飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

プロの技術 「ゴッドハンド」の逝去

2024年03月28日 05時15分10秒 | 人生論
「ゴッドハンド」と呼ばれた脳神経外科医の福島孝徳さんが逝去された。
このブログでも何回か取り上げたプロの医師である。
81歳だった。
福島さんのエピソードで忘れられないことある。
福島さんの言葉。
「私は土日も手術、夏休みも正月休みも一切とらない。
 手術前は、『一生懸命やりますから助けてください』と神様にお祈りします。
 世のため人のために朝から晩まで働いていれば、必ず神様がみていて助けてくれる。
 明治神宮の神様は、心のよりどころあり、支えです。」
平成19年の取材で、そう語り白足袋を身につけて、手術室へ向かったという。

福島さんほどの医師でも、手術前には神に祈る。
そして、ふだんから世のため人のために働くという気持ちで日々過ごしている。

日本の医学界では異端児とされ、活動拠点を米国に移さざるを得なかったが、その姿が野口英世と重なる。
いつも先駆者やパイオニアは、正統と言われる固定概念しかもたない人間からは異端とみなされ正当な評価がされない。
この理不尽な行為はいつの時代、どんな組織にもある。

別の取材の時には、当時仕事場としていた病院で脳神経外科手術のための最新設備を記者に紹介したという。
患者の命を救うためにの設備投資の重要性を説いた。
手術に向きあう真摯な姿勢は、少しもゆらいでいなかった。
患者を救うことに力を尽くした生涯だった。

もうひとつ福島さんの素晴らしいことは自分の技術を公開し、伝えたことだ。
多くの弟子を育てたことも大きな業績だ。

自分も福島医師のプロとしての姿勢や哲学を学び研鑽を積みたいと思う。
ご冥福をお祈りします。

saitani



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