飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

国語科 分析批評4 「一つの花」 お父さんの行動

2024年07月04日 05時00分20秒 | 国語科
光村図書4年上 一つの花 P78l12〜P79 l12
この部分を使って授業をする。

1 従来の展開
(1)指導書
◯何も言わずに、一つの花をみつめながら戦争に行ったお父さんの気持ちを読み取る。
発問 ゆみ子を必死になってあやすお母さんの気持ちを考えてみよう。
発問 お父さんが手にしてきた一輪のコスモスの花に、お父さんのどんな願いが込められているのだろう。
発問 一つの花をみつめながら、何も言わずに汽車に乗って行ってしまったお父さんの気持ちを考えて、ノートに書きなさい。

これらの発問群に批判的な意見がある。

「お父さんが手にしてきた一輪のコスモスの花に、お父さんのどんな願いがこめられていたのでしょうか。」
「一つの花をみつめながら、何も言わずに行ってしまったお父さんの気持ちを考えて、書いてみましょう」
といった発問が多いが、これで4年生の子供がどの程度反応できるだろうか。
教師側も相当しっかりとした教材研究がされていないと子供の反応の処理に困る。

再度確認する。

多くの教室では次のような内容を問うことが多い。
①コスモスに込められたお父さんの願いを読み取る。
②何もいわずに行ってしまったお父さんの気持ちを考える。
しかし、冷静に考えてみると、この問いには答えがない。
文章中に書かれていないからだ。
想像して答えることならできるかもしれない。
それは国語の学習とは言えない。
なぜなら、基本となる文章の検討がなされていないからだ。

次のような実践をする。

指示 教科書の78、79ページを開きなさい。
   78ページ12行目から79ページ12行目まで音読します。
   先生に続いて追い読みをします。
   (追い読みをする)
   全員起立、今の部分を読みます。
   読み終わったら、座って黙読します。

発問 この部分の中で、お父さんのしたこと、行動や会話をすべてノートに箇条書きにします。
   時間は3分です。

  ①ぷいといなくなってしまいました。
  ②コスモスの花を見つけたのです。
  ③あわてて帰ってきた
  ④お父さんの手には、一輪のコスモスの花がありました。
  ⑤「ゆみ。さあ、一つだけあげよう。一つだけの花、大事にするんだようー。」
  ⑥それを見てにっこりわらいました。
  ⑦何も言わずに、汽車に乗って行ってしまいました。
  ⑧ゆみ子のにぎっている、一つの花を見つめながらー

発問 この行動の中で一番大切だと思うものはどれですか。
   また、そう考えた理由はなんですか。
 ※⑤⑥⑦⑧で分かれると予想される。
 ・⑤…ここだけ会話になっていて、お父さんの気持ちがよく表れているから。
 ・⑥…お父さんの優しい気持ちが表れているから。
 ・⑦…お父さんのゆみ子への愛情や戦争に行かなければならない悔しさが表れているから。
 ・⑧…一つの花に込めたお父さんの気持ちがよく表れているから。

発問 この部分で一番多く使われている言葉がなんですか。
  ・花…5回
  ・お父さん…4回 
  ・ゆみ子…4回

発問 花についてどんな表現がしてありますか。
   花の修飾語をノートに書きなさい。
 ・①プラットホームのはしっぽの、ごみすて場のような所に、(さいていたコスモスの花)
 ・②わすれさられたようにさいていた(コスモスの花)
 ・③コスモスの(花)
 ・④一輪のコスモスの(花)
 ・⑤一つだけの(お花)
 ・⑥ゆみ子のにぎっている(花)
 ・⑦一つの(花)

発問 これらの花の修飾語の中で一番大切だと思う修飾語はどれですか。
 ・①…花が命の象徴だとしたら、この戦争中は、命はゴミと同じくらいに扱われていたから
 ・②…命もこの花のように忘れされた存在になっていたから
 ・⑥…ゆみ子へ思いが花と重なっているから
 ・⑦…一緒にいたい寂しさと戦争に対する理不尽さを我慢している

まとめ
1 登場人物の願いや気持ちは本文中には書かれていない。
2 それを象徴的に表現している「父親の行動」と「花の修飾語」を問うことにより間接的に読み取らせる。
3 一つの花やコスモスの花の象徴性を読み取る発問群にした。

saitani


           


 

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