りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“ピンクのももちゃん―ももちゃんとお友達―” ―全〇場― 完結編

2011年11月04日 12時15分46秒 | 新作(人形劇用)

     
         その時、“ゴーッ”と、大きく波のうねる音が
         響き渡る。

  サメ1「何・・・?」

         (水が大きく揺れるように。)
         3匹の魚達、よろめく。

  ココ「わぁっ!!」
  もも「キャアッ!!」
  サメ1「どうしたんだ!?」

         その時、クジラの声が聞こえる。
         
  クジラの声「(クシャミをしそうな感じで。)はぁ・・・はぁ・・・」
           
         と、3匹悲鳴を上げて、下手方へ何かに
         吸い込まれるように去る。
         入れ代るように、上手より口を開けたまま
         のクジラの頭が登場。

  クジラの「はぁーっくしょん!!(大きなクシャミをする。)」

         その時、クジラの口の中から、もも、ココ、
         サメ1、勢いよく飛び出すように登場。
  
  もも「きゃーっ!!」
  ココ「わあーっ!!」
  サメ1「助けてくれー・・・!!」
  クジラ「(ももとココを認めて。)君達、ありがとう!!すっかりノド
      の痛みが消え去ったよ。」
  もも「おじさん!!」

         もも、ココ、クジラの側へ。
         サメ1、引っ繰り返っている。

  クジラ「(サメ1に気付いて。)おや・・・?こんな不味そうな魚、
      食べてたかなぁ・・・」
  サメ1「(起き上がり。)ま・・・不味そうだと!?」
  もも「クジラのおじさん!!(クジラの後ろへ隠れるように。)この
     怖そうなおじさん、私達のことを食べようとしたの!!」
  クジラ「何だって!?」
  サメ1「え・・・?あ・・・いや・・・」
  クジラ「君は本当に、僕のお腹の中で、僕を助けてくれようとし
      た、僕の命の恩人達に、そんな酷いことをしようとしたの
      かい・・・!?」
  もも「本当よ!!」
  ココ「それにこいつは、僕の村を襲って、僕の仲間達は皆やら
     れてしまったんだ・・・。」
  クジラ「何てことだ。」
  サメ1「い・・・や・・・おまえだって俺のことを丸飲みして、空きっ
      腹を満たそうとしたじゃないか!!おあいこだ!!」
  クジラ「違うよ・・・。君は海の掟を守らず、自分一人の欲求に
      任せて、小さな罪もない無防備な、小魚さん達を襲おう
      としたんだ。それは許すことは出来ないな・・・。」
  サメ1「・・・な・・・何言って・・・」
  クジラ「いただきます。」

         “ゴーッ”と言う音と共に、大きく口を開けた
         クジラに、吸い込まれるようにサメ1去る。

  サメ1「わ・・・わあーっ!!折角、外へ出られた所なのに、何
      しやがるんだ!!畜生・・・畜生ー!!」

         クジラ、口を閉じる。

  ココ「あ・・・」
  もも「・・・クジラのおじさん・・・」
  クジラ「あんな悪い奴は、こうした方がいいんだ。」
  ココ「・・・ありがとう・・・」
  もも「・・・よかったわね。」
  ココ「うん・・・。パパ・・・ママ・・・(泣く。)」 
  もも「ココ・・・」

         もも、クジラ顔を見合わせ、ココを優しく見詰める。

  クジラ「そうだ・・・。さっき、君達が僕の口の中へ入っている間
      に、慌ててやって来たサメが、“ピンクのチビすけ”を、捜
      してるんだって言ってたけど、君のことじゃないのかなぁ
      ?」
  もも「チビすけ・・・?サメのおじさんだわ!!屹度、私のことを
     捜しに来たのよ!!ねぇ、クジラのおじさん!!そのサメ
     のおじさんは、どっちへ行ったか分かる?」
  クジラ「ああ、もう少し先の海まで、捜しに行くとか言ってたなぁ
      ・・・。」
  もも「私、行ってみる!!ココも一緒に行きましょう!!」
  ココ「え・・・でも・・・」
  クジラ「待っておくれ。僕が君達を送ってあげるよ。口の中へお
      入り。」
  もも「本当?」
  クジラ「お安いご用さ。僕はこの大きな体のお陰で、君達より
      何十倍も早く進むことが出来るからね。」
  もも「ありがとう、おじさん!!」

         クジラ、口を開ける。
         もも、ココ、クジラの口の中に入る。
         “ゴーッ”と波の音と共に、クジラの頭、上手へ    
         去る。
         と、入れ代るように下手より、疲れた様子の
         サメ吉登場。

  サメ吉「可笑しいなぁ・・・。一体何処へ行ったんだ、チビすけ・・・
       。」

         音楽流れ、サメ吉淋し気に歌う。

         “いつも側にいる・・・
         何も言わなくても
         俺の後ろをただチョコマカと・・・
         付いて回って
         いつの間かそれが当たり前のように
         そのおまえがいない・・・
         俺の後ろにいつもいた
         小さな小さなピンクのおまえが・・・”

  サメ吉「チビすけ・・・」

         その時、微かにサメ吉を呼ぶももの声が、
         遠くで聞こえる。

  ももの声「サメのおじさーん・・・」

  サメ吉「チビすけ・・・。いけねぇ・・・余りにもいつも側で、ウロ
       チョロと俺にひっ付いていやがったから、幻聴まで聞こ
       えやがる・・・。畜生・・・一体何処へ行っちまったんだ・・・
       まさか、また恐ろしい魚に・・・!?チビすけ・・・チビすけ
       ー!!」

  ももの声「サメのおじさーん!!」

  サメ吉「え・・・?幻聴にしちゃあ、偉くハッキリと・・・」

  ももの声「サメのおじさーん!!」

  サメ吉「チビすけ・・・?チビすけ!?何処だ、チビすけー!!」

  ももの声「サメのおじさーん!!」

  サメ吉「チビすけー!!」

         その時、上手よりクジラの顔が登場。

  サメ吉「わあーっ!!チ・・・チビすけ!!チビすけ!!何処だ
       !?こいつ・・・おまえ、チビすけを食べたんだな!!
       畜生!!吐き出せ!!吐き出せ!!チビすけを返せ
       ー!!(クジラに体当たりする。)」
  クジラ「違うよ。慌てん棒だなぁ、君は・・・。」
  サメ吉「何だと・・・」
  
  ももの声「待って、サメのおじさん!!」

         クジラ、大きく口を開ける。と、中から
         もも、ココ登場。

  もも「サメのおじさん!!」
  サメ吉「チビすけ・・・チビすけ!!何処行ってやがったんだ!!
       こんなに心配させやがって!!」
  もも「ごめんなさい・・・。」
  サメ吉「全く・・・。」
  もも「このクジラのおじさんが、私達をここまで運んで、連れて
     来てくれたのよ!」
  サメ吉「・・・え?」
  もも「クジラのおじさん!ありがとう!!」
  サメ吉「何だ、そうだったのか。悪かったな、クジラのおやじ、叩
       いたりして。」
  クジラ「いや、構わないさ。この小魚さん達が、苦しんでる僕を、
      助けてくれたから、お礼をしたまでさ。」
  サメ吉「あ・・・おまえ、さっき“あーあー”言ってた・・・」
  クジラ「ノドに刺さった骨のせいで、上手く喋れなかったんだ。
      この小魚さん達が、取りに行ってくれたのさ。」
  サメ吉「・・・そうか・・・。偉かったな、チビすけ。」
  もも「・・・うん!」
  クジラ「じゃあ、小魚さん達!!また遊びに来ておくれ・・・。」
  もも「ええ!!さよなら、大きなおじさん!!」
  サメ吉「チビすけを連れて来てくれて、ありがとうよ!」
  ココ「さよなら・・・」
  クジラ「さよならー!!」

         クジラの頭、上手へ去る。

  サメ吉「やれやれ・・・。に、してもだ!!チビすけ!!おまえは
       俺との約束を破って、また外の海へ黙って出て行った
       な!!一体どれ程この俺が・・・」
  もも「(サメ吉に擦り寄り。)ごめんなさい、サメのおじさん・・・。」
  サメ吉「(驚いたように、ももを見て。)・・・まぁ・・・無事に見つか
       ったんだ・・・。今回は大目に見てやるか・・・。」
  もも「ありがとう!!」
  サメ吉「さぁ、先生達が待ってるぞ。学校へ戻ろう・・・。」
  もも「うん!!あ、待って、サメのおじさん!!(ココの方へ。)
     ねぇ、ココ!!あなた、これから何処へ行くの!?」
  ココ「・・・え・・・?」
  もも「私の学校へいらっしゃいよ!!ね!!サメのおじさん!!
     」
  サメ吉「ああ、それは構わないが・・・。だが、おまえさんの家族
       は・・・?」
  ココ「・・・あなたと同じ、角を持った魚にやられた・・・。仲間達
     皆・・・。」
  サメ吉「・・・そうか・・・。そりゃあ、すまなかったな・・・。」
  ココ「え・・・?」
  サメ吉「俺達、サメの仲間は、力が強いのをいいことに、まだま
       だこの海では好き放題する奴が大勢いるんだ・・・。何
       がいいことか、悪いことかなんて考えもしないで・・・。     
       許してくれ・・・。」
  ココ「・・・(呆然と、サメ吉を見る。)うん・・・。」
  サメ吉「それと・・・よかったら一緒に来ないか?学校には、おま
       え達みたいな小さな仲間が、沢山いるんだ。屹度、仲良
       くなれるぜ。」 
  もも「ねぇ、ココ!!一緒に行きましょう!!優しい先生やお友
     達も一杯いるのよ!!」
  ココ「・・・本当に・・・?僕も・・・行っていいの・・・?」
  サメ吉「ああ。」
  もも「勿論よ!!」
  ココ「ありがとう・・・」

         音楽流れ、もも、ココ、サメ吉歌う。

         “海に住むもの同士
         共に行こうヒレつなぎ
         同じ海に守られてるんだ
         見た目がどうでも
         大きな愛に包まれた
         等しく優しい心に溢れ
         同じ海の仲間同士
         たとえ出会いがどうでも
         これから続けばそれでいい
         平和で暖かな同じ道・・・”

         もも、ココ、サメ吉下がる。
         入れ代って、上手よりお魚先生登場。
         ソワソワと。

  先生「まだかしら・・・本当に・・・もう・・・一体ももちゃんは・・・」
  
         その時、下手方よりももの声が聞こえる。

  ももの声「先生ー!!」

  先生「・・・ももちゃん・・・?」

         下手よりもも、ココ、サメ吉登場。

  もも「先生ー!!ただいまー!!」
  先生「ももちゃん!!(ももの側へ、慌てて近付く。)ももちゃん!
      !どれだけ心配したか!!」
  もも「ごめんなさい、先生!!」
  先生「無事で本当に良かったわ・・・!!」
  もも「先生・・・。あ、先生!新しいお友達よ!」

         ココ、2匹の側へ。

  先生「まぁ、そうなの?嬉しいわ、新しい仲間が増えて。ようこそ
      、お魚学校へ!!」
  ココ「・・・先生・・・?」
  先生「ええ、そうよ。あなたの名前は?」
  ココ「ココ・・・」
  先生「そう。ヨロシク、ココ。」

         先生、ココ話しながら上手へ去る。

  サメ吉「チビすけ、もう約束を破るんじゃないぞ。」
  もも「ごめんなさい、サメのおじさん。」
  サメ吉「俺の側から離れるな。」
  もも「うん!!」

         サメ吉、その側をチョロチョロとしながらもも、
         上手へ去る。
         音楽盛り上がり。

  サメ吉の声「いつも一緒だ・・・」






        ――――― 幕 ―――――









 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



   さて、本来でしたら、ここで次回掲載作品のご紹介を・・・と、
   なる所ですが、どうしても来年春公演作品の、もう一本を
   書き上げないといけない為、このページの更新は、今暫く
   (1、2週間程でしょうか・・・^^;)お待ち下さいm(__)m
   何となく、私の大好きな季節と、以前お話しいたこともある
   気が致しますが、ティンクルちゃんをシリーズ化した作品の
   コラボで、次回このページではお目にかかろうかと、考えて
   おります(^^)v
   それまでは、他のページをお楽しみ下さいm(__)m
   春公演の1本、主人公のクリフくんも作り始めていますので、
   そんなものもご覧下さいね♥

   少しだけ、春公演の今から書き始める作品のお話しを・・・。

   クリフ作品との2本立てになる作品なので、2本のテーマを、
   いつも私が書く作品の大本のテーマである“誰かの為に・・・”
   と統一したテーマを掲げ、書いていこうかな・・・と、考えて
   います(^.^)
   こんな世の中である今、いつも私が心に留めていることは、
   「優しさを渡せば優しさが返ってくる。」「思い遣りを渡せば
   思い遣りが返ってくる。」「愛を渡せば愛が返ってくる。」・・・
   と言う、クリフくん作品の歌詞にも出てくるのですが、“自分
   でない誰かの為に・・・”を、新作でも、テーマにしていきたい
   な・・・と、今朝から少し時間があったので、色々と作品の
   場面を思い描きながら、まだ、テーマしか決まっていないの
   に大泣きしていた馬鹿な私です・・・(>_<)




                                どら。




 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


     (どら余談^^;)

     お気付きでしょうか・・・?
     書くのに夢中で、“〇場”を付けるのを忘れていました^^;
     3場以降、全部つながっていますが、勿論、場面転換して
     おります(^_^;)

     さて、明日は区役所の催し物での公演です♪
     準備は万端・・・と、言いたいところですが・・・まだ仕上げ
     なければいけない小道具類が数個・・・(>_<)
     今日も一日留守になるので、帰ってから頑張りたいと、
     思います(~_~;)
     明日は“未来への贈り物”で行ってきます♥
     その模様は、また後日、公演日記で・・・ドキドキ・・・(^^♪


     (10月30日どら余談^^;)

     本日の公演、無事終了しました(^^♪携帯で撮った写真を、
     また“公演日記”のページでも掲載致しますが、撮りたてを
     少しだけここでご紹介致します(^^)v

     
        

     今日は、本舞台を使用したのですが、上の写真は組み立
     て終わった舞台の中になります(^.^)

        

      出番待ちしている“ブルー”くんです(^^)v











        http://www.geocities.jp/littlepine2005/ 

      http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
 
         http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227