飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」「万里一空」「雲外蒼天」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

子供のユーモア

2024年09月02日 05時34分22秒 | 教育論
学級経営でいちばん大切なものは何かと問われたら、自分は躊躇なく、笑いとユーモアと答える。
日記を担任時代に子どもたちに週2回書かせていたが、時々課題日記みたいなものをだすときがあった。
それは、「座布団になったつもりで日記を書きなさい」というような「なりきり作文」であったり、「読んだ人がクスッと笑えるような日記を書きなさい」というような、ユーモアのある日記だ。
なぜこんなことをやると言えば、学級には笑いとユーモアが満ち溢れていてほしいと常に願っていたからだ。
この笑いとユーモアは、うまれつきのものではなく、そのセンスを磨く必要がある。
だれでも、身に付けられる力だ。

たとえば勤勉で真面目な学級も私は大好きだ。
自分の力を伸ばしていくにはこの2つの要素は欠かせない。
しかし、笑いとユーモアを欠いた勤勉さは、どこか危うい感じがする。
柔軟性と言うとしなやかさに欠けるような気がするのだ。
1年間の学級生活の中にもドラマがあり、トラブルも多く怒る。
それは当然のことだ。
「自分のクラスには問題がない」という先生がいるが、それは間違いであり、自分が見えていないだけの話だ。
学級と言うのは問題の集合体でなのだという認識を忘れてはならない。
あれどもみえずの担任では問題が大きくならないと気が付かないことも多い。
学級集団が問題に直面したとき、笑いがあれば前向きに取り組める。
ユーモアがあれば、人を傷つけることなく改善を図っていける。
そう私は考えていた。

ここに二冊の本がある。
古い本だがときどき読み返す。
何かを学ぶと言うよりも、子どもたちの感性を大切にすることを教えてくれるような気がするからだ。

増田修治著 『笑って伸ばす 子どもの力』 主婦の友 
増田修治著 『話を聞いてよ、お父さん!比べないでね、お母さん!』 主婦の友

増田修治先生にはお会いしたことはないが(どこかの研修会ではご一緒したかもしれないが)、自分が駆け出しの頃から多くの実践から学ばせて頂いている先生だ。
増田先生の学級での子どもたちの詩をまとめたものが上記の本である。
思わず笑ってしまう。

「あやしいけつ」 (3年生男児)

ぼくは、ホテルの温泉に行きました。
お父さんがはだかで
冷たいお風呂で
飛び込みをしていました。
お父さんは
けつをふって
バタ足をしていました。
ぼくがけつをよく見てみると、
けつから長い毛が
モジャモジャ出ていました。
ぼくは
「あやしいけつだな」
と思いました。

「お嫁さん」 (4年生男児)

ぼくはやさしいお嫁さんをもらいます。
友達とお酒を飲みに行った時
こわいお嫁さんは
「今までなにやってたの。
早く風呂に入って寝なさい」
と言うけど、
やさしいお嫁さんなら
「早く寝なさい」
だけですむからです。
あと、給料がすくなかったら
こわいお嫁さんは
「給料が少ないから、
おこづかいへらす」
と言うけど
やさしいお嫁さんなら
「あら、少なかったのね」
だけですむからです。
あと、うるさいお嫁さんと
文句を言うお嫁さんもほしくないです。
うるさいのと文句を言う女は
お母さんだけで十分です。

さらに、この詩には続きがあるという。

「お嫁さんの事で」  (4年生男児)

ぼくが詩ノートに書いた
『お嫁さん』の詩の事で、
お母さんから
「何で、あんな事書くの」
と、おこられた。
ぼくは
「いいじゃない」
と言った。
お母さんは
「最後のあの2行をどうにかしなさい」
と言った。
「でも先生は、あそこが気に入っているよ」
と言ったら、
「もう、あんなこと書いちゃだめよ」
と言ったのでいやいや
「はーい」
と言いました。
でも、また書くよーだ!

増田修治先生は次のように言っている。
子どもたちを見ていく時に「共感的に理解する目」と「評価的に理解する目」の2つの目が必要であると。
学級や学校では、教師は「評価的に理解する目」で子どもたちを見ていることが多い。
これはある意味止む得ないことだ。
なぜなら、子どもたちを指導していくときに評価という行為は必須だから。
一方、「共感的に理解する目」が優先されるのは家庭になる。
しかし、実際はどうだろうか。
最近は家庭のほうが、学校より「評価的に理解する目」で子どもたちを見ているような気がする。
そして、家庭から学校へのニーズも「共感的に理解する目」を期待することが多い。
こんなことも、今学校で起こっているトラブルの要因でもあると考える。

学級における子どもたちの人間関係も「共感的」であってほしいと願っているし、そのためにはやはり先に述べた笑いとユーモアを不可欠であると考えている。

saitani

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