![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/69/c2c3a438d90e63c7e7b900fb49e36ee5.jpg)
広島、江田島の海軍兵学校跡(第一術科学校)・見学記。
本日は番外編、海軍兵学校跡から離れ、校外のゆかりの地へ足を延ばす。
向かった先は、「真道山・千本桜」。
この江田島市のHPによれば、
昭和の初めに兵学校が土地を購入、生徒の訓練場として
あるいは憩いの場として使われたそうだ。
なるほど、訓練場ね・・・
わかるよ、わかりますとも!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/32/5cfcd7c8944cafe2b538746fcde0c59a.jpg)
実際、途中までは車で来られたものの、
最後の最後は心臓破りなんてものじゃない。
↑はるか先へと階段を登らねばならず・・・
今でさえ、こうなのだから、
兵学校の頃は、どれほど過酷な道のりだったか・・・
これなら訓練になる!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/32/a71f91b1f859a4d86d6b74cc13941226.jpg)
山上には「同期の千本桜」記念碑がある。
建立は、平成4年3月、「海軍兵学校連合クラス会」と刻まれている。
碑文によると・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/55/8467e9e32c9c811555f216c829b6afbb.jpg)
昭和14年11月、昭和天皇の兵学校行幸を記念し、
真道山一帯に、吉野の千本桜を植えた。
ところが、戦後の山火事で焼失。
それからは荒れるに任せていたが・・・
花と緑の万博の年(平成2年)
能美町、大柿町の協力や、「日本さくらの会」の支援により
同期の千本桜を植樹する。
「散華したる幾多の先輩期友を偲び、海軍兵学校の精神を
次の歌と共に後世に語り継がん・・・」と結ばれ、
「同期の桜」の歌詞が刻まれていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/cb/a41b870995d3f166ea9689afe989f369.jpg)
「貴様と俺とは同期の桜・・・」
昭和生まれなら、聞いたことのある軍歌だろう。
余談ながら「貴様」の呼びかけは海軍流なのだそうだ。
↑池澤夏樹『また会う日まで』(朝日新聞社)で
知ったエピソード。
歌詞の内容は、さておき、
碑文にも刻まれた「散華(戦死)」した仲間を偲ぶ気持ちは、
心からのものだろう。
かつて若くして出征したものの無事復員した人たちは
多くが「なぜ、自分は生き残ったのか」と
終生、問い続けていた(いる)と、聞く。
お辛かろう・・・
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もうひとつ、ここには「五省」の碑もあった。
徳川宗英氏によれば、発案者は三川軍一大佐(後・中将)。
(記念碑に、発案は「江田島出身」の軍人という名前が刻まれていたが
三川大佐かどうかは記憶にない。広島県出身だそうだが)
「五省」は1日の締めくくりとして、毎晩、生徒が暗誦したそうだ。
一.至誠に悖るなかりしか(不誠実な行動はなかったか)
一.言行に恥づるなかりしか(言動に恥ずべき点はなかったか)
一.気力に欠くなかりしか(気力にかけることはなかったか)
一.努力に憾みなかりしか(悔いを残さないよう、諦めずに努力したか)
一.不精に亘るなかりしか(不精をせず、最後まで物事に取り組んだか)
なるほど・・・
これを暗誦して、1日の反省をする・・・ふむふむ。
・・・と思いきや、徳川氏は
「かけ算九九のように次から次へと唱えるだけ」
だったそうだ。
このあと、すぐに就寝の巡検があり、気が急いていること、
身体がくたくたに疲れていることなどを挙げているが・・・
氏は、当時、今で言う高校一年生。
いくら、当時の子どもがおとなびていても、
内容も難しければ、成長期の眠くてたまらない時期。
下級生は、そんなものだったのかもしれない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/95/94e4bb9eafafa8f7bf350abdbbe6a090.jpg)
肝心の千本桜は、3月半ば、
せいぜい、ほころびかけた蕾を見つけるのが、やっと。
一週間もすれば、花がきれいに咲くのだろう・・・
真道山からは瀬戸内の海が眺められ、
海軍兵学校を見下ろすこともできる。
その地に仲間が植えた千本桜は、
若くして亡くなった魂を慰めてくれるだろうか・・・と
想いつつ、後にする。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/19/1c2b26e28769c53e98104a3240293c94.jpg)
・・・と、現実派の夫が苦笑した。
「桜の花見、混雑しないのかな。
どうすんだろうな、
車を駐車するスペースなんて全然ないじゃん」。
夫は、ここで、方向転換がやっとで、しかもズリズリすべる砂地に
苦労して駐車してくれた。
実感だろう。
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おつきあいいただき、どうもありがとうございます。
リンクしたHPや、現地の碑文と、以下の本を参考にまとめましたが、
間違いや勘違いもあるかと存じます。
素人のことと、お許し下さいませ。
◆参考・引用
徳川宗英『江田島海軍兵学校 世界最高の教育機関』角川新書