山王アニマルクリニック

日々の診療、いろんな本や音楽などについて思い巡らしながら、潤いと温もりのバランスを取ってゆこうと思います。

子猫の直腸脱

2020-10-31 18:12:11 | 診療よもやま

最近、猫の出産ラッシュ第2波が来ているようで、子猫ちゃんを連れてくる方が多いです。

この子は、今年最初の出産ラッシュ時に来た子猫ちゃん。

がりがりに痩せており、前から見ると目ヤニだらけ…くしゃみや鼻水もあり、猫によくある呼吸器感染系のひどい状態でした。

後ろから見ると、お尻からシッポにかけてウンチまみれ…ひどい下痢が続くと、きばり過ぎてしまって、このように直腸が飛び出してしまうことがあります。

検便をしてみると、ちょっと見つけにくい小型のコクシジウム(原虫と呼ばれる寄生虫の一種)と回虫がいました。

直腸脱は、下痢の原因である寄生虫を駆除し、腸が脱出しない処置をすれば、治ることが多いと思います。

でも、この子は下痢が止まっても再脱出してしまったので、ちょっと長めの入院となってしまいました(最悪の場合、脱出してしまった腸を切除するか、腹壁に腸を固定する手術が必要)。

しばらく入院して、呼吸器症状も消化器症状も改善し…スタッフに洗ってもらったら……こんなにきれいな子になりました!

毛質がしっとりと柔らかく、ちょっと長めなので、捨て猫だったとは思えない気品があります。

私の顔を見ると「ニャ~!」とうれしそうな声で鳴き、とっても懐いてくれました。

これは退院後の写真――実猫はもっとかわいいのですが、うまく撮れなかった……でも、きれいな青い瞳でしょ?

久しぶりに会ったので、ちょっとよそよそしい感じでしたが、再発せず、楽しく元気に暮らしているそうです!!

追記:

手術しないで済んでいたのですが…4ヵ月ぶりに直腸脱が再発し、戻ってきてしまったのです。

多頭飼育で、なかなかワイルドな環境だったのか?ノミだらけで、しっかり駆除したはずなのに、回虫も再発してしまいました。

 

でも久しぶりなのに、けっこう私のことは覚えてくれていて、ゴロゴロ喉を鳴らしながら、遊んで遊んでと可愛く手を出してきます。

 

 

一回戻したら再発しなかったのですが、念のため不妊手術と同時に直腸固定術を行いました。

 

これでまず大丈夫なので、今度こそ幸せになってもらいたいですね!!

(現在は何とウサギちゃんと共に仲良く暮らしています!!)


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地域猫の捕獲方法 (エム)
2020-06-24 22:07:32
突然のコメント失礼いたします。
知人からこちらの病院を紹介され、ブログにたどり着きました。実は今、地域猫の1匹が昨日から口からよだれが止まらず、舌がちょっと出てる状態でご飯もおやつも食べません。11才~12才なので寿命が近いのかもしれませんが、なんとか一度病院に連れて行きたい思いなのですが、どう捕獲していいのか近所のみなさんと困り果てています。リラックスしているときはとても人が好きな子で、身体をなでさせてくれて、抱っこしてと自分から膝にのぼってくることもありますが、こちらから捕まえようとすると警戒して逃げてしまいます。まだグッタリしてる感じはないのですが、ちょっと痩せてしまったように見えます。一日も早くなんとか捕獲して連れて行きたいのですが・・えさを目の前に置くと興味を持って顔を近づけるのですが、うまく口を開かない感じなので、口の中が歯肉炎や歯が折れたなどで痛いのかな?とも思うのですが・・このまま食べ物を口にしないと数日で死んでしまいそうで、焦っています。前置きが長くなりましたが、質問です。猫は洗濯ネットをかぶせればおとなしくなるのでしょうか?それともネットをかぶせても暴れる子もいるのでしょうか?さきほども家の駐車場にいたのでゆっくり近づき、身体をなでてから後ろから抱えられたのですが、玄関にいれる直前で暴れて逃げてしまいました(泣)自宅にうまく入れられたら、洗濯ネットをかぶせてみようか?と思うのですが、洗濯ネットがベストなのか、それとも何か別の捕獲方法がありましたらアドバイスいただきたく思います。今日のこの記事の子猫ちゃんのように、顔と首回りがめやにとよだれでぐしゅぐしゅになっている(長毛の子なので)ので、なんとか栄養補給して綺麗にしてあげたいです。突然のコメント失礼いたしました。
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かわいそうですが、あせらずに… (山王アニマルクリニック)
2020-06-26 20:34:38
そのような症状では、レトロウイルス(猫エイズや猫白血病ウイルス)が絡んだ口内炎や老化による歯肉炎などのケースが多いと思います。

そういうケースでは、食欲はあるのに口の中が痛くてご飯が食べられない…という状態なので、本当にかわいそうなんですよね。

食べようとする気力があるのなら、ケージの奥にフードを入れ、中に入ったらケージの扉を閉めて捕まえる方法(あまり小さいケージだと、扉を閉める時に尾が邪魔になって失敗します)が、無理やりケージに入れるよりいいと思います。

この場合あせって捕まえようとせず、まずはケージの中以外ではおいしいフードを食べることができない状態にして、ケージに対する警戒心をなくしてから計画的に捕まえるタイミングを計った方がいいでしょう。

かわいそうな状態なので、あせる気持ちはわかりますが、あせり過ぎるとだいたい失敗します。

洗濯ネットに入れる方法でも、あせって無理やり突っ込もうとすると、猫もびっくりして逃げてしまいます。

まずは、余裕で猫が入れる大きさの丈夫なネットを選び、いい子いい子と喜ぶ所をマッサージしつつネットの中にさりげなく入れ、最初はゆっくりと…最後だけはさっとチャックを閉めるような感じの方が上手くいくと思います。
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Unknown (エム)
2020-06-27 17:52:11
ご返信、ありがとうございます。
とても参考になりました。
あの後、ご近所さんと協力し、なんとかリラックスさせた状態で抱っこに成功し、ケージに入れ、遅い時間だったので一番近い病院に駆け込むことができました。やはり口臭もあるので口の中が原因だろうとのことで、注射を2本(ステロイド?)、脱水対策で皮下点滴を1本していただき帰ってきました。やはり痩せて、まだ力のない状態ですが、昨日の夜はごはんを少し食べてくれて、よだれもおさまってきたように見えます。ただ、血液検査はもう少し状態がいいときにしたほうがいいとのことで、先日はしなかったので、猫エイズや白血病ウイルスがあるかどうかはわかりません。先生にも一旦症状が収まってもまたすぐぶりかえす可能性もあると言われました・・寿命であれば受け入れる気持ちではいるのですが、それまで痛みで苦しむのを見るのがとてもつらいです。少しでも苦痛をとりのぞいてあげたいです。やはりもう少ししたらなんとかもう一度捕まえて、猫エイズ、白血病ウイルスの検査もしたほうがいいでしょうか。動物は仲良くなってしまうと、こうなったときにとてもつらいですね・・ アドバイス、ありがとうございます。
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