お気楽・極楽 おじさん生活  (旧ブログ名 お気楽 単身赴任生活日記)

「食べること」と「ばよりん」が大好きなおじさんのお気楽・極楽な生活を日記にしてみようかと…

きうち流の 楽器の選び方(3 見た目も大事)

2021-04-06 20:12:29 | ばよりん

私が バイオリンの品定めをするとき

 

まず最初に、バイオリンの見た目で好きか嫌いかを決めます。

 

バイオリンって、最初のうちは、どれを見ても同じに見えますが

 

たくさん見ているうちに

表板のfの形、fの文字の上下端の丸の形・大きさ

パフリングと呼ばれる、表板・裏板の縁に埋められた黒色の2本の線の処理の仕方

表板・裏板の隆起

ヘッドと呼ばれる、スクロールや糸倉のある部分のデザイン

スクロールの渦巻きがそんな感じか、糸倉の形がどうなっているか

 

 

ニスの色、ニスが薄くなっている雰囲気、板の割れ、ひび、修復跡 などなど

 

見えるところは、全て見るように過ごしていると、なんとなく違いが判ってきます。

 

白川総業社さんで 社長さんと工房長さんとお話しする機会があったとき

所有する Capela 2挺の真贋の見分け方について訊いたところ

「細かい説明はいりません、見てわかります」との回答

それでも納得できなかったら、特別に白川総業さんのコレクションを出してきてくださいました。

 

白川総業さんでは、楽器の鑑定をするために、取り扱った製作者の代表的な楽器を全て所有し、保管しているとのこと。

私のCapelaは2挺とも、STRADタイプでしたので、StradタイプのCapelaさんの白川さんのコレクションを倉庫から

出してきてくださいました。(長期保管するため、駒とテールピースは外され、魂柱も外され、楽器の中でコロコロ転がっている状態です)

 

白川さんのコレクションと、私の2挺の楽器は3並んで、同じ顔をしていました。

特に、表板と、裏板のとある部分の隆起は他の楽器には見られない特長があり、

それが楽器全体の特長を印象つけていました

思わず「白川さん、わかります! 細かい部分だけでなく全体で楽器を見るんですね!」

 

おもえば、Stefanini と Romeo Antoniazzi は、かなりの数を見てきており、彼らの代表的な作風の楽器であれば

ケースから出てきただけで、すぐ わかります。

 

Capelaもその時に、Stradタイプだけですが、もう見分けができると思います。

 

見た目、私にとってはすごく大事で

 

「いいな」と思えない楽器は、自分から進んで触れることはしません。

たとえ有名な製作者でも、「いいな」と思えない楽器ならその楽器を触るより、別の楽器を触る時間の方が大切だと思うからです。

 

楽器は、音が良ければ 見た目は… という方もおられることはわかっています

 

でも 楽器は 私いとっては、 とても重要な要素です

 

 

私の好きな楽器の見た目は、 

暖かい雰囲気、気品のある雰囲気

→ これは 最近では 友達のてつ さんが手に入れた、Voltiniさんの2020年作の楽器がそれにあてはまります。

楽器が幸せな表情をしている

→ これは、たつのやさんの展示会で見た、ウンガリーニ。 やんちゃで…おしゃべりな楽器 という印象も持ち合わせていました

→ ガンさんの新作 アマティモデル。この楽器も自信満々な表情をしていました。

→ 弦楽器フェアーのYAMAHAのブースで見た、YAMAHAのアコバヨリンの中にも、幸せそうな顔をしている楽器がこれまでで2回出会うことがありました。1本は ヤマハがブラビーオールを発表した翌年、展示会を転戦してきたV-30という当時上から2番目のグレードでした。とても良く鳴る楽器で、フラッグシップのV-60よりはるかに好印象でした。YAMAHAの方に訊いたところ、試奏用として、一番惹かれている楽器だそうで、この楽器を購入したいと申し出たのですが、断られてしまいました。もう1回は、今のアルティーダYVN500の試作品、発表される2年前の弦楽器フェアーで展示された楽器です。これもとてもいい表情をしていました。

 

この2つが基本でした

 

そして、昨年初めて 見た瞬間に「買おう」と思わせることがありました。

いつもは、悲しげな表情の楽器は買いません。負のオーラを持ってきてしまいそうだからです

 

でも、その楽器は少し違いました

新しい基準は「楽器が「助けて」と訴えかけてくる」です

 

今回購入した 「おフランスざんす」の楽器。 オークションハウスで最初に見た時

悲しげな表情の楽器はいくつも見るのですが、この楽器のオーラには、悲壮感が感じられました。

楽器を持つと、私の気持ちの中に、「購入して、きちんと直して、鳴るようにしてあげないと」という思いが出てきたのです。

 

見た瞬間、典型的な フレンチバヨリンだな とは思ったのですが

 

聞けば、BY Paul Bailly で ランパルさんの鑑定書も付いている。

年代も1800年代の後半の良い時代

 

どう考えても安くはありません。

 

最初の売り手の提示価格は、予算オーバー。

 

仲介をしている、ディーラーの方に

 

私が考える、この楽器の適正価格(=私が購入する価格)の上限・下限を伝え

その適正価格を算出した根拠を、説明し。

最後にディーラーの方への、交渉手数料と売買が成立した時の報酬額を決めて

後はたくしましたディーラーの方へ託しました。

 

結果、私の伝えた適正価格の上限、すなわち最も高い金額で

プライベートセールスの売買が成立したのでした。

 

12月にお金は支払い、楽器はディーラーが保管。

年明けに、鑑定書がディーラーに届いて。受け渡しができる状態になりますが

非常事態宣言中なので、楽器の受け渡しは自粛。

3月下旬にようやく入手したという感じです

 

 

最初のうちは、楽器の見た目の好みはわからないかも知れません。

 

見た目が気になるようになれば

楽器の真贋も見れるようになると思います。

 

 

 

今のクレモナの新作楽器は、楽器の表情が乏しく

つめたい、蝋人形のような、楽器が増えているように思います

綺麗に丁寧に作られているけれど、なんだか物足りない

 

また、そういう楽器が好きな人が多いのも事実ですね~

 

2005年に名古屋の弦楽器店で

Marino(Marinov)の soffrittiモデルに出会ったとき、 ああこの人はきっと将来伸びると思いました。

当時トマショーの銀黒檀のセットで150万円で提示を受けましたが… 最終的には買いませんでした。

 

今では、クレモナでも400万円近い値段がする、巨匠になってしまわれたようです。

やっぱり と思いました。

 

 

 

グダグダ 書きましたが

 

見た目=楽器の表情

 

これは 大切にした方がいい

 

と今でも私は 思っています。

コメント
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