りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“光の妖精ティンクルの輝く冒険” ―全6場―

2011年11月20日 22時40分22秒 | 新作(人形劇用)


  
    〈 主な登場人物 〉

   ティンクル  ・・・  光の妖精。

   ピコ  ・・・  村の少年。

   大王様  ・・・  ウインターランドの大王。  

   ルコ  ・・・  ピコの妹。

   氷の女王

   その他




 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


            幕が開く。

   ――――― 第 1 場 ――――― A

         紗幕前。
         下手より、誰かを捜しているように、回りを
         見回しまがら、大王登場。

  大王「ティンクルー!!ティンクルー!!一体どこを遊び回って
      いると言うのだ、ティンクルは!!我々ウインターランドの
      妖精達が、一年で一番忙しい日を迎えていると言うのに
      !ティンクルー!!今夜中に、クリスマスの準備をする為
      に、妖精達はみんな走り回っている中、一人だけ、ティン
      クルは・・・。光担当のティンクルがいないと、いくら雪が積
      もって、大きなツリーやプレゼントが山積みにされていて
      も、クリスマスの朝を、無事に迎えにることは出来ないの
      だぞ!!ティンクルー!!ティンクルー!!」

         大王、上手へ去る。
         音楽流れ、紗幕開く。

   ――――― 第 1 場 ――――― B

         中央、一人の妖精(ティンクル)、
         歌う。

         “キラキラ輝く美しい街並み
         星の輝きにも似て 
         街中光溢れるわ
         美しい輝きに心が躍る
         なんて綺麗 目に見える限りのパラダイス
         誰もがワクワクする筈よ
         こんな煌めき見たことない
         さぁ もう直ぐ私の出番だわ
         さぁ みんなが待つのよ
         一年で一番素敵なこの時を”

  ティンクル「もう、大王様ったら、ホント口煩いんだから・・・。いく
         ら明日がクリスマスだからって、少しくらい遊ぶ時間
         だって欲しいわ!(舞台縁より、下を見るように。)
         それにしても綺麗ねぇ・・・。雪が積もって、辺り一面
         真っ白・・・。ここに私の魔法で、光のキラキラが加わ
         れば・・・(“フフフ・・・”と笑って。)想像しただけで、
         ものすごく綺麗だって分かるわ!」

  大王の声「ティンクルー!!ティンクルー!!」

  ティンクル「(溜め息を吐いて。)はーい!!私はここよ、大王様
         !!」

  大王の声「おまえはこの一番忙しい、光の妖精の働き時に、ま
         たそんな所でサボって、一体何をしておるのじゃ!」
  
  ティンクル「ごめんなさーい!!だって、あまりにも下界の様子
         が綺麗だったから・・・」

  大王の声「その綺麗な下界へ下りて、さっさとみんなの家の
         ツリーに、光を灯してくるのじゃ!!分かったな!!」

  ティンクル「はーい!!・・・仕方ないなぁ・・・そろそろ働かなく
         ちゃ・・・。でも、明日のクリスマスは、きっと綺麗だろ
         うなぁ・・・。」

         紗幕閉まる。

   ――――― 第 2 場 ――――― A

         紗幕前、一人の少年(ピコ。)、下手より登場。
         歌う。

         “飾りがなくても・・・
         綺麗なツリーだ
         キラキラ輝く夜露に
         ライトが照らされて
         僕にはどんな飾りよりも
         素敵な輝きに見える・・・
         だからいいんだ・・・
         ただの木だけが立つ
         ツリーでも・・・”

   ――――― 第 2 場 ――――― B

         紗幕開く。と、ピコの家の中。中央、飾りのない
         ツリーが一本立っている。

  ピコ「大きい木だなぁ・・・。父さんが森の中で拾って来てくれた
     この木・・・。きっと友達の中で一番大きいに決まってる・・・。
     みんなの家みたいに、キラキラ光る飾りなんかなくたって
     平気だ・・・。」

         そこへ下手より、一人の少女ルコ(ピコの妹)
         登場。

  ルコ「お兄ちゃん・・・」
  ピコ「あ、ルコ・・・、おはよう。目が覚めたのかい?」
  ルコ「うん。お兄ちゃん・・・やっぱりうちのクリスマスツリーには、
     飾りがないわね・・・。」
  ピコ「え?」
  ルコ「今日は、クリスマスイブでしょ?だからルコ・・・、きっと目
     が覚めたら、サンタさんがうちのツリーにも、飾りを、いーっ
     ぱい付けてくれるんだ・・・って思ってたの・・・。」
  ピコ「ルコ・・・」
  ルコ「サンタさん、来なかったのね・・・(淋しそうに。)」
  ピコ「今日はイブだから、サンタさんは明日の朝に来るんだよ。」
  ルコ「本当?お兄ちゃん!」
  ピコ「うん・・・本当さ・・・」
  ルコ「じゃあ、明日の朝、目が覚めたらきっとこのツリーにも、
     沢山の飾りが付いているわね!」
  ピコ「・・・そうだね・・・」
  ルコ「わぁー・・・楽しみだなぁ・・・。私、顔洗ってくる!!」
  ピコ「うん・・・」

         ルコ、上手へ走り去る。

  ピコ「(ルコが去るのを見て。)ごめん、ルコ・・・。僕は嘘吐きだ
     ・・・。」

         その時、窓ガラスを“トントン”叩く音がする。

  ピコ「え・・・?」

         再び“トントン”と叩く音。

  ピコ「(窓の方へゆっくりと近付く。)・・・誰かいるの・・・?」

  ティンクルの声「開けて!!ここを開けて頂戴!!」

  ピコ「え・・・(そっと窓を開ける。)」

         その時、窓の外からティンクル、顔を出す。

  ピコ「わあっ!!」
  ティンクル「ごめんなさい!」
  ピコ「・・・誰・・・?」
  ティンクル「入っていい?」
  ピコ「え・・・?う・・・うん・・・」
  ティンクル「(窓から部屋の中へ入る。)よいしょ・・・っと・・・。ふう
         ・・・一軒一軒、家を回るって大変ねぇ・・・。」
  ピコ「君・・・誰?」
  ティンクル「私は光の妖精ティンクル!!みんなの家を回って、
         明日のクリスマスの準備をしてるの!」
  ピコ「光の・・・妖精・・・?」
  ティンクル「そう!次はあなたの家のツリーに、光を灯す順番な
         のよ!!えっと・・・ツリー・・・ツリー・・・あ、あったわ!
         」
  ピコ「あ・・・」

         ティンクル、ツリーの側へ。

  ティンクル「あら・・・飾りは・・・?」
  ピコ「え・・・?」
  ティンクル「まだツリーに飾り付けしてないの?」
  ピコ「う・・・うん・・・ううん・・・違うんだ・・・。」
  ティンクル「違う・・・?まだ出してないんじゃないなら、どうして
         あなたの家のクリスマスツリーには、キラキラ輝く
         ライトや、飾り物が一つもないの・・・?」
  ピコ「それは・・・僕の家は貧乏で・・・飾りを買うお金がないから
     なんだ・・・。」
  ティンクル「貧乏・・・?」
  ピコ「このツリーの木だって・・・父さんが仕事の帰りに、森の中
     に捨てられていたのを、持って帰ってくれたんだ・・・。」
  ティンクル「でも、いくら木があっても、飾りがなけりゃ雰囲気出
         ないじゃない。」
  ピコ「・・・いいんだ・・・。僕は、この木を眺めてるだけで、幸せな
     気持ちになれるから・・・。」
  ティンクル「ふうん・・・そうなの・・・。じゃあ仕方ないわね・・・。私
         は次の家へ行くわ。早くこの町中の家を回って、クリ
         スマスツリーに灯りを点けて回らなけりゃならないの
         !じゃあね!よいクリスマスを!」
  ピコ「・・・さよなら・・・」

         ティンクル、上手へ去る。

  ピコ「(ティンクル出て行くのを見計らって。)・・・僕だって・・・僕
     だってツリーに飾りがあればいいって・・・ルコに飾りの一杯
     付いたツリーを見せてあげることが出来たらって・・・そう思
     ってるよ・・・そう思って・・・そうだ・・・、町へ行けば、どこか
     に一つくらい飾りになりそうなもの、あるかも知れないな・・・
     。よし!行ってみよう!」

         紗幕閉まる。

   ――――― 第 3 場 ――――― A

         上手下手より、其々男の人登場。
         中央、お互いで通れないように。

  男の人1「何だ、おまえは・・・」
  男の人2「そっちこそ何だ・・・」
  男の人1「どけ、邪魔だ。」
  男の人2「おまえの方こそ邪魔だ。」
  男の人1「何だと・・・!?」
  男の人2「何を!?」
  男の人1「・・・ふん・・・つまらない・・・。喧嘩なんてごめんだ・・・。
        (振り返って上手へ去る。)」
  男の人2「ふん・・・余計な時間を使ってしまった・・・。(振り返っ
        て下手へ去る。)」

         紗幕開く。

   ――――― 第 3 場 ――――― B

         音楽流れる。
         上手よりティンクル登場。歌う。

         “綺麗な輝き見て欲しいわみんなに
         私が魔法でみんなの心にも
         灯りを灯すわ
         どう!誰もがハッと息を飲む
         素敵な素敵なクリスマス!”

  ティンクル「ああ・・・疲れた・・・。沢山、灯りを灯して来て、大分
         クリスマスらしくなってきたわ・・・。(後方のショーウ
         インドーの中に、小さなツリーを見つける。)あ!あそ
         こにも・・・」

         ショーウインドーの方に駆け寄り、杖を振る。
         と、ショーウインドーの中のツリーに、小さな
         可愛い灯りが灯る。

  ティンクル「(“えへっ”と笑って。)やった!綺麗ねぇ・・・(見惚れ
         るように。)」

         そこへ下手より、下を向いて何かを探すように
         俯き加減のピコ登場。上手から登場の人に
         ぶつかる。
 
  ピコ「あ・・・ごめんなさい・・・。僕、何かツリーに飾る飾りを探して
     ・・・」
  人「(ピコの言葉には関心ないように。)ないね。」
  ピコ「そうですか・・・」
  人「ないよ。」
  ピコ「僕まだ、何も言って・・・(溜め息を吐き、また下を向いて、
     探すように。)どこかに・・・」
  人「あんたの家のツリーなんて、知ったこっちゃないんだよ。さっ
    さとお帰り。(下手へ去る。)」
  
         ピコ、去る人の後ろ姿を見ているが、再び
         下を向いて何かを探すように歩き出し、
         ティンクルにぶつかる。

  ティンクル「いたっ!」
  ピコ「(下を向いたまま。)ごめんなさい!」
  ティンクル「あら・・・あなた・・・」
  ピコ「え・・・?」
  ティンクル「見て見て!(ショーウインドーの方を指差す。)これ
         私が点けたのよ!キラキラ光って綺麗でしょう?」
  ピコ「(チラッとショーウインドーに目を遣るが、直ぐまた下を向い
     て探すように。)」
  ティンクル「・・・どうしたの・・?下ばっかり向いちゃって。」
  ピコ「僕のことはほっといて・・・」
  ティンクル「冷たいのね。ねぇ・・・それよりここの人達・・・どうし
         ちゃったの・・・?いくら私が光の魔法で、灯りを灯し
         て、キラキラ輝く美しいツリーにしても・・・誰も感動し
         てくれないのよ・・・。それどころか、丸で無関心・・・。
         どうしてみんな、あんなに無表情なのかしら・・・。」
  ピコ「無表情・・・?」
  ティンクル「ええ。心がないみたいだわ。」
  ピコ「心が・・・。そうだ・・・そう言えば君の言う通りかも知れない
     ・・・。」
  ティンクル「(ピコを見る。)」
  ピコ「僕にもよく分からないけれど・・・少し前まではみんな活気
     があって、とても賑やかで明るい村だったのに・・・秋の訪
     れと同時に、丸でみんなの心も冷たくなって行くように・・・
     今ではみんな元気がなくなってしまったんだ・・・。笑い声
     も・・・楽しそうな話し声も全く聞こえない・・・。喧嘩さえ起き
     ないんだ。」
  ティンクル「・・・変ね・・・」
  ピコ「え・・・?」
  ティンクル「変ねって言ったの!!」
  ピコ「・・・変・・・?」
  ティンクル「だって、夏までは村の人達みんな、明るく元気だった
         んでしょ?」
  ピコ「・・・うん・・・」
  ティンクル「何か心当たりは?」
  ピコ「心当たり・・・?」
  ティンクル「そう!夏の終わりに、何か事件があったとか!」
  ピコ「事件!?」
  ティンクル「例えばよ!!」
  ピコ「あ・・・そうか・・・。ううん・・・別に・・・」                
  ティンクル「そう・・・。」
  ぴこ「あ・・・でも・・・そう言えば、秋の収穫祭の前の日に、綺麗
     な女の人がやって来て・・・村長さんの家に泊まって行った
     んだ・・・。その次の日の収穫祭が、突然中止になって・・・
     今考えると、その収穫祭辺りから、みんな何にも無関心に
     なったような気がする・・・。毎年楽しみにしている収穫祭が、
     中止になったと言われても、誰一人からも、残念がる声は
     聞かれなかったんだ・・・。」










   ――――― “光の妖精ティンクルの輝く冒険”
                           2へつづく ―――――









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     (どら余談^^;)

     目茶苦茶状態の下書きから書き移すのは、思いの外・・・
     ・・・難しいです~・・・(^_^;)















        http://www.geocities.jp/littlepine2005/ 

      http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
 
         http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227