飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

国語科 分析批評5 4年生「一つの花」 一つだけのお花、大事にするんだようー

2024年07月05日 05時36分04秒 | 国語科
お父さんの行動や言葉には多くの謎がある。
その謎の答えが本文中に書かれていいれば問題ないのだが、ほとんど書かれていいない。
そもそも読み手である子どもたちが戦時中における生活状況や社会的な背景をまったく理解できていないという点がある。
ものごとを理解して、類推するには、基礎的な知識理解が不可欠となる。
しかし、それが子どもたちにはないことと、それを補う時間もないということも課題となる。

1 謎の一つに次のようなものがある。
「どうしてお父さんはゆみ子にコスモスの花を一つだけしか渡さなかったのか」
この一つという言葉から、「ゆみ子の口癖をもじって笑わせようとした」という考え「一つだの命とオーバーラップさせて命の大切さを強調している」という考えもある。

2 読み取りのレベル
読み取りのレベルや内容にも区別がある。
それは次のようなことだ。
(1)記述されているので事実として読み取れること
(2)行動の事実から確実に言えること
(3)事実とまでは言えないが、類推することが可能なこと
(4)推定的な事実や状況証拠を積み重ねていくと言えること
(5)一般的な常識的な範囲で考えれば言えそうなこと
(6)まったくの個人的な想像で言うこと
自分の意見は、どのレベルの意見なのかを自覚しながら発表することは討論の授業では必須である。
なぜなら、(1)~(3)までは明確な討論対象となりうるが、(4)以降は、個人的見解や主観が多く含まれるので反論の対象とはなりにくい。

3 子どもたちの読み
なぜお父さんはゆみ子に一つだけの花を渡したのか。
・時間がなかったから
・ひとつしか花がなかったから
この意見は状況から否定される。
時間がないという状況ではないことは、記述から推測できる。
また、コスモスは群生した花であるので一つしかないとは考えられない。

4 象徴をもとに読み
・一つの花は「ゆみ子の一つの命」を表している
・だから、雑草のような花を大切にするように言っている
・ゴミ捨て場に咲いているコスモスは、ゴミのように扱われていた人の命の象徴である
・「わすれられていた」のはコスモスだけでなく、当時の人間、一人一人の命とだぶる

5 4場面の発問
・ゆみ子が大事にしなくてはならない一つだけのものは何か
・題名が一つの花になっているのはなぜか

saitani



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