稲敷資料館日々抄

稲敷市立歴史民俗資料館の活動を広く周知し、文化財保護や資料館活動への理解を深めてもらうことを目的にしています。

特別展「常刕江戸崎不動院」の見どころ!(16)

2022年03月18日 | 日記
不動院と天海と東照三所大権現(7)


江戸崎不動院の「東照三所大権現宝号」

前回は、徳川家康のお葬式を取り仕切ったのが、江戸崎
大念寺の開山僧・源誉慶巖だった!というお話でした。

一周忌が過ぎた家康の霊は日光山に勧請されることに
なるのですが、その祭祀の方法について、議論がおこな
われました。

大明神として祀られた豊臣秀吉の豊臣氏が滅亡したこと
などから、家康は大権現として祀られることになり、
その方法は一説に、天海が後陽成院より授けられたと
される「山王一実神道」に基づくことになります。

江戸崎不動院には、天海直筆の「南無東照三所大権現」
(№63)の宝号の掛軸
が遺されています。


「東照大権現」や「権現様」というと、徳川家康の別称
であったり、東照大権現像という名の徳川家康とされる
肖像画を見たことのある方も多いかと思います。
東照大権現=徳川家康であることは、周知の事実ですね。

では、「三所」とは一体何でしょう?
実質的に天海が考案した、山王一実神道とは、天台宗の
「山王神道」を元にしているとされています。

三所は、三柱の神様で、権現ですから神仏習合の本地
仏が存在しています。
簡単に説明すると…
東照大権現=薬師如来(徳川家康)
日吉山王権現=阿弥陀如来(①)
摩多羅神=釈迦如来(②)
と言われています。

これらを三つ合わせてお祀りし
「東照三所大権現」としたのです。

天海は、徳川家と、徳川幕府の始祖である家康を、
天台宗の鎮守である山王権現と一緒にお祀りすることで、
徳川幕府の元で天下泰平を祈る天台宗という形を作り
あげました。

このように、東照権現信仰は幕末まで神仏習合
の形でおこなわれたのです。

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