先日、九州最大のエノキ産地である「福岡県大木町」のエノキ工場がテレビで紹介されているのを見ました。エノキ工場では現在、利益が出ない状況が続いており、工場で働く女性が「夫から『利益が出ない仕事は、もはや仕事ではない』と言われている」と話していたのが印象的でした。
エノキは、スーパーで安価に手に入るキノコの1つで、火が通りやすく使いやすいのが特徴です。また、エノキを他のキノコとミックスして「キノコミックス」にすることで、リゾットやパスタ、マリネなどの料理が一気に華やかになります。さらには栄養価が高く、冷凍保存が出来る食材です。冷凍すると細胞壁が壊れてダシが出やすくなり、料理の旨味が増すというメリットもあります。
しかしエノキには、それ以外にも特別な役割があります。日本の国蝶である「オオムラサキ」の幼虫は、榎(えのき)の葉を食べて成長します。かつては日本各地で見られたオオムラサキですが、急激に個体数が減っており、現在では環境省の「レッドデータ」に掲載されるほど希少な存在となっています。
もしも福岡でエノキ産業が衰退し、エノキの木が大きく減少してしまったら… これからも、美しい蝶が空を舞う姿を見られるよう、福岡産のエノキを応援したいです。