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横浜生まれ、横浜育ちの「ハマッ子」なので、
箱根駅伝は、子どもの頃から近しい。
コロナ禍以前のここ十数年は、沿道観戦も欠かさなかった。
選手が走ってくるのを、寒風吹き付ける路上で、待つこと数時間。
先頭選手が、いよいよやってくるとのアナウンスが入る・・・
その一瞬の静寂の後・・・大歓声。
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(画像は2020年2区・9区で撮影)
目の前を、まさに風を切るようにして走る、
その力強さに、懸命さに、我を忘れ、夢中で叫ぶ。
どの学校にも声援を送らずにはいられない。
それがコロナ禍以前、わたしの正月だった。
今年の箱根駅伝が終わった今、
やっと落ち着き、正直、ほっとしている。
箱根駅伝が近付き、話題が出始めると、もう気もそぞろ、
期待と不安が入り交じって、何も手につかなくなってしまう。
最近は、もっぱらテレビ観戦なのだが、小心者なので、
観戦中は、贔屓のチームの走りが心配で
観ていられなくなることも、しばしば。
一方、ご贔屓チームが活躍すれば、ガッツポーズで飛び上がる・・・
とにかく、泣いたり、わめいたり、気分は乱高下。
ジェットコースターの如き2日間なのだ。
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今年の大会は第100回の記念大会だった。
それにあわせたのだろう、
「タスキシリーズ」の最新刊『タスキ彼方』(小学館)が出た。
額賀澪「タスキシリーズ」は、
2016年、デビュー間もなかった作者の『タスキメシ』に始まる。
駅伝選手として将来を期待されながら、ケガに泣かされる
高校生・早馬 が主人公だ。
早馬 は、リハビリの傍ら、なぜか料理部も兼部することになり、
やがて料理に魅せられていく・・・
作中の料理部のレシピで、我が家の定番になった一品もある、
料理も魅力的な小説だ。
当時は、料理と陸上という組み合わせが、とにかく新鮮だった。
そして額賀氏のストリーテラーとしての才。
毎度、最後にどんでん返し、それがまた泣かされるのだ。
額賀氏の作品は、基本、青春小説なので、明日を信じられるのが良い。
とにかく「タスキシリーズ」は、
早馬と弟・春馬、親友やライバルとなる陸上選手、
そして思いを寄せる料理部員の都らと共に進み、
『タスキメシ箱根』では大学生に、
『タスキメシ五輪』は社会人に、主人公も成長している。
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そして100回大会の今年『タスキ彼方』。
早馬は登場しないが、おなじみの常連校が並ぶ。
本作では、100回大会を目指す令和の大学生と
日中戦争下、箱根駅伝の中止された大学生との
それぞれが描かれる。
もちろん、時々涙しながらも、一気読みしたのだが・・・
歴史好き&箱根駅伝ファンとしては、
それだけでは終われない。
『タスキ彼方』に書かれていた、
大学生が学徒出陣、多くが特攻要員に駆り出される時代の
箱根駅伝を、もっと、知りたくなる。
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さっそく、『タスキ彼方』で参考文献として挙げられていた本を
図書館から借りた。
所蔵があり、読みやすそうだった本だ。
早坂隆『昭和十八年の冬 最後の箱根駅伝
戦時下でつながれたタスキ』(中央公論新社)。
・・・既に読了。
『タスキ彼方』のタイトルの意味を、
あらためて噛みしめる。
そして「タスキ」の重さゆえに、
箱根駅伝が、ますます好きになっている。
拙ブログでは、『タスキ彼方』から
戦前の箱根駅伝中止決定から戦後の復活大会までを
大まかにまとめたのだが、裏付けが欲しくて、
これはボツにした。(非公開)
今、歴史にまつわるノンフィクションだけでなく、
フィクションも合わせ、図書館に予約していて、
ようやく借りられた本のストックが
すさまじいことになっているw
(フィクションは、直木賞候補の加藤シゲアキ『なれのはて』講談社を
読み始めたところ。秋田の土崎空襲を扱っている!)
しばらく先になるかも知れないが、
戦前・戦後の箱根駅伝についてまとめたいと
宣言をこめて、本日アップした。
本日の記事は「プロローグ」のつもりでいる。
📖 額賀澪作品の書影は、「額賀澪公式サイト」より
『最後の箱根駅伝』は版元ドットコムよりお借りしました。
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おつきあいいただき、どうもありがとうございます。
波乱の幕開けとなった2024年。
箱根駅伝の選手の中にも、
被災地の出身者がいらっしゃるそうです。
今、被災していない私達のできることは
普通の生活を送ること、
そして、いつか私にもできることのある日まで、
見守っていくことなのでしょう。
大変な幕開けの本年ですが、
拙ブログでは、細々と「歴史」にまつわる想いを
まとめていくつもりです。
本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。