それらは決して私たちに悪事を強制することがないということです。私たちがその囁きに応じ、善事を放棄して、悪事を選んでしまうことが問題なのです。そのことは悪魔たちがよく知っているし、アッラーはクルアーンの中で次のように仰せにもなっています:「「あなたは,われのしもベに対して何の権威も持たない。」あなたの主は,信頼する方として万全である。」(17章65節)
参考文献:①ルーフ・アル=クルアーン タフスィール ジュズ アンマ/アフィーフ・アブドゥ=ル=ファッターフ・タッバーラ薯/ダール・アル=イルム リルマラーイーン(P203~205)
②アッ=タフスィール・アル=ワスィート/ワフバ・アッ=ズハイリー薯/ダール アル=フィクル(第3巻P2965~2967)
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