歴タビ日記~風に吹かれて~

歴タビ、歴史をめぐる旅。旅先で知った、気になる歴史のエピソードを備忘録も兼ね、まとめています。

鞆幕府は?~足利義昭・亡命の地

2022-11-02 16:11:26 | 広島県
広島県福山市、鞆(トモ)の浦。
瀬戸内の「真ん中」に位置し、
古くから「潮待ち」の港として栄えました。

今も、穏やかな海に面した古い街並みが残る
風情ある土地柄です。
JRのCMに使われているのも、よくわかります。



この地を訪ねたのは、室町幕府第15代将軍・足利義昭が
織田信長と対立し、都を離れ、ここで亡命政権ともいえる、
「鞆幕府」を開いていた、と聞いたからです。

2020年大河ドラマ「麒麟がくる」では、
滝藤賢一 さん演ずる義昭が、のどかに釣りをしていた場面が
ありましたw

あれが鞆の浦でのことだったんですね~♪


ところが・・・
鞆の浦を歩いていても、それらしき説明が見当たりません。

そこで、福山市鞆の浦歴史民俗資料館(↓)で尋ねてみました。
ここは高台、鞆城の跡地にあります。



学芸員さんらしき、年配の男性によると・・・

足利義昭の住まいと、確定しているわけではないが、
鞆城のものと思われる、桐文様のついた鬼瓦が出土している。
おそらく、義昭は、この地で過ごしたのだろう。

・・・とのことでした。

残念ながら、鬼瓦は、現在、大阪に出張中だそうで
お目に掛けられないけれどとも、付け加えられましたw


そのかわり、「鞆幕府 将軍 足利義昭」と題された、
2020年の特別展のパンフレットをいただいています。

「こども向けパンフレット」とのことながら、
わたしたちが欲しい情報には十分です!


(資料館前より海を望む)


それによると、

16世紀、将軍・足利義昭は、紀伊・由良(和歌山)から瀬戸内を通り、
鞆の浦へ上陸。

まずは、足利尊氏ゆかりの小松寺などへ落ち着きます。
やがて、毛利氏によって、鞆城へ居館が建てられた、とのこと。

足利義昭は、11年にわたり、この地に暮らし、
征夷大将軍として、活動をしていました。
亡命政権とはいえ、将軍としての一定の権威もあったそうです。


(鞆城 石垣の跡)


ただし、鞆城が城郭として整えられたのは、
義昭の時代ではなく、さらに先、関ヶ原合戦の後のこと。

城の解説版によれば、この地に入った福島正則が城郭として整え、
その次の水野氏の時代には廃城。
以後、ここは、江戸時代を通じて、町奉行所が置かれていたそうです。


(小松寺があると思われる方向を眺める)


ところで・・・
義昭が、最初に滞在したらしい小松寺って、どこなんだろう?

鞆の浦にあるのなら、行ってみたいよね、
・・・ということで、地図を見ながら、
小松寺へ歩くことにしました。



高台の鞆城址を下り、寺町へ。

途中、クランクめいた路地(城下町らしい!)や
尼子家の旧臣・山中鹿之助の首塚(伝)など
歴史を感じさせる道です。



一方で、小学生の下校する横断歩道では、
見守りのおじいちゃんたちが声をかけ、
普段の生活も垣間見られました。



歩くこと10分ほどだったでしょうか。

小松寺に到着。
鞆祇園宮とも呼ばれる、沼名前(ヌナクマ)神社に向かって、
すぐ左に入り口がありました。



夕暮れも近い頃です。
ちょうどお寺ではお庭のお掃除中、
ご挨拶をして、見学させていただきました。(拝観料なし)



境内の案内板によれば・・・

寺は、小松内府こと平重盛(清盛・嫡男)が、厳島神社参詣の折、
この地に阿弥陀仏を安置、御堂を建てたことに始まるそうです。
その後、遺髪も収められ、立派なお堂が建てられたとか。

なるほど、だから「小松寺」!



1335(延元元)年、足利尊氏は、この地で九州への戦勝を祈願。
光厳天皇の院宣を賜り、錦の御旗を掲げ、意気を揚げたとか。

240年後の1575(天正3)年、最後の足利将軍・義昭は
都を逃れ、折から、この地に陣を張っていた、毛利輝元を頼り、
しばらく滞在します。

その後、羽柴秀吉との和議が整うと、
義昭は常国寺(福山市熊野町)に「移住す」とありました。

どうやら、鞆幕府の館に移り住むまでには
もう少し、時間がかかったようです。

古人曰く「足利は小松に興り、小松に亡ぶ」・・・



さて・・・義昭の鞆幕府について、
詳しいことはわかっていないことが、わかりましたw
そのおかげで、小松寺までを、歩くことができたわけです。

これは、これで楽しかったなぁと、
夫と話しあいました。

パンフをくださった鞆の浦歴史民俗資料館の
学芸員さんに感謝です。

鞆の浦や歴史がお好きなんだろうなぁと言うのが
よく分かる方でした♪

***********************
おつきあいいただき、皆さま、どうもありがとうございました。
素人のことゆえ、間違いや勘違いについては、
どうぞ、ご容赦下さいませ。

参考:
福山市鞆の浦歴史民俗資料館 編集・発行  2020年10月8日発行
「特別展 鞆幕府 将軍足利義昭~瀬戸内・海城・水軍~」
(こども向けパンフレット)

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