階段を上る。一段飛ばし、二段飛ばし。
流石に胸が痛く苦しくなってくる。
肩で息をしながら着いた最上階、狭い屋上の中央には、
小振りな塔がまた一つ。
「よく来たな。“偽物”」
塔の前に、俺の偽物が待っていた。眠らされたエリュテイアを抱えている。
俺が身構えた時、背後に気配を感じた。アジュアとセーブルがいた。
「君の仲間は、もう居ませんよ」
「……今頃は、冥府で待っているところだろう」
「さあ、武器を捨てろ! そうすれば、彼女は助けてやってもいい」
俺の偽物は、下卑た笑いを浮かべて俺に命じた。
奴らに囲まれた俺は、ナイフを手放した。
俺の偽物は、エリュテイアを打ち捨て、揚々と俺に向かってきた。
もう駄目だ。三方からの同時攻撃から逃げるなんて不可能だ。
アジュアの刀がきらめき、眼前に突きつけられる。
俺でなく、俺の偽物の方へ。って……え? え!?
気づくと、アジュアだけじゃなく、セーブルの弓も偽物を狙っていた。
彼らの表情を見て、俺は悟った。
どっちも本物だ! 俺はその場にへたり込みそうになった。
「ば、馬鹿野郎! そーゆー事なら最初から言えよ!」
俺と同様に騙された俺の偽物は、憤怒の顔で身を翻したが、もう遅い。
以前の俺の偽物と同じ運命を、奴も辿った。
流石に胸が痛く苦しくなってくる。
肩で息をしながら着いた最上階、狭い屋上の中央には、
小振りな塔がまた一つ。
「よく来たな。“偽物”」
塔の前に、俺の偽物が待っていた。眠らされたエリュテイアを抱えている。
俺が身構えた時、背後に気配を感じた。アジュアとセーブルがいた。
「君の仲間は、もう居ませんよ」
「……今頃は、冥府で待っているところだろう」
「さあ、武器を捨てろ! そうすれば、彼女は助けてやってもいい」
俺の偽物は、下卑た笑いを浮かべて俺に命じた。
奴らに囲まれた俺は、ナイフを手放した。
俺の偽物は、エリュテイアを打ち捨て、揚々と俺に向かってきた。
もう駄目だ。三方からの同時攻撃から逃げるなんて不可能だ。
アジュアの刀がきらめき、眼前に突きつけられる。
俺でなく、俺の偽物の方へ。って……え? え!?
気づくと、アジュアだけじゃなく、セーブルの弓も偽物を狙っていた。
彼らの表情を見て、俺は悟った。
どっちも本物だ! 俺はその場にへたり込みそうになった。
「ば、馬鹿野郎! そーゆー事なら最初から言えよ!」
俺と同様に騙された俺の偽物は、憤怒の顔で身を翻したが、もう遅い。
以前の俺の偽物と同じ運命を、奴も辿った。