りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“光の妖精ティンクルの輝く冒険” ―全6場― 2

2011年11月26日 17時30分17秒 | 新作(人形劇用)


  ティンクル「綺麗な女の人・・・って?」
  ピコ「うん・・・、とっても色が白い・・・髪の長い綺麗な女の人だ
     ったよ・・・。そうだ・・・、手に君と同じような・・・その女の人
     のは、フワフワした綿毛が付いた棒を持っていた・・・。」
  ティンクル「フワフワの・・・あ・・・もしかして・・・」
  ピコ「・・・もしかして・・・?」
  ティンクル「氷の女王が来たのね!!
  ピコ「・・・氷の・・・女王?」
  ティンクル「ええ!!それで、みんなの心を凍らせてしまったん
         だわ!!」
  ピコ「何だって・・・!?」
  ティンクル「そうよ・・・そうに決まってるわ!!だから、みんな何
         を見ても・・・聞いても・・・無表情で無関心なんだわ!
         でも・・・ちょっと待って・・・じゃあ、どうしてあなたは
         ・・・」
  ピコ「僕・・・?」
  ティンクル「私に興味を持って、色々と聞いて来た人は、この村
         ではあなたくらいよ。あなたは、みんな心を凍らされ
         たこの村で・・・唯一心を凍らされていないんだわ!」
  ピコ「僕の家は、父さん母さんも、妹のルコもみんな、この村の
     人達とは違う・・・」
  ティンクル「ふうん・・・。どうしてか分かる?」
  ピコ「そんなこと、分からないよ・・・。収穫祭の前は、妹のルコが
     病気で具合が悪くて・・・ずっと暖炉の火を消さなくて、家の
     中はとても暑かったけど・・・。だから、みんなが収穫祭の準
     備に浮かれている間も、僕はずっと薪の番をしていた・・・」
  ティンクル「それだわ!!」
  ピコ「え・・・?」
  ティンクル「氷の女王・・・火が怖かったのよ!だから、あなたの
         川向うの家まで、魔法をかけることが出来なかった
         んだわ!火で融けるのが怖くて・・・。」
  ピコ「融ける・・・」
  ティンクル「そうよ!火に近寄れば、忽ちその熱さで融けてなく
         なるんだもの!!だから、あなたの家のみんなは
         大丈夫だったのね!!」
  ピコ「そうか・・・、だから村の人達みんな、人が変わったように
     冷たかったんだ・・・。いつもならすごく親切に声を掛けて
     くれる、村の人達がみんな・・・」
  ティンクル「だから誰も私の魔法に、何も感じなかったのね!!
         ・・・ねぇ!!氷の女王の所へ行きましょう!!」
  ピコ「でも・・・」
  ティンクル「でないと、いつまでもここの村の人達は、冷たい
         無表情な人間のままよ!!氷の女王をやっつけて
         、村の人達に温かい心を取り戻してもらうのよ!!」
  ピコ「僕・・・」

         音楽流れ、ティンクル歌う。

         “温かい心を取り戻しましょう
         よくない魔法なんて追っ払い
         みんなの心に温もりを
         いつまでも凍ったこんな世界
         屹度誰も望んでないわ
         こんなに冷たい人々なんて”

         ピコ歌う。

         “だけど僕・・・
         少し怖いかも知れない・・・
         そんな氷の世界へ行くのが
         見知らぬ場所の
         見知らぬ人・・・
         返してくれるだろうか
         僕の願い通り・・・”

         ティンクル歌う。

         “やってみなくちゃ分からない
         行ってみないと分からない
         2人だから行けるわ直ぐに
         2人だから立ち向かえる
         恐ろしくても
         2人で行きましょう”

         2人歌う。

         “2人で・・・2人で・・・”

  ティンクル「行きましょう!!」
  ピコ「うん!!」

         紗幕閉まる。

   ――――― 第 4 場 ―――――

         紗幕前。雪が吹雪く音。

     コーラス“ここは氷の国
          冷たく閉ざされた心の国
          誰もが凍る
          恐ろしく冷たい場所・・・”

         その時、上手より旅人、寒さに身を屈めながら
         登場。下手方へ。

  旅人「ああ・・・寒い・・・」

         そこへ上手より、馬車を走らせ氷の女王登場。
         旅人、馬車の前へ飛び出す。(馬車、急に止まる。)

  氷の女王「何だ!!おまえは!!」
  旅人「私はただの旅人です。吹雪に迷って、こんな所まで来て
      しまいました・・・。(下手方を指差し。)ここはあなたのお
      城ですか?どうか一晩の宿とパンを、この私めに・・・」
  氷の女王「ほう・・・それは気の毒に・・・(ニヤリと笑う。)だが、
         生憎ここには温かい部屋も、スープもなくてな・・・。
         その変わり・・・」
  旅人「え・・・?」
  氷の女王「死ぬまで腹の空かぬ体にしてやろう!!フーッ!!
         (旅人に息を吹き掛ける。)」

         と、旅人、瞬く間に凍ってしまう。

  氷の女王「(笑って。)馬鹿な奴だ!!ハッ!!(馬車を走らせ
         下手へ去る。)」

         入れ代るように、上手よりティンクル、ピコ寒そうに
         登場。ゆっくり下手方へ。

  ピコ「ねぇ、ティンクル・・・寒いよ・・・」
  ティンクル「もう少しよ、ピコ!!ほら、あそこに(下手を指差し。)
         氷のお城の門が・・・」
  ピコ「(凍っている旅人を認め、腰を抜かしたように。)わあっ!!
     ティ・・・ティンクル!!ティンクル!!」
  ティンクル「もう・・・今度は何よ!!」
  ピコ「み・・・見て!!ひ・・・人が・・・人が、氷の中に・・・」
  ティンクル「人?」
  ピコ「う・・・うん・・・」
  ティンクル「(旅人を認め。)これは・・・!!屹度、氷の女王の仕
         業ね・・・」
  ピコ「し・・・死んでるの・・・?」
  ティンクル「いいえ!氷が融けたら、ちゃんと元に戻れるわ!で
         も・・・融けなければ、ずっとこのまま・・・」
  ピコ「このまま・・・?」
  ティンクル「(頷く。)さぁ、急ぎましょう!早く、氷の女王に会わな
         くちゃ!!」
  ピコ「・・・うん・・・」

         ティンクル、下手へ去る。
         ピコ、旅人を気にしながら、ティンクルに続いて
         下手へ去る。

         紗幕開く。

   ――――― 第 5 場 ―――――

         氷の女王の城の中。
         冷たい風が吹き抜けるように。
         中央、氷の椅子に腰を下ろした氷の女王、
         歌う。

         “ここは私の国
         私の為の冷たい場所
         誰もが寄り付かず
         ただ見詰めるだけ
         ここは私の氷の王国・・・”

  氷の女王「今年は、いつもより冬が長くて本当にいいわねぇ・・・
         。ホッホッホ・・・」

         氷の女王、上手へ去る。
         そこへ下手よりティンクル、ピコ、回りを見回し
         ゆっくり登場。

  ピコ「氷の女王様って・・・どこにいるのかなぁ・・・」
  ティンクル「そうね・・・。ちょっと・・・読んでみる?」
  ピコ「そ・・・そうだね・・・」
  2人「(恐々と。)氷の女王様・・・!氷の女王様・・・!!」

  氷の女王の声(エコー)「誰!?私の城で、私の名を呼ぶ不届
                  き者は!!」

  ティンクル「私達、氷の女王様にお話ししたいことがあって・・・」

  氷の女王の声「話し・・・?話しなど、こっちにはないわ!さっさ
            とお帰り!!」

  ティンクル「お願いします!出てきて私達の話しを聞いて!!」

  氷の女王の声「嫌よ!!」

  ピコ「氷の女王様!!僕の村の人達のことで・・・」

  氷の女王の声「嫌だと言ってるでしょう!!」

         その時、風の吹き抜ける音(“ビューッ”)。

  ピコ「あ・・・」
  ティンクル「・・・ピコ・・・?」

         ピコ、凍らされてしまう。

  ティンクル「ピコ・・・ピコ!!氷の女王!!よくもピコを、氷の中
         に閉じ込めたわね!!」

         氷の女王、上手より高々と笑いながら登場。
  
  ティンクル「氷の女王・・・?」
  氷の女王「ええ・・・。あなたは・・・妖精・・・?」
  ティンクル「そうよ!!私は光の妖精ティンクル!」
  氷の女王「・・・ふん、そんなことはどうでもいいわ。」
  ティンクル「よくないわ!!先ずピコを元に戻して!!それから
         ピコの村の人々の心から温かい思いを奪って、氷の
         ような冷たい心にしたのはあなたでしょ!?」
  氷の女王「ああ・・・その子どもはあの村の・・・。だが、あの村の
         者は全て・・・。まぁ、いい・・・。秋の収穫祭など、煩い
         だけの何ものでもないでしょう。祭なんかで秋を祝う
         だなんて・・・。それより早く、冬の凍るような心地好い
         空気に変わればいいと思って、収穫祭を中止してと
         言ったら、あの村長・・・できないと言ったのよ・・・この
         私に向かって!!だから村中の人々の心を凍らせて
         やったのよ!!忽ち収穫祭は中止され、誰も文句を
         言わなくなった・・・(笑う。)だから今年は、長く冬の冷
         たい時期が続いて・・・私はとっても嬉しいのよ・・・(
         無表情で。)」
  ティンクル「嬉しそうに見えないけれど・・・」
  氷の女王「何ですって!!あなたも凍らされたいの!?」
  ティンクル「早くみんなを元に戻して!!」
  氷の女王「嫌よ!!」

         氷の女王歌う。

         “ここは私の国
         私の為の冷たい場所
         誰もが寄り付かず
         ただ見詰めるだけ
         ここは私の氷の大国・・・”

  氷の女王「この私の国で、勝手なことを言うのは許さないわ
         !!」
  ティンクル「そう・・・じゃあ・・・仕方ないわねぇ・・・」
  氷の女王「ふん、光の妖精なんかに、何ができるって言うのか
         しら。」
  ティンクル「・・・(ニッコリ笑い。)あなた・・・分かってないわ・・・。」
  氷の女王「・・・何がよ・・・」
  ティンクル「私達、光の力は、あなたが考えているより、ずっと、
         ずっと強いんだってこと!!見てなさい!!杖よ!!
         私に力を!!(杖を振り上げる。)」
  氷の女王「何・・・」

         その時、一斉に回りに灯りが灯り、
         薄暗かった城内が、眩しいばかりの輝きに
         溢れ返る。
         音楽流れ、ティンクル歌う。

         “私に光の力を
         全てを融かし
         人々に自由を・・・!!”

  氷の女王「あ・・・熱い・・・熱いーっ!!」

         ティンクル歌う。

         “凍った人々の
         心と体を解き放ち
         自由を返して
         今直ぐに・・・!!”

  氷の女王「止めて!!止めて!!灯りを消して!!」

         ティンクル歌う。

         “全てを解放して
         勝手な思いで自由を
         奪った報いを
         私に光の力を!!”

         光の女王、歌う。

         “融ける・・・
         氷が融ける・・・
         私の氷が・・・”

  光の女王「・・・光のせいで・・・私の氷が融けてなくなるわ・・・
         融けて・・・とけ・・・ギャーッ・・・!!」

         氷の女王、氷の国が全て(融けて)消え去る。
         ピコ、氷が融けて、思わず膝を付く。

  ティンクル「ピコ!!(駆け寄る。)」
  ピコ「・・・ティンクル・・・僕・・・」
  ティンクル「大丈夫?」
  ピコ「うん・・・。氷の女王は・・・」
  ティンクル「もういないわ。あなたの村の人達も屹度、みんな元
         の優しい人達に戻ってる筈よ。」
  ピコ「本当に・・・?」
  ティンクル「ええ。」
  ピコ「ティンクル・・・ありがとう!!」

         音楽流れ、ティンクル歌う。
         
         “光の力が守った全てを
         温かい心を取り戻した
         みんなに笑顔を
         優しい思いが集まって
         光に力を与えてくれた
         みんなの思いが
         みんなを幸せに導いたの”

         ピコ、歌う。

         “でも・・・ありがとう
         君のお陰で
         君と出会えたお陰で・・・
         幸せ戻った・・・
         ありがとう・・・”

         紗幕閉まる。  











   ――――― “光の妖精ティンクルの輝く冒険”
                    エンディングへつづく ―――――









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