門司区で発見された鉄道遺構を巡り、市民と行政の意見が分かれています。この遺構は、スケールの大きさや歴史的価値の高さから「世界遺産」に登録される可能性があるとも言われており、保存を望む声が日に日に広がっています。署名活動も活発に行われ、多くの市民がその価値を守りたいと訴えています。 ですが、北九州市はその多くを取り壊す方針を示しています。一部は保存や移転が予定されていますが、それは申し訳程度の「ほんのちょっとだけ」な規模のようです。
北九州・門司には、鉄道にちなんだ多くの観光名所があります。JR「門司港駅」は、駅舎自体が観光名所として知られており、門司港地区には「九州鉄道記念館」や「門司港レトロ観光線」などの観光スポットがあります。さらに北九州市は「銀河鉄道999」を生み出した松本零士さんとのつながりも深く、JR小倉駅にはキャラクターの銅像が立ち、新幹線の発車時には「銀河鉄道999」のテーマソングが流れます。さらに、JR九州を走る在来線車両の修繕や改造を行う「小倉総合車両センター」には「小倉工場鉄道ランド」という施設があります。
今回見つかった鉄道遺構を、既存の観光名所と組み合わせれば、新たな観光商品を開発することが出来ます。それにより、他の観光スポットとの相乗効果が得られるだけでなく、飲食・物販・交通など、幅広い分野への経済波及効果が発生します。また、この鉄道遺構は歴史的な価値が高いため、遠足や修学旅行の目的地としてもピッタリだし、電車好きな小学生の「夏休みの自由研究」のテーマにもうってつけです。そうすることで「鉄道ファンの聖地」としての北九州市の認知度を、さらに高めることが出来るでしょう。
しかし、鉄道遺跡の取り壊しを進める側にも、きっと理由があるはずです。遺跡が見つかった場所が、老朽化した複数の公共施設を総合した新施設の建設予定地になっているそうなんです。しかし、賛成派の声は殆ど報道されていません。それがどのようなものなのか、他の場所ではダメなのか、建替を中止・延期するとどのようなデメリットがあるのか、その説明を聞いてみたいです(責めるような記者会見じゃなくてね)。
一度取り壊してしまえば取り返しがつかないものなので、決断を急がず、多くの人が納得できる判断をして頂きたいと思っています。