ただの思考実験であってほしい。そもそも、転生するってことは、いったん死んでしまったということを意味する。
死んだらお寺。死んだら転生。そこはテンプルフロンティア。別名テラタク世界。
転生したらカタカナの異世界だった。それでは あまりにも むごすぎる。ちょっとだけ、サイレントチェンジ(承認なしで設定変更)!
転移したらカタカナの異世界だった。その異世界(テンプルフロンティア)では、どうやら(共通語としての)英語が存在するらしい。
だが、文字はカタカナしかない。どういうことなのか。
異世界で日本語勢力と英語勢力が大規模に衝突したのだろうか。
その際、もともとあった異世界の言語は蹂躙されたのでは?
だが、かくたる物的証拠は存在しない。
話し言葉では、共通語としては英語が勝利したのだが、書き言葉ではカタカナが支配的になった。大規模衝突の当時、転移してきた日本語勢力の人数は英語勢力を圧倒していた。
もとからいる異世界人にとって、漢字は論外、英語のスペリングも複雑すぎた。
英語をしゃべらない人々が仕事にありつけないように、社会の仕組みが 半ば意図的に変えられた。(衣食住は守られた。)
異世界の人々は生き延びるために英語をしゃべるようになった。
ユウエセイ思想が蔓延・浸透したことにより、英語をしゃべる者だけが家庭を築いた。
こどもたちは英語をしゃべるようになった。
ただし、異世界での言語の書き言葉に関係する学校・図書館・書店・出版社・その他マスメディアなどは、カタカナ支配が蔓延した。
書き言葉は新しい学校で教育された。英語は話し言葉としては存在したが、その読み書きはカタカナだ。
しかし、カタカナは複雑だった。ラテン文字のほうが数がすくなくてすむのだが、アルファベットという概念は社会通念上は存在しなかった。
それを知っているのは、テラタク世界では限られた人間(大半が地球世界からの転移者)だけだった。
英語勢力の転移者は、ラテン文字の知識を持っていた。カタカナで書かれた英語にはなかなかなじめなかった。ラテン文字の表記法をとりもどしたいが、異世界人にとっては文字と発音の不一致は複雑だろう。
かたや、日本語勢力の転移者は、日本語での用法とはかなり異なるカタカナの使い方に違和感をおぼえた。カタカナは、日本語専用であってほしい。テンプルフロンティアでは、共通語としては英語が使われている。英語による支配は完成したかに見えた。だが、日本語は滅びてはいなかった。