リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

51. ローテンブルク

2017年04月15日 | 旅行

2016年・ドイツ14回目の旅  No.7


         

  マルクト広場の時計台は市長が大ジョッキでビールを飲むシーンが見られます。ローター・ハーンは美味しいレストラン。その斜め前にある聖ヨハネ教会にもリーメンシュナイダー作の磔刑像があります。何年か前に展示が始まったようです。お見落とし無く!


  ▼ローテンブルク 10月16日~18日(2泊)
 ◆10月16日(日) 空飛ぶトランク! 15日~16日で21349歩

 
  今日はローテンブルクに向かいます。8時45分にホテルのロビーで集合でしたが、珍しく啓子さんの姿が見えず大丈夫かなと思ったところへ外から戻ってきました。前の日にとてもきれいな写真が撮れたので今日はライオン橋も見たいと思って出かけたけど、朝靄で見ることができなかったそうです。9時41分の列車に間に合うようにと思いながらもトランクを持っての歩きはなかなか手間取るものです。この日は啓子さんにバイエルンチケットを買ってもらいました。また一人で来たいと言っていたので、チケットも買えるように練習しておく方が良いと思いましたから。活動的な彼女のことだから今後はリピーターになるかもしれません。

 準急列車(RE)は始発なので既にホームに停まっていました。長距離用列車のようには荷物置き場がなく、大きなトランク3つでワンボックス、人間3人でワンボックス取ったので気になりました。他の人たちも結局トランクで座席一つとっていましたから同じことではあるのですが、段々混んできてちょっとハラハラ。でもなんとか出発時間が来てホッとしました。朝靄も途中からサーッと消えて「ゴールデン・オクトーバー」と言われるとおりの美しい景色が広がりました。
 途中シュタイナハ駅で乗り換えるのですが、乗り換え時間が短いのがいつも悩みの種。三津夫が階段脇についている荷物ベルトの上にトランクを乗せたのを見て「あれ? 動くのかしら」と思ったけど、やはり動かないのです。このベルトはほとんどが故障中というしろもの。彼は力でトランクをコントロールしながらベルトの上をころがして下り始めました。私はとてもじゃないけどコントロールできないと思い、階段をエッチラオッチラ下りていると、上から「キャー!!」という叫び声。啓子さんです。振り向くと彼女のトランクがスローモーションのように空を飛んで落ちてくるところでした。三津夫ともう一人男性が階段下にいたのですが、二人とも間一髪で脇に避け、トランクはドーンと通路にもんどり打ってとまりました。何事もなくてよかった~! 肝を冷やすとはまさにこのことです。一番肝を冷やしたのは啓子さんでした。他の人に当たらなくてよかったと何度も胸をなで下ろしていました。トランクの中身が大丈夫かと気になりましたが、三津夫のようにベルトの上にトランクを乗せたものの、重たいトランクが暴走してしまったのですね。あとからこの話は「空飛ぶトランク」と名付けられ、あちこちで語られることになりました。幸い、乗り換え時間内にローテンブルク行きの列車に乗り込むことができ、しばらく興奮冷めやらずで笑いすぎて涙が出そうでした。誰も怪我しなかったから笑い話で済みましたけれど、皆さんも気を付けてくださいね。

  2年ぶりのローテンブルク。駅前のホテルにチェックインするにはまだ早く、荷物だけ預けて町へ。途中、赤い蔦が美しくからまる建物に啓子さんは感激し、写真を写していました。やはりこの町は見どころがあります。入り口の大きな木についている実も面白いし、猫が1匹座っているだけで絵になる町。でも何故か人が少ない。気が付いてみたら今日は日曜日でした。「あら~、お店も開いていないかもしれない」と、急に心配になりました。ドイツでは日曜日と普段の日の町の顔が全然違います。でもマルクト広場に近づくにつれて段々賑やかになり、開いているお店も見えてきてホッとしました。啓子さんはここでお友だちや家族へのお土産を買いたいと言っていたので、お店が閉まっていたら本当に申し訳ないことでしたから。
 まずは最大のお目当て、リーメンシュナイダーの「聖血の祭壇」を見に聖ヤコブ教会へ。次にクリスマス用品で有名なケーテ・ヴォールファールトのお店で啓子さんはおみやげ探し。その間にフランツィスカーナ教会の開館時間を確かめに行くと、普段なら開いているはずなのにこの日は特別閉館という張り紙があり、残念。この城壁に囲まれた町の中で、現在4カ所にリーメンシュナイダー作品があるのですが、それを一度に見るのはなかなか難しいのです。ヨハニスキルヒェは拷問博物館の手前にある目立たない教会ですが、リーメンシュナイダーの磔刑像が数年前からあるのです。ガラスケースに入っているので写真はとても写しにくく、多分雨の降るような薄暗い日の方が、まだよい写真が撮れそうです。

                           

             普段写すのを忘れがちな「聖血の祭壇」の裏側。リーメンシュナイダーが暗すぎると言って中央にある窓を開けさせたそうです。

※ このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

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50. デッテルバッハとフォルカッハ

2017年04月14日 | 旅行

2016年・ドイツ14回目の旅 No.6

 

                 

                 デッテルバッハ美術館                              フォルカッハの葡萄畑の聖マリア巡礼教会


◆10月15日(土)  ペーター、ありがとう!

    朝9時半にホテル前に出て待っているとちょうどペーターがやってきました。この日はデッテルバッハ経由でフォルカッハまで乗せて行ってもらう予定です。2014年にヴュルツブルク市内にある教区美術館に行ったのですが、リーメンシュナイダーの工房作とされる嘆きの聖母像(いわゆるピエタ)がこちらにあることがわかり、それ以来行って見たいと思っていたのです。日本で検索したときには行き方もわからず、ペーターにお願いしたのでした。フォルカッハの近くだということが地図ではわかっていたので啓子さんにフォルカッハの「ローゼンクランツのマリア」も見せたくて、デッテルバッハ経由でフォルカッハというルートにしてもらったのでした。
  デッテルバッハはヴュルツブルクからさほど遠くないのですが、やはり車がないと不便なところでした。街中にある新しい建物で、聖母像は思っていたよりずっと小さな作品でした。ガラスのケースに入っているため、照明が反射して写しにくく、あまりよい写真は撮れませんでしたが、ずっと見たいと思っていた作品が見られて嬉しく思いました。帰りがけにトイレに入って手洗いに皆びっくり。水の流れる場所がスーッと細目に入ったスリットなのです。思わず写真(下)を撮ったり動画を写したりしてしまいました。 

                    


  フォルカッハは坂道を登らなければならず、ペーターは駐車場で休んで待っていてくれました。葡萄畑の聖マリア巡礼教会に着くと何故か多くの人が教会の外に並んでいます。聞けばミサの最中とのことで入れないようです。でも、様子を見ていたら少しずつ出入りがあるようでしたので、隙を見て中に入らせてもらいました。なんとかこのローゼンクランツも啓子さんに見てもらうことができてホッとしました。

 帰り道でマインフランケン博物館に回り、いつものようにペーターの顔パスで入れてもらえて、ありがたいけど申し訳ない気持ちです。でも受付の人たちは皆ニコニコとフレンドリーで、普段の仲の良さが偲ばれます。ペーターは2階まで案内してくれてから、「ぼくは下で待っているからね」と、ゆっくりと階段を下りていきました。膝が痛むのにありがとう…。啓子さんの感想を聞きそびれてしまいましたが、私もここに来るのは最後かもしれないという思いで今回はカメラをあまり構えずに心の目に焼き付けました。
 その後、ペーターの家へ。イングリッドが珈琲とお手製のリンゴケーキを準備して待ってくれていました。啓子さんも「可愛らしい奥様」と何度も言うぐらい、イングリッドの笑顔はすてきなのです。そしてペーターもイングリッドも啓子さんは私の若い友だちと思っていて、最初は3人とも同じ年だと言っても信じてくれませんでした。髪の毛も黒く、スリムな体型でニコニコしている啓子さんは、このあともドイツの友だちには30代、あるいは40代と思われていたようでした。

  ペーターがホテルまで送ってくれて、この日はホテル内で部屋を移動。私たちの部屋はソファーもある立派な部屋になっていました。昨日この部屋だったらここで充分ゆっくりと夕食会ができたのですが、今夜はイングリッドとペーターを招待して寿司レストランに行くので活用できず残念でした。啓子さんはわずかな自由時間でお土産を買い込んだそうです。
  いつもお二人に世話になっている私たちは最後の晩に旧マイン橋を渡った先のアジアレストランに二人を招待することにしています。最初の頃は安くて美味しい寿司屋だったのですが、いつの頃かオーナーが変わったようで、最近は「KAH Sushibar」となっていて、味は良いものの以前より値段が高く、寿司は小さめになっているのが残念です。来る度にペーターは箸に挑戦し、イングリッドは最初からあきらめてナイフとフォークで食べているのも同じです。この日でお二人とは一端お別れ。いつものように親切な案内、感謝です。下の写真はお寿司屋さんのイングリッドとペーター。 Danke!!


               

 ※ このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA            

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49. マイトブロン、リンパー、ヴュルツブルク市内見学

2017年04月13日 | 旅行

2016年・ドイツ14回目の旅  No.5

 

 

            

        マイトブロン 聖アフラ教会の裏にあった古井戸            リンパーの聖ペテロ・パウロ教会 前日と打って変わって暖かな日でした


◆10月14日(金) 要パスポート?  13180歩

 
  朝9時半にペーターに電話する約束だったのですが、留守電でした。携帯にかけ直したらすでにホテル前で待っているとのこと。あわてて3人ホテル前まで出ると昨日よりは暖かくてホッとしました。車に乗り込み、まずはマイトブロンへ。ここも本当に小さな村ですが、リーメンシュナイダー最後の作品と言われている「歎きの群像」は、何度見ても深い感動を覚えます。奇しくも啓子さんはリーメンシュナイダー最初の作品「マグダレーナ祭壇」(1490~92)と、最後の作品「嘆きの群像」(1519~23)を連続して見たことになります。
  次に向かったのはリンパー。マイトブロンの隣町です。ここで二人にはやはりリーメンシュナイダー作の墓碑彫刻を見てもらって、私はマルクト広場から教会までの道を確認してきました。ペーターにはこのあとヴュルツブルクのレジデンツ前まで乗せてもらってお別れ。

  世界遺産のレジデンツでは、最初にマルティン・フォン・ワーグナー美術館に入りましたが、現在ゲメルデギャラリーの方は修復のため閉館中でリーメンシュナイダー作品は見られませんでした(ホームページでは確認できなかったのですけれど)。隣の豪華な教会内部だけ見て、お昼少し前だったのでレジデンツ脇のレストランへ。三津夫と啓子さんはズッキーニスパゲティを取ったのですが、ほとんどがズッキーニで、「ズッキーニ、時々スパゲティ」と書くべきだと何度も言っては笑っていました。それでも昼間からビールでご機嫌な二人でした。つくづくお酒好きな人が羨ましい。ドイツ旅行の幸せ度が違うだろうなぁ…と思いながら、私はジュースを飲んでいました。

  午後はレジデンツ内へ。65歳以上は安くなるドイツの施設が多いため、チケット売り場で「私たち3人シニアです」と言ってみたのですが、受付の男性は「証明書を」と要求します。3人揃ってパスポートを用意すると、彼は私と三津夫に向かって「あなた方は必要ありません」と突っ返すのです。啓子さんのパスポートだけ手にとってじっくり眺め、顔と見比べていました。確実に啓子さんは40~50代に見えたのでしょう。旅の途中、何回も同じような場面があり、その都度私と三津夫は苦笑いでした。私たちはすでにレジデンツを見ているので、啓子さんの好きなように内部も庭園も回ってもらいました。その後、皆で夕方のレジデンツ・ワインケラーツアーの申し込みにマルクト広場まで行きました。途中、フランツィスカーナ教会、マリエンカペレ、ドームと、リーメンシュナイダー作品も見ながら。インフォメーションセンターでツアーに申し込むようになっているのに、行ってみたら「直接行けば良いんです」とあっさり言われてしまいました。それならそうと書いておいてよと思いますけれど。

 自由時間を経て、4時半にレジデンツ前のフランコニカの泉で待ち合わせ。ツアーに参加する人々が三々五々集まっていましたが、それほど多くはなさそう。考えてみれば今は観光シーズンも終わりかけているのですね。初めて入るレジデンツの地下は暗く、ちょっと不気味な感じでした。案内の女性は早口のドイツ語(当たり前だけど)でぺらぺら話し、私はまったくついて行けません。三津夫と啓子さんも「じっと我慢の子」といった風情です。私も暗い中で時差もあり疲れも出て、横になって昼寝したいぐらいでしたが我慢、我慢。しばらくしたらワインが試飲できるだろうと思っていたのに延々と講釈が続きます。子どもも数人いましたが、みんなよく黙って聞いているものです。5時20分頃になってようやく試飲できたのですが、酒飲みの二人には甘すぎて一口で「もういいや」という感じでした。甘口が好きな私でも半分ぐらいしか飲めませんでした。好き嫌いはあるでしょうけれど、ほとんどのグラスが飲み残しでしたから、あまり美味しいワインとは言えなかったのかもしれません。
  帰り道でフィッシュ&チップスや魚のサンドイッチ3種、ビール、ヨーグルト、バナナを買ってホテルの部屋で夕食がてら歓談。夜、バタングー。

        <下の写真は街中で見たカラフルなリースとマリエン・カペレ>

     

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48. バンベルク

2017年04月13日 | 旅行

2016年・ドイツ14回目の旅  No.4


             

            バンベルクの大聖堂                       どんよりとした天気で、とても寒くて写真を撮るには少々残念でした。


                            

  バンベルクの路上にはめ込まれた躓きの石 (ドイツのいろいろな町にあるナチスの負の遺産で、かつてここに住んでいたユダヤの人々の名前と生年、どこの収容所に送られたか、いつ死亡したかの記録が刻まれています。)


◆10月13日(木) ミュンナーシュタットからバンベルクへ

 帰りは途中の乗換駅シュヴァインフルトからバンベルクに回ることにしました。ここは啓子さんのリクエストでした。三津夫は大好きなラオホ・ビアー(燻製ビール)を飲めると楽しみにしていました。しかし、寒いのです。朝少し厚着をしてきたにもかかわらず、できればもっと厚い上衣が欲しいぐらい。
 バンベルク大聖堂を見て、裏の旧市庁舎を見て、人気のビールを飲みに向かいました。ところが以前ヴィリーと一緒に入ったレストランは満席で外でも多くの人がビールを片手に立ち飲みしているほど。ここはあきらめて落ちついて食べられるレストランを川向こうで発見し、ゆっくりラオホ・ビアーと食事を楽しみました。


     

  いつも気になるお店。カラフルで欲しいお土産があっても、持ち帰るにはちょっと大きいのです。右はラオホ・ビアーで乾杯する2人。燻製ビールは黒くて匂いが強く、私は苦手です。

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47. ミュンナーシュタット

2017年04月12日 | 旅行

2016年・ドイツ14回目の旅  No.

 

                  

          ミュンナーシュタットの村                                 聖マリア・マグダレーナ教会

◆10月13日(木) ドイツの小さな村へ  12日~13日で30076歩

   
 
朝食は各自摂って8時55分にロビーで待ち合わせ。一歩外に出るとあまりの寒さに震え上がり、皆部屋に戻って厚着をして出発しました。駅まで10分ほど、途中のスーパーなどを確認しながら歩きました。でも、駅前通りは工事中でとても歩きにくくなっていました。
  ヴュルツブルク中央駅でミュンナーシュタットまでのバイエルンチケット(州内の特急以外の列車・バス・トラムなどに乗れるチケット)を自動販売機で買いました。留学中はこの自動販売機が苦手で(きれいなお札でないとペッと吐き出されて困ってしまうことが多かったのです)、できるだけライゼ・ツェントルム(切符売り場)に並んで人間相手に買うことが多かったのですが、ようやくなんとか販売機で買うことができるようになったところです。旅行用の両替はきれいなお札がほとんどですからあまり困ることがないのです。写真は車内の3人。最初に紹介で載せておきます。左から箭本啓子さん、三津夫、そして私です。

 

        



 ミュンナーシュタットまでは途中一度乗り換えするだけで、座席も悠々座れて気持の良い旅でした。ここは小さな静かな村ですが、リーメンシュナイダー初期の大きな聖マグダレーナ祭壇があるのです。中心のマグダラのマリア像と左翼のレリーフの1枚はミュンヘンへ、プレデラの四使徒像ともう一枚のレリーフはベルリンのボーデ博物館所蔵となっていて、その場所にはレプリカが入っているのですが、残りの聖エリザベート、聖キリアンの像はリーメンシュナイダーの手になる素晴らしい彫刻です。以前訪ねたときはよい画像が撮れなかったこと、三津夫が一度しか来ていなくてもう一度訪ねたいと思っていたことから目的地に設定したのでした。それでも三脚が使えないので(以前禁止されました)なかなか大祭壇の細部まではクリアに写せませんでした。

※ このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA, Mitsuo FUKUDA

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46. 頼りないツアー・コンダクター

2017年04月12日 | 旅行

 2016年・ドイツ14回目の旅  No.2

 

          ヴュルツブルク中央駅前                  

 [パート1] 10月12日~10月22日
 箭本さんと三津夫と私の3人旅
  ・箭本さんの見たい観光スポットを訪ねる
  ・三津夫の見たい祭壇を訪ねる
   ・リーメンシュナイダーの名作と工房作品を訪ねる

▼ヴュルツブルク 10月12日~16日(4泊)
 ◆10月12日(水) ツアー・コンダクター失格…
 日暮里駅で箭本啓子さんと合流して成田空港へ。ところが日暮里駅での待ち合わせを一番後ろなのに一番前と知らせてしまったため、三津夫が「方向が違うよ」と気づき、あわてて移動。毎月のようにこの線を利用している私が何で前と後ろを間違えて伝えたのか訳がわかりません。でも、無事啓子さんと合流できて胸をなで下ろしました。啓子さんは内心頼りなく思ったことでしょう。

 フランクフルトまでのフライトは出発こそ1時間ほども遅れたけれど、その後は順調。機内で啓子さんはワインを2本飲み、ますます滑舌がよくなって楽しくおしゃべり。長距離列車の出るフランクフルト空港駅までは以前歩いて行ったのですが、その通路が見つからず、結局シャトルバスに乗りました。バス乗り場に着くと早速たばこの煙の猛攻。ドイツの人々は環境問題にとても関心が高いのに、何で健康を損なうたばこは平気なんだろうと不思議です。空港駅でそれぞれのジャーマンレイルパスをバリデート(手続きをして使えるようにすること)してからヴュルツブルクに向かう列車に乗りました。空港駅からの列車を調べておいたのに、その書類をうっかりトランクにしまっていて、啓子さんが持っていてくれたおかげで事なきを得ました。この日はいわばツアー・コンダクターとしての私は失敗続きで、反省することばかり。

 ヴュルツブルク中央駅は交通の要所でありながら未だエレベーターもエスカレーターもなく、階段を重たいトランクを持ったまま下りなければなりません。何年か前から工事をしているのですが、まだまだ終わらないのです。3人のトランクのうち、私のものが一番重くてしかも三津夫とほぼ同じ大きさ。それでも「一人旅が待っているのだから自分のトランクぐらい自分で持たなくちゃ」と冷たい眼差しを向ける三津夫と、「自分で持てなくてどうする!」という気持ちで必死に一段一段持って下りていると、先に階段を下りた三津夫が「わー!」っと大きな声を出しました。何事かと驚いていると、ペーターが階段の下で待っていてくれたのです。寒い中、本当にありがとう! ホテルは歩いて行ける範囲のところだったのでペーターには迎えを頼んでいなかったのですが、私が皆に送った旅行日程表をプリントアウトして、ちゃんと列車の時間をチェックしていたのでした。彼の膝は悪くなる一方で、「階段の上り下りはできないんだ」と謝っていましたけれど、仕事帰りに寒い階段の下で何分待っていてくれたのかと思うと申し訳ない気持ちと、ありがたい気持ちとで一杯でした。車に3人分のトランクが載せられるかどうかも気がかりでしたが、後ろの荷物入れに2つ入れ、後部座席に一つ立てて置き、私は助手席に乗ってなんとか出発。
  ホテルに着いてからとりあえずヴュルツブルクでの動きをペーターと確認し、「明後日ホテルに迎えに来るから」と手を振ってペーターは帰って行きました。私たちは遅まきながら軽い夕飯を食べに町に出たのですが、もうすぐ9時という時間で店もほとんど閉店しています。街角のアジアンキッチンスタンドを見付けて焼きそばとチャーハン+野菜炒めをとったのですが、しょっぱなから大変塩っ辛くてとても食べきれないほど。残念。

※ このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

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