りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“パピ” ―全6場― 2

2011年11月14日 22時19分58秒 | 新作(人形劇用)


  レミ「あれ・・・?君の天使先生は・・・?」
  パピ「天使先生・・・?そんなの知らないわ!ねぇ、それより、あ
     なたの持ってるその棒・・・さっきの子達も大切そうに持って
     たけど、それは何?」
  レミ「え・・・?あ・・・これは妖精の杖だよ・・・。僕は昨日、天使
     先生から独り立ちをした所なんだ。だから天使先生に一人
     前の証の、この杖を授かったんだよ。」
  パピ「一人前の証・・・?」
  レミ「うん、そうだよ。だからさっきから、一人でこの世界の風を
     作ってたんだ。僕は風を作る仕事を与えられたんだ・・・。
     だけど、中々上手くいかなくて・・・。」
  パピ「ふうん・・・」
  レミ「(杖を振ってみる。)ね・・・!いくらこの杖を・・・」
  パピ「貸して!(レミの杖を取り上げる。)」
  レミ「あ・・・!!」
  パピ「私にもやらせて!!」
  レミ「だ・・・駄目だよ!!まだ一人前じゃない君が、杖を振った
     って・・・」
  
         パピが杖を振ると、強い風が吹き抜ける。
         音楽流れる。(風の音“ビューン”)

  レミ「わぁ・・・す・・・すごいや!!」

         パピ、歌う。

         “簡単よ こんなこと
         一振りすれば直ぐに     レミ“本当に?”
         何でもできそうだわ
         私もあなたに付いて行くわ
         屹度たやすいことね     レミ“誰かに
                              見つかれば・・・
         あなたの代わりに杖        僕と一緒に?”
         振りかざし創造するわ
         この世界の中を”       レミ“君が僕の
                              代わり・・・?”

  パピ「面白いのねぇ・・・この杖!私に、この杖を貸してね!!」
  レミ「でも・・・天の国の大王様に、叱られないかなぁ・・・」
  パピ「大丈夫よ!!見つかりっこないわ!!」

         レミ歌う。

         “本当?大丈夫?”

         パピ歌う。

         “この私があなたの代わりに
         この世界創造するわ
         夢にまで見た外の世界で
         楽しいことが始まるのよ!”

  パピ「さぁ、行きましょう!!」

         音楽フェード・アウト。(紗幕閉まる。)

    ――――― 第 4 場 ―――――

         音楽流れ、上手よりエンゼル登場。歌う。

  エンゼル「ああ・・・大変だ・・・」

         “なんだか胸騒ぎがする何故
         嵐がきたようなこの風”

  エンゼル「なんだか嫌な感じだ・・・。この春うららかな季節に
        ・・・」

         (風が吹き抜ける。)

         “何故だか不吉なことが
         おこりそう
         嫌な予感が当たりそうだぞ”

     コーラス“こんなことは初めて
           今まで平和な村
           明るい話題で一杯
           綺麗な村
           自慢の村だったのに
 
           なのに なのに なのに なのに”

         “なんだか胸騒ぎがする何故
         嵐がきたようなこの風”

  エンゼル「早く、パピを捜さないと・・・」

         エンゼル、下手へ去る。
         紗幕開く。

    ――――― 第 5 場 ―――――

         村の様子。
         パピとレミ、杖の練習をしている。
         音楽流れる。歌う。

  パピ「難しいのねぇ・・・この杖の使い方・・・。」

     パピ“こんな杖 見たことないのよ
        初めてのわくわくとドキドキ   
        一振りで嵐のようだわ
        人間がみんな慌ててるのよ”

     レミ“だけどそれはよくないことだよ
        みんなが困ることだよ
        いけないことなんだよ
        分かるパピ?”

  パピ「えいっ!!(“ビューン”大風の音。)はっ!!(“ビューン”
     大風の音。)」
  レミ「わあーっ!!」 

     パピ“楽しいわ なんて素敵なの
        おもしろい こんなおもちゃ初めて
        素敵だわ 私にも欲しいの
        どうすれば手に入れられるのかしら”

     レミ“だけど君はまだ半人前
        使い方を知らなくて
        やたらと振り回すと大変だ”

  パピ「えいっ!!(“ゴォーッ”強風の音。)」
  レミ「わあーっ!!パ・・・パピ・・・危ないよ・・・」
  パピ「すごーい・・・」
   
     パピ“卵から生まれて初めて
        色々と知ることがあるのよ
        楽しいの憧れた世界が
        今までは経験したこともない”

     レミ“だけどやっぱりよくないことだ
        みんな危ない目にあう
        風は怖いんだ
        大王様はもっと・・・”

  レミ「ねぇ・・・ねぇ、パピ!そんな風にやたらと、大風をおこした
     んじゃ、人間界が大変なことになるよ・・・」

         (パピ、レミ、後ろ向きに。)
         前方、ロン下手より、走り登場。

  ロン「わぁーっ!!父さん!!父さーん!!風が吹いてきたよ
     ー!!早く丘へ上がって、凧を飛ばそう!!わぁーい!!
     父さん!!丘へ行って来まーす!!」

         ロン上手へ、走り去る。
         入れ代ってロンの父、下手より登場。

  ロンの父「ロン?風が強くなってきたから危ないぞ!家の中へ
        入るんだ!ロン・・・ロン?」

         風が吹き抜け、人々慌てた様子で、往来している。

  人々口々に「わあーっ!!」
          「キャーッ!!」
          「竜巻だわ!!」
          「大変だ!!」
          「逃げろ!!」
          「早く安全な場所へ!!」

  女の子「(走り登場。)私の大切なぬいぐるみがー!!ママに
       買ってもらった大切な宝物なの!!待ってーっ!!
       あーん・・・あーん・・・待ってーっ!!風さん!!私の
       宝物を返してーっ!!あーん・・・(泣きながら去る。)」

         人々去り、パピ、レミ前方へ。

  パピ「あはははは・・・」
  レミ「(杖を取り上げる。)パピ!!いたずらはよくないよ!!」
  パピ「レミ・・・」
  レミ「見てごらん、町の様子・・・。ハリケーンの後みたいだ・・・。
     妖精は人間の友達なんだよ。怖がらせちゃいけない。
     迷惑もかけちゃいけない・・・。人間に僕達は決して見えな
     いけれど・・・心で仲良くしたいと願えば、人間達は温かい
     思いを感じ取ってくれるんだ。」
  パピ「レミ・・・」
  レミ「森に戻って、君は天使先生に色々と、一つ一つ習うべき
     だよ。」
  パピ「・・・いやよ・・・」
  レミ「屹度、パピの天使先生は、君がいなくなって、捜し回って
     いると思うよ・・・。」
  パピ「嘘よ・・・」
  レミ「それに天使先生が、先生としての役目を果たせなかった
     ら、大王様にどんなお仕置きをされるか・・・」
  パピ「お仕置き・・・?」
  レミ「うん。僕も自分の力で、経験を重ねながら、風を創造する
     力を学んでいく。だからパピも・・・パピの先生のところへ
     お帰り・・・。」
  パピ「レミ・・・」

         音楽流れ、パピ、レミ歌う。

     レミ“いつでも側にいて       コーラス“感じる
        見ている君を                温もり
        頑張って努力している          思いだけ”
        その姿”

     パピ“私も頑張るわ         レミ“君のことを
        あなたのように           見ているよ
        一人前の妖精に          近くで”
        なる為”
                           コーラス“側で”

  大王の声(エコー)「こら!!エンゼル!!パピがこの世界を
              目茶苦茶にした責任は、全ておまえにある
              のだぞ!!」
  エンゼルの声(エコー)「大王様・・・」

     パピ“考えもしないで
        決まりを守らず
        心赴くまま
        自由にしたため”

     レミ“君のしたことを         コーラス“したこと”
        償う為に
        天使先生のところへ”

     パピ“私帰るわ
        謝る為              コーラス“今
        私のしたことを               したこと
        許して欲しい”               心から”

  パピ「また会える・・・?」
  レミ「うん!勿論さ!!君がちゃんと勉強して、本当の妖精に
     なれたら、2人で一緒に世界を創造していこう!」
  パピ「ええ・・・分かったわ!!屹度よ!!(上手へ走り去る。)
      」
  レミ「また会おうね!!(大きく手を振る。)君は独りぼっちだっ
     た僕に、仲良く声を掛けてくれた・・・初めてできた友達だ
     ったんだよ・・・。」

    ――――― 第 6 場 ―――――

         場面変わり、天界。
         音楽流れる。

     コーラス“天の国の裁判だ
           大王の判決
           受ける場所だぞ
           天の国の裁判だ
           大王の判決
           受ける場所だぞ”

  大王「それではただ今より、天界裁判を行う。掟を破り、妖精の
      好き放題にさせ、町を目茶苦茶にしたエンゼル・・・前へ
      ・・・。」
  エンゼル「はい・・・」

         上手よりパピ、走り登場。大王の前へ。

  パピ「待って、大王様!!エンゼル先生は何も悪くないわ!!」
  大王「そなたは・・・」
  パピ「私はパピ!!レミの杖を使って、町を目茶苦茶にした悪
     い妖精です!!」
  エンゼル「パピ・・・」
  パピ「・・・あなたが・・・私の先生・・・?」
  エンゼル「(頷く。)心配したよ。」
  パピ「エンゼル先生、ごめんなさい!!」
  大王「おまえは自分がしたことを、本当に分かっているのか・・・
      ?見てみるのだ、パピ、この町の様子を・・・」
  パピ「え・・・」
  大王「おまえが、好き放題に風を起こして、町を目茶苦茶にして
      しまったのだぞ。」
  パピ「私・・・」








         ――――― “パピ”3へつづく ―――――










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      (どら余談^^;)

      このお話しに出て来る、“大王様”と“エンゼル”さん、
     来年の記念公演作品の中で、重要な役所として登場
     します(^^)2人のこと・・・覚えておいてくださいね♥
     
     勿論、記念公演作品の方を、先に書き上げているので、
     この作品の中での出来事は・・・後付けです^^;











        http://www.geocities.jp/littlepine2005/ 

      http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
 
         http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227