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ムスリムの子ども教育7~夫婦の意見の相違(1)

2018年09月16日 | 預言者の教育方法

ムスリムの子ども教育7~夫婦の意見の相違(1)

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)子どもの教育(3:11:24~27:13) bit.ly/1qdyDUw

子どもの教育の土壌・家庭における夫婦の意見の相違:

 

家庭内でのご夫婦の意見が食い違うことは、ムスリムであっても、ムスリムでなくても、信仰深い人でもそうでない人でも、日常的に良くあることです。怒りや満足、相違や合意を繰り返すのが家庭でしょう。そして、その延長線上に、夫婦喧嘩や夫婦関係の悪化があります。その原因は、「欲が勝ってしまうこと」です。

 

家庭の基礎は、「夫婦が家庭を使って、お互いにアッラーのしもべ性を実現すること」のはずです。なぜ、その過程の中で、争いが起きてしまうのでしょうか。その原因は、家庭内で、夫婦がアッラーのご満足を求めずに、行動してしまうことに拠ります。もし、ご家庭において、アッラーのタウフィーク(ご同意)により、夫婦がお互いを通して、アッラーのご満足を求めていれば、例え、妻が何か間違いを犯してしまっても、アッラーが彼女の間違いを隠し、夫がそれに対してよい振舞いをできるようにしてくださいます。では、もし自分の目の前で、夫の間違いが発覚した時、あなただったら、どう対処するでしょうか。

そこには3つの選択肢があります。

 

1.彼の間違いを批判し、あなたの方が正しいことを夫に理解させ、自分の正しさを証明し、なぜそんな間違いを犯すことができるのか、信じられない、と彼を責める。その結果、お互いの心の中に嫌悪感が残り、夫婦喧嘩へと発展する。

 

2.その場を収めるため、彼を非難せず、許し、お互いに嫌な思いをしないように、彼を慰め、励ます。アッラーのことは考えず、ただお互いの気持ちが悪い状態ならないように、という目的で、怒らないようにする。

 

3.自分の正しさを証明することも、相手の間違いを批判することも考えず、ただ、どうしたらアッラーが満足してくださるかだけを考える。

 

ご家庭内で、ご夫婦や家族関係が悪くなることの根本的な原因は、夫婦が「アッラーのご満足を求めること」を意図して関係を築いていないことです。アッラーのご満足を目的にしていない夫婦関係は、現世で、敵同士になってしまう可能性があり、また、それを改善しなければ、来世でもお互いが敵となってしまいます。クルアーンでアッラーはこうおっしゃっています。

 

【その日、主を畏れる者を除いては、(親しい)友も互いに敵となろう。】クルアーン 金の装飾章43-67

 

しかし、このことを頭で理解していたとしても、実際に、相手から悪い言葉を投げかけられたリ、ひどい仕打ちを受けたりすれば、怒りが湧きます。その時はどうすればいいのでしょうか。

 

まず、自分の怒りの正体を観察することが大切です。自分が怒っているのが、アッラーのご満足とアッラーのお怒りのためなのか、もしくは、アッラーのお怒りに関係なく、ただ、自分の自我がそれを嫌って、怒ることを要求しているだけなのか。もし、ただ自分の欲が怒ることを求めているだけならば、アッラーのご満足がある行為は、相手にゆずること、自分の権利を放棄することです。本当にアッラーのご満足だけを求めるのであれば、相手にゆずることができます。相手が自分の権利を害した、自分の尊厳を傷つけた、自分を軽視した、ないがしろにした時、そのときこそ、アッラーのご満足を求める人がどう行動するのかが現れます。最も尊厳ある、最も軽視されるべきでない御方、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が、どう行動されたのかを見てください。

 

≪アッラーの御使い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、アッラーの権利が侵害された時以外に、自分のために報復をしたことは一度もありませんでした。≫ブハーリー伝承

 

人は、欲に支配された時、理性による分別を失います。正しいことを間違っていると思い、間違ったことを正しいと思いこみます。そのため、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はこうおっしゃっています。

 

≪ある男が預言者(彼に神の称賛あれ)のもとを訪れ、彼が天国に行くためには何が必要かを尋ねたところ、預言者は彼に言いました「怒らないことだ。」≫ブハーリー伝承

 

ここでいう「怒らないこと」というのは、感情ではなく、行動です。つまり、「怒りを行動に移さないこと」という意味です。怒りを覚えること自体は、すべての人が感情として感じるもので、どんな人でも怒りを覚えることはあります。しかし、それを実行に移してしまわないように、と預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はこのハディースでおっしゃっています。もし相手に対して自分の内側に怒りを覚えた時には、まず、しなければならないことは、「話さないこと」です。なぜなら、怒りを内側に抱えている状態で、どんなに言葉を選んで話したとしても、必ず、間違った言葉が出てしまうからです。なぜなら、怒っている時には、理性による「分別」が失われているからです。少し考えてみてください。今までに、怒った時に言ってしまったことを、後から後悔したことはないでしょうか。

 

よく先生のところに来る相談の中に、「私は妻に『もう離婚だ!』と3回言ってしまったのですが、2回目に言った時は怒って理性を失っていたのです。ですから、まだ離婚は2回しか発生していなくて婚姻関係は続いていますよね?」というものが多くあります。(イスラーム法では、3回言ってしまうと、離婚が成立します。) 彼らは、怒りが去ってから考え、離婚を軽々しく口にしてしまったことをとても後悔しています。では、その気持ちは、怒っている時にはどこに行っていたのでしょうか。怒りが覆い隠してしまったのです。怒りは、欲という軍隊の中のひとつで、それが自分を支配すると、分別や理性を覆ってしまいます。そのため預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はこう仰っています。

 

≪あなたがたが怒った時に、立っていたら座りなさい。おそらく怒りは消えるでしょう。あるいは横になりなさい。≫アハマドの伝承

 

≪本当の強さは戦う人の力にあるのではない。

すると彼らは「アッラーの使徒よ、いったい誰にそれがあるのですか?」と尋ねた。

すると彼はこう言った。

それは怒った時に自分自身を制御することが出来る者である。≫ムスリム伝承

 

私たちが怒りをコントロールして、家庭を通してアッラーのご満足を求められますように✨ ✨ ✨


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