りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“エドワード” ―全12場―

2013年02月21日 19時50分03秒 | 未発表脚本

 

   〈 主な登場人物 〉


   エドワード(エド)  ・・・  本編の主人公。警察官。

   ローラ  ・・・  エドの同僚。

   マーク  ・・・  エドの相棒。ローラに想いを寄せる。

   悪魔(デビル)  

   ナナ  ・・・  孤児の少女。

   ペリー  

   占いの老婆


   その他



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



    ――――― 第 1 場 ―――――

         静かな音楽流れ、舞台明るくなる。
         (カーテン前。)
         中央、泣いている少年(エドワード。)、
         座り込んで何かを埋めているよう。

  エドワード(少年)「さようなら・・・さようなら・・・僕の可愛がって
             いたウサギさん・・・」

         そこへ上手より、エドワードの様子を見て
         いたように、デビル登場し、ゆっくり
         エドワードの側へ。エドワードを見下ろす。

  エドワード「(デビルに気付き、鼻をすする。)・・・誰・・・?」
  デビル「(少し驚いたように。)・・・俺のことが見えるのか・・・?」
  エドワード「・・・(頷く。)」
  デビル「・・・へぇ・・・なら、いいことを教えてやろう・・・」
  エドワード「・・・いいこと・・・?」
  デビル「そう言うことは、無駄な労力だ・・・」
  エドワード「・・・労力・・・?」
  デビル「やるだけ無駄だ・・・と言っているんだ・・・」
  エドワード「・・・どうして?昨日まで可愛がって、一緒に仲良く暮
         らしてたウサギさんが、今朝起きてみると・・・(耐え
         切れなくなったように、しゃくり上げる。)」
  デビル「・・・土に埋めれば生き返るのか・・・?」
  エドワード「違うよ!(立ち上がる。)お空に昇って、天使様の国
         へ行って、幸せに暮らすことが出来るんだ!だから
         僕の父さんと母さんも、僕が小さい頃、天国へ行った
         けど、今はそこで幸せに暮らしてるって・・・!だから
         僕、父さんと母さんに会えなくても我慢するんだ!!
         」
  デビル「・・・そんな国なんかあるものか・・・」
  エドワード「嘘だ・・・お空の上にちゃんとあるよ!!」
  デビル「ないね・・・」
  エドワード「どうしてそんな嘘を吐くの・・・!?あるって院長先生
         が・・・」
  デビル「院長先生・・・?」
  エドワード「院長先生は本当の母さんみたいに優しいんだ・・・!
         嘘なんか吐かないよ・・・!」
  デビル「院長先生はそこへ行ったことがあるのか・・・?」
  エドワード「・・・ないよ・・・。そこは死んだ者しか行けないんだ・・・
         」
  デビル「・・・じゃあ嘘かも知れない・・・」
  エドワード「・・・でも・・・」
  デビル「見たこともないくせに、嘘を言ってるんだ・・・」
  エドワード「そんな・・・。・・・じゃあ・・・死んだらどうなるの・・・?
         あなたは知ってると言うの・・・?今、生きてるあなた
         が知ってるの!?」
  デビル「・・・知りたいか・・・?」
  エドワード「・・・うん・・・」
  デビル「・・・おまえが自分で確かめればいいんだ・・・」
  エドワード「・・・どうやって・・・?」
  デビル「(ニヤリと微笑む。)・・・死んで・・・」
  エドワード「・・・死んで・・・?」

         エドワード、恐ろし気にデビルを見詰め、
         後退りしながらゆっくり下手方へ。
         その時、下手方からエドワードの名を呼ぶ
         声が聞こえる。

  声「エド!!エドワード!!どこにいるの!?」
  
  エドワード「(振り返り、下手方を見る。)院長先生・・・」

  声「エド!!」

  デビル「死ねばおまえにも分かるだろう・・・?(声を上げて笑う。
       )」

         エドワード、下手へ走り去る。
         デビルの笑い声残して暗転。

    ――――― 第 2 場 ―――――

         音楽流れ、明るくなる。(カーテン前。)
         舞台中央、一人の青年(エドワード。)
         座り込んで何かを埋めているように。
         ひとしきり済むと、立ち上がり歌う。

         “たとえば未来が人生の・・・
         行き着く先に幸せと
         願いは儚く永遠に・・・
         今を心に刻みたい・・・
         別れは過去の終着と・・・
         歩いた果ての結果なら
         思いは求めた結論と・・・
         認め素直に受け入れたい・・・”

  エドワード「(下を見て。)・・・天国で幸せに暮らせよ・・・」
  
         その時、下手より一人の少女(ナナ。)
         走りながら登場。

  ナナ「エドワードお兄ちゃん!」
  エドワード「(ナナを認め。)ナナ・・・ほら、ちゃんと埋めてやった
         ぞ。おまえも手を合わせろ。」
  ナナ「・・・うん・・・(しゃがみこんで手を合わせ祈る。)・・・これで
     金魚さんは天国へ行ける?」
  エドワード「ああ・・・」
  ナナ「・・・よかった・・・死んだら皆・・・天国へ行くのよね?それで
     そこで幸せに暮らすのよね?私のパパやママも、そこにい
     るんでしょ?」
  エドワード「ああ、いるさ・・・。きっとそこで幸せに暮らしてるんだ
         ・・・。だからそんな顔するな・・・。」
  ナナ「・・・うん・・・」

         2人、下手へ去る。
             
    ――――― 第 3 場 ―――――

         サイレンの音が響き渡る。

  アナウンス「緊急指令!緊急指令!事件発生!!事件発生!
         !直ちに出動して下さい!!」

         明るい音楽流れ、カーテン開く。
         と、警察署内の様子。
         ポーズを取った警官達、歌い踊る。

         “大変だ!!
         街が我等を呼んでいる
         大変だ!!
         治安維持が我等の仕事
         誰もが住みよい街づくり
         さぁ出動命令だ
         今日も元気に飛び出そう!!”

         警官達、其々椅子の上の上着を取り、
         慌てた様子で下手へ走り去る。
         ローラ、マーク、出掛ける支度をしながら。

  ローラ「エドは?」
  マーク「さぁ・・・」
  ローラ「一体こんな緊急時に、どこ行ったのかしら?」
  マーク「またその辺で、くだらない事件でも追いかけてるんじゃ
      ないかな・・・。彼はいつも単独で行動し過ぎるので困る
      よ、全く・・・」
  ローラ「そうね・・・。エドとコンビのあなたにとっては、いい迷惑
      よね。(クスッと笑う。)でもあんな風だけど、犯人の検挙
      率がいいのは、エドの特技よね。」
  マーク「(独り言のように。)だから余計に腹が立つんだ・・・」
  ローラ「え?」
  マーク「いや・・・」
  ローラ「まぁいいわ。エドのことは放っておいて行きましょう!待
      ってたって、あの鉄砲玉はちょっとやそっとで見つかりっ
      こないもの。」
  
         ローラ、マーク、下手へ行きかける。と、
         下手より男を捕まえてエドワード登場。

  エドワード「誰が鉄砲玉だって?」
  ローラ「あら、エド・・・」
  マーク「出動命令だ。自分勝手な行動は謹んでもらいたいな・・・
      。いざという時のこっちの身にもなってくれ。」
  エドワード「出動命令は取り消しだ!宝石店強盗なら、ほら・・・
         (連れていた男を、2人の方へ突き出すように。)」
  ローラ「・・・犯人・・・?」
  エドワード「たまたま通り掛かったんだよ。警察へ通報した時に
         は既にお縄になってた・・・ってことだ。」
  ローラ「へぇ・・・あなたの鉄砲玉的行動は、行ったっきりじゃなく
      て、ちゃんと成果を上げて戻って来るから、不思議よね。」
  エドワード「どう言う意味だよ。」
  マーク「いつもいつもオマケが付いてくると思ったら大間違いだ。
      ここにはここの規則って言うものがあるんだ。それを頭に
      入れておいてもらわないと、我々は至極迷惑だ。」
  エドワード「(ローラに。)迷惑だったか?」
  ローラ「(肩を窄めて。)そうねぇ・・・私はさて置き、少なくともマ
      ークは確かに迷惑かもね。単独行動はいけないもの。あ
      なたのそれは、マークの足かせになってることは確かよ
      。その辺は素直に認めないとね?」
  エドワード「はいはい・・・悪かったな、マーク!(連れていた男
         に。)さぁ行くぞ!取調室。」

         エドワード、男を連れて上手へ去る。

  マーク「全く・・・彼には警官としての自覚がないのか・・・。善悪
      を判断をする能力に欠けている・・・としか思えない。」
  ローラ「・・・そうかしら・・・確かに少し自分勝手ではあるけれど
      。」
  マーク「・・・少し?」
  ローラ「・・・大分ね・・・。でもそれは善悪を判断する能力に欠け
      ているんじゃなくて、善悪が分かりすぎるから・・・正義感
      が強すぎるのね、きっと・・・。彼にとって、この仕事・・・天
      職だと思わない?」
  マーク「さぁ・・・僕にはそうは思えないけど・・・。危険が大き過ぎ
      る・・・」
  ローラ「・・・そうね・・・」
  マーク「僕は彼といると・・・その内とんでもないことに巻き込まれ
      るような気がして仕方ないんだ・・・」
  ローラ「・・・でも・・・私なら彼を信じて付いて行く・・・」
  マーク「・・・え?」
  ローラ「なんでもない!なんでも・・・(上手方を見詰める。)」
  マーク「ローラ・・・君は・・・(ローラを見詰める。)」

         音楽でカーテン閉まる。

    ――――― 第 4 場 ―――――

         カーテン前。
         上手より一人の男(ペリー。)、息を切らせ
         走りながら登場。
         後ろを気にしていると、上手より黒いスーツ
         姿の男、ペリーを追い掛けるように登場。
         中央、躓いて転んだペリーを捕まえる。

  男「さぁ!!この間貸した1万ドル、今日こそは耳を揃えて返し
    てもらわねぇと、てめぇの命の保証はないぜ!!」
  ペリー「そ・・・そんな・・・俺・・・1万ドルも借りてないです・・・!!
      ほ・・・ホントです!!俺が借りたのは・・・」
  男「煩い!!てめぇは“利息”ってもんを知らねぇのか!?」
  ペリー「で・・・でも・・・いくら利息がついたから・・・って・・・そんな
      大金・・・急に・・・」
  男「(ペリーの襟首を締め上げるように掴む。)」
  ペリー「く・・・苦しい・・・」
  男「俺はこのままおまえを昇天させても構わねぇって、ボスに言
    われてんだぜ!!」
  ペリー「ま・・・待って下さい・・・待って下さい・・・!た・・・助けて
      下さい・・・」
  男「じゃあ今直ぐ、金を返してもらおうか!!」
  ペリー「ま・・・待って下さい・・・今直ぐなんて無理です・・・もう一
      日・・・もう一日だけ・・・今日中にはなんとかします・・・だ
      から・・・」
  男「今日中になんとかする・・・?」
  ペリー「・・・はい・・・だから・・・」
  男「(手を離す。)てめぇ、冗談じゃないだろうな・・・?」
  ペリー「・・・はい・・・」
  男「今日中に1万ドル、耳揃えて持って来ねぇと、本当にてめぇ
    には明日と言う日はないと思っとけ!!」
  ペリー「わ・・・分かってます・・・」
  男「どこに隠れても、外国にトンズラしても、組織の者が絶対に
   逃さねぇ!!分かってるな!!」
  ペリー「(頷く。)」
  男「・・・まぁ、いいだろ・・・じゃあ今日だけ待ってやる。」
  ペリー「は・・・はい・・・」
  男「精々、ない知恵絞って金を用意するんだな。でなきゃ明日の
    朝は、冷たい海の中だ。(笑う。)」

         男、笑いながら上手へ去る。
         ペリー、男が去るのを見計らって、気が
         抜けたように、その場に座り込む。

  ペリー「(呆然と。)・・・どうしたらいいんだ・・・そんな1万ドルなん
      て大金・・・その日暮らしの俺に・・・そんな金・・・でも、なん
      としても用意しないと俺の命は・・・あいつらのことだ、どこ
      に隠れてもきっと探し出してズドン・・・だ・・・。い・・・嫌だ
      ・・・まだ死にたくないよ・・・でも、どうしたら・・・」

         その時、カーテン間よりデビル登場。
         座り込んでいるペリーの耳元で囁くように。
         (ペリーにはデビルの姿は見えない。)
         音楽流れる。

  デビル「・・・金なら・・・あるところに行けば、有り余る程ある・・・」
  ペリー「・・・どこか金のあるところ・・・」
  デビル「1万ドルなんて端た金・・・直ぐに用意できるところがな
      ・・・」
  ペリー「1万ドルくらい・・・直ぐに手に入るところ・・・」
  デビル「ちょっと拝借すればいい・・・」
  ペリー「・・・銀行強盗・・・!?」
  デビル「いい考えだ・・・」
  ペリー「・・・だ・・・駄目だ・・・そんな大それたこと・・・金が手に入
      っても直ぐに監獄行きだ・・・」
  デビル「だが金を用意できなけりゃ、おまえの命は今日限り・・・」
  ペリー「だけど金がなきゃ殺される・・・」

         デビル、歌う。

         “命と名誉と尊厳と・・・
         何も迷うことはない
         正しい心は神のみぞ知る・・・”

         ペリー、立ち上がり歌う。

         “命と正負と決断と・・・
         迷えば明日なない
         道を誤った答えは分からない・・・”

         デビル、歌う。

         “さぁ 心は決まった
         選ぶ余地はない
         答えは一つ・・・”

         デビル、ペリーの背後から銃を差し出す。

  ペリー「(銃を手に取り見詰める。)・・・もう・・・これしか方法がな
      いんだ・・・神様だって許してくれるさ・・・」

         暗転。      
           













      ――――― “エドワード”2へつづく ―――――














 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    (どら余談^^;ちょっと近況です・・・)

    最近、編集作業が楽しくて、今まで以上にパソコンの前に
    座っている時間が、増えたような気がします(^_^;)

    ここ数日、色んな出会いや情報提供があり、“リトルパイン”
    またまた1歩前進・・・と言った具合の今日この頃でありま
    す(^-^)V


























“エドワード” ―全12場― 2

2013年02月21日 19時49分37秒 | 未発表脚本


    ――――― 第 5 場 ―――――

         カーテン開く。
         (中央に一つのベンチ、後ろ向きに
         置かれてある。)
         下手方にナナ、しゃがみこんで地面に
         落書きでもしているように遊んでいる。
         そこへ上手よりエドワード、ローラ、マーク
         話しながら登場。

  エドワード「(背伸びをして。)さぁ、非番だ非番・・・!疲れたなぁ
         ・・・!」
  ローラ「食事でもして帰らない?」
  マーク「そうだね。」
  エドワード「俺、行くとこがあるからパス。」
  ローラ「どこ行くの?」
  エドワード「ホーム・・・」
  マーク「・・ランスロット孤児院・・・」
  ローラ「あら、一昨日も行ってなかったかしら?」
  エドワード「子ども達と約束があるんだ。飛行機作りが途中にな
         ってるから、直ぐにまた行ってやるって・・・」
  マーク「律儀な話しだ・・・」
  エドワード「なんとでも。」
  ローラ「そうね、弟や妹達との約束なら守らないとね。じゃあ私
      達も真っ直ぐ帰りましょうか・・・」
  エドワード「(下手方のナナを認め。)あれ・・・ナナ?ナナじゃな
         いか。」
  ナナ「(エドワードを認め、立ち上がる。)お兄ちゃん!」
  エドワード「どうしたんだ、こんなとこで・・・」
  ナナ「院長先生のお買い物に付いて来たの・・・。」

         その時、非常ベルの音が鳴り響き、
         叫び声が聞こえる。下手より片手に
         鞄、片手に銃を持ち、慌てた様子で
         ペリー、走りながら登場。

  声「銀行強盗だー!!」

         ペリー、ナナにぶつかり転ぶ。と、鞄の
         中から札束が零れ落ちる。
         その時、ベンチに寝転がっていたデビル、
         起き上がり皆の様子を見ている。
         (皆にデビルの姿は見えていない。)

  ペリー「馬鹿野郎!!何、呆っとつっ立ってんだ!!(慌てて散
      らばった金を、掻き集めるように。)」
  エドワード「(隠し持っていた銃を取り出し、ペリーに向かって構
         える。)警察だ!!銃を捨てて、そのまま大人しくこっ
         ちへ来るんだ!!」
  ペリー「(驚いたように。)・・・警察!?」
  エドワード「さぁ、早くこっちへ来い!!」
  ローラ「エド・・・!」
  ペリー「・・・っくしょう・・・畜生!!」

         驚いた様子でペリーを横で見ていたナナに
         気付いたペリー、思わず人質にする。

  ナナ「キャアッ!!」
  エドワード「ナナ!!」
  ペリー「(ナナの方へ銃口を向ける。)こいつを殺したくないなら、
      おまえ達がその手に持った銃を捨てるんだ!!」
  エドワード「馬鹿やろ・・・」
  マーク「(小声で。)非常ベルは鳴ってるんだ・・・応援が来るまで
      待とう・・・!!無闇矢鱈と犯人を挑発すると、あの子ども
      が危険だ!!」
  エドワード「そんな暇はない!!(ゆっくりとペリーの方へ近付き
         ながら。)・・・ナナを離せ・・・」
  ペリー「・・・駄目だ・・・俺はどうしても金がいるんだ・・・捕まる訳
      にはいかない・・・だからこいつを人質に逃げてやる!!」

         デビル、立ち上がりペリーの側へ。
         ペリーの回りをゆっくり回り、その
         様子を見ている。

  デビル「・・・いいぞ・・・やれやれ・・・」
  ナナ「・・・お兄ちゃん・・・」
  エドワード「ナナ!絶対に逃げ通せないんだ!!今ならまだ、罪
         も軽くて済む!!」

         デビル、エドワードに気付き近寄る。

  デビル「おや・・・?また会ったな・・・(エドワードを覗き込み、ニ
       ヤリと微笑む。)・・・死んだらどうなるか・・・まだ知りたい
       か・・・?」
  ペリー「・・・だけど・・・だけど・・・捕まったらおしまいだ!!・・・俺
      は殺されてしまうんだ・・・!!」
  デビル「(ペリーの側へ。)そうそう・・・殺らなければ殺られるん
      だ・・・」
  ペリー「・・・殺らなければ・・・殺られる・・・」
  ローラ「でもその子は関係ないわ!!」
  ペリー「なら、おまえが代わりに人質になるか!?」
  エドワード「なんだと・・・!?」
  ローラ「・・・いいわ・・・」
  マーク「ローラ!!」
  ローラ「(エドワードとマークに向いて。)大丈夫!私の方がナナ
      より都合がいいでしょ?」
  ペリー「いいだろ・・・じゃあゆっくり手を上げてこっちへ来い!!
      」
  エドワード「ローラ・・・!!」
  ローラ「(エドワードをチラッと見て微笑む。)・・・信じてる・・・(ゆ
      っくり手を上げ、ペリーの方へ。)」
  マーク「エド!!」
  デビル「(ペリーの耳元で。)警察の女なんか足で纏いだ・・・直
      ぐに裏切られるぜ・・・。ほら・・・今も背中に銃を隠し持っ
      ている・・・」
  ペリー「銃・・・?」
  デビル「殺っちまえ・・・でなきゃ、その銃でおまえが殺られるん
      だ・・・」
  ペリー「・・・殺られる・・・」
  デビル「殺れ・・・」
  ペリー「殺られる・・・」
  デビル「殺れ!!」

         ペリー、側に来たローラに向かって
         発砲する。
         ローラ、倒れ込む。

  ナナ「キャアッ!!」
  エド「ローラ!!」
  
         エド、素早くペリーに走り寄り、銃を
         取り上げ取り押さえる。
         マーク、ローラに走り寄り抱き起こす。
         デビル、声を上げて笑う。

  マーク「ローラ・・・ローラ・・・」

         ナナ、犯人を押さえたまま呆然と
         ローラを見詰めるエドワードに縋る。
         暗転。

    ――――― 第 6 場 ―――――

         下手スポットに放心状態のエドワード、
         浮かび上がる。

  エドワード「・・・何故・・・死んだ・・・何故・・・おまえが死ななけれ
         ばならない・・・そんなくだらない理由が・・・どこにあ
         ると言うんだ・・・何故・・・俺は・・・(涙を堪えるように
         下を向く。)」

         上手スポットにローラ、浮かび上がる。

  ローラ「エド・・・私はあなたを信じてる・・・」
  エドワード「(顔を上げ。)ローラ・・・!!」
  ローラ「そりゃ・・・無茶なところもあるけれど・・・あなたはいつで
      も私を守ってくれるわ・・・」
  エドワード「・・・俺が・・・?」
  ローラ「だから何も心配してないわ・・・」
  エドワード「・・・おまえを・・・守りきれなかったのに・・・」
  ローラ「そうでしょ?」
  エドワード「ローラ・・・」
  ローラ「・・・信じてるわ・・・」

         ローラ、フェード・アウト。同時に中央
         スポットにマーク、浮かび上がる。

  マーク「・・・ローラが死んだのは貴様のせいだ・・・あの時・・・ロ
      ーラを黙って行かせた・・・彼女は言った筈だ・・・おまえを
      信じていると・・・なのに・・・」
  エドワード「・・・分かってる・・・全部・・・俺の無鉄砲のせいだ・・・
         」
  マーク「今更反省して・・・ローラが帰ってくるのか!?彼女が
      もう一度、僕に微笑みかけると言うのか!?」
  エドワード「・・・マーク・・・」
  マーク「・・・今更後悔しても・・・もうローラは帰って来ない・・・」
  エドワード「・・・俺が・・・」

         エドワード、フェード・アウトする。
         音楽流れ、マーク歌う。

         “そこに春がある・・・
         それだけでよかった・・・
         暖かな温もりに触れることは
         出来なくても・・・
         感じるだけでよかったのに・・・
         夢見た一時が
         叶わなくても
         僕はそれで満足だった・・・
         君が・・・
         そこにいるだけで・・・”

  マーク「(絞り出すように。)なのに・・・何故・・・」

         舞台明るくなる。と、中央に全身黒いマント
         に身を包んだ占いの老婆、テーブルの前
         に座っている。
         マーク、気に止めず、下手方へゆっくり
         行きかける。

  老婆「・・・今のおまえさんの心は、深く沈んだ・・・暗黒の海の底
     のようじゃ・・・」

         マーク、一瞬振り返るが、再び知らん顔
         して歩き始める。

  老婆「・・・そこの青年・・・占いはどうじゃ・・・?」
  マーク「・・・結構だ・・・」
  老婆「自分の未来を知りたくないか・・・?今のこの苦境を乗り越
     える方法を知りたくないか・・・?わしには見えないものは
     何もない・・・。おまえさんを幸せへと導いてやろうじゃない
     か・・・。」
  マーク「・・・幸せへ導くだと・・・?」
  老婆「ああ・・・(立ち上がり、マークの側へ。)」
  マーク「あんたがどんな偉い占い師か祈祷師か・・・はたまた悪
      魔か天使か知らないが・・・!!・・・俺を幸せへ導くことな
      どできっこない・・・死んだ人間を生き返らせることが出来
      ない限り・・・今の俺が幸せに感じることなど・・・有り得は
      しない・・・!!」
  老婆「・・・幸せの代償はなんじゃ・・・?」
  マーク「なんだって・・・あんたの欲しいものをくれてやる!!俺
      の命だって!!・・・本当にそんなことが出来るのなら・・・
      」

         マーク、再び下手方へ行きかける。

  老婆「今の言葉を忘れるな・・・。おまえにいいものをやろう・・・。
     」
  マーク「(立ち止まり振り返る。)」
  老婆「(テーブルの下から、一つの小さな鉢植えを取り出し、マ
     ークの方へ差し出す。)ほら・・・遠慮はするな・・・(無理矢
     理マークへ、鉢植えを手渡す。)」
  マーク「・・・こんな枯れた花のつぼみなんか・・・!」
  老婆「それをただの花のつぼみと思うんじゃないぞ・・・。そのつ
     ぼみは、“命のつぼみ”じゃ・・・」
  マーク「・・・命のつぼみ・・・?」
  老婆「ああ・・・今直ぐその幸せの元へ行き、その者の血を1滴
     ・・・花のつぼみに吸わせるんじゃ・・・。そうすれば忽ち命
     の花は息を吹き返し、見事な花を咲かせるであろう・・・。そ
     うしてその花の咲いている間、その人間はいつまでも生き
     続けるのじゃ・・・。花が枯れたり傷つかない限り・・・永遠に
     な・・・」
  マーク「・・・まさか・・・」
  老婆「試してみるがいい・・・どうせ死んだ命じゃろ・・・?」
  マーク「・・・本当に・・・死んだ人間が・・・生き返る・・・?嘘だ・・・
      そんな・・・」
  老婆「・・・その代わり・・・命の代償は・・・他の誰かの命だ・・・」
  マーク「・・・え・・・?」
  老婆「何もそんな驚いた顔をせんでもいいじゃろう・・・。死んだ
     者が生き返るのじゃ・・・その代わりに生きている者が死ぬ
     ・・・ただそれだけのことじゃ・・・」
  マーク「・・・そんな・・・代わりに誰かの命を・・・(呆然とつぼみを
      見詰める。)」
  老婆「誰でもいいんだよ・・・3日以内に誰かが死ねばいいんだ
     ・・・(マークの背後へ。今まで被っていた頭巾を取る。と、デ
     ビル、ニヤリと微笑む。)この世の中、突然いなくなっても、
     困らない人間は大勢いるだろ・・・?・・・身寄りのない孤児
     とか・・・」

         マーク、スポットに浮かび上がる。

  マーク「・・・身寄りのない孤児・・・そんな・・・たとえ身寄りがなく
      ても・・・!!(振り返る。と、老婆の姿はない。)・・・婆さん
      ・・・?婆さん!?(怪訝そうに回りを見回す。手に持って
      いた苗木に気付き、呆然と見詰める。)・・・命の・・・花・・・
      ?まさか・・・」

         暗転。

    ――――― 第 7 場 ―――――

         音楽流れ、舞台明るくなる。(警察署内の
         様子。)
         下手よりエドワード、歌いながら登場。

         “空に輝く星のように
         手に入らない美しいもの
         手を伸ばしても
         決して届かない・・・
         永遠の思い出よ・・・
         つい今まで側にいた
         懐かしい香り
         突然に駆け上った
         空の彼方に・・・”

  エドワード「・・・いなくなって・・・初めて知る想い・・・会えなくなっ
         て・・・やっと気付いた自分の心・・・(溜め息を吐く。)
         」

         その時、下手よりローラ登場。

  ローラ「おはよう、エド!!」
  エドワード「おはよ・・・う・・・(驚いてローラを見る。)」
  ローラ「珍しいぞ!遅刻しないで出勤なんて!(笑う。)」
  エドワード「・・・ローラ・・・」
  ローラ「・・・どうしたの?そんな幽霊でも見たような顔して・・・。
      私・・・どこか変・・・?」
  エドワード「ローラ・・・おまえ・・・死んだんじゃ・・・」
  ローラ「いやね!何、寝惚けたこと言ってるのよ!私はこうして
      生きてるわよ!勝手に人のことを殺さないでよね!!」
  エドワード「・・・嘘だ・・・いや・・・待てよ・・・だが・・・(ローラに近
         寄り、ローラの肩に恐々手を置く。)・・・温かい・・・生
         てる・・・生きてるんだ・・・!!」
  ローラ「だから言ってるじゃ・・・」
  エドワード「(思わずローラを抱き締める。)生きてたんだローラ
         !!よかった・・・!!よかった・・・」
  ローラ「エド・・・」
  エドワード「(ローラを離す。)ごめん・・・なんか俺・・・悪い夢でも
         見てたみたいだ・・・」
  ローラ「・・・変な人ね。」
  エドワード「でも、どうして・・・」

         その時、下手よりマーク登場。

  エドワード「(マークを認め、駆け寄る。)マーク!!ローラが生き
         てたんだ!!」
  マーク「・・・え・・・?」
  エドワード「驚いただろ!?あの時、死んだものと・・・!!だけ
         ど今、こうして生きてここにいるんだ!!」
  マーク「・・・本当に・・・ローラ・・・?」
  ローラ「マークもエドも、さっきから変なことばっかり!」
  エドワード「・・・けど、ローラ・・・怪我は・・・?あの時、確かに銃
         で撃たれた筈・・・」
  ローラ「・・・銃・・・?」
  マーク「・・・い・・・いいじゃないか!そんなこと!!こうしてロー
      ラが生きてたんだ!!それだけで!!」
  エドワード「・・・あ・・・ああ・・・」
  マーク「(ローラに。)それより・・・何か・・・変わったことは・・・?」
  ローラ「変わったこと・・・?変わったことって・・・」
  マーク「いや・・・いいんだ。別に何ともなけりゃ・・・!!」
  ローラ「・・・そう言えば今朝、目が覚めた時・・・(左手首を見せ
      て。)ここに花の形をしたアザが・・・」
  マーク「花の形・・・!?」
  エドワード「どれ?(ローラの手を取り見る。)本当だ・・・丸で花
         模様・・・。また寝相が悪くて、寝てる間に、どこかに
         ぶつけたんじゃないか?」
  ローラ「失礼ね!!」

         エドワード、ローラ笑い合う。横でマーク、
         複雑な面持ちでローラの様子を見ている。
         そこへ下手より、小さな花束を持ったナナ
         登場。 










       ――――― “エドワード”3へつづく ―――――












































“エドワード” ―全12場― 3

2013年02月21日 19時49分17秒 | 未発表脚本



  エドワード「(ナナに気付き。)ナナ?どうしたんだ、こんなとこに
         ・・・」
  ナナ「私・・・私を助けようとして亡くなった、お姉ちゃんにこのお
     花を渡したくて・・・」
  エドワード「そうか・・・でもナナ!!ビックニュースだ!!彼女な
         ら、ほら・・・!!(ローラを指差す。)」
  ナナ「・・・お姉ちゃん・・・!?お姉ちゃん、生きてたの!?」
  エドワード「そうなんだ!!」
  ナナ「でもあの時、沢山血が出て・・・」
  マーク「(思わず強い口調で。)兎に角、生きてるんだ!!」
  エドワード「・・・マーク・・・?」
  マーク「・・・あ・・・すまない・・・」
  ナナ「でもよかった!!私・・・お姉ちゃんが私の為に死んだな
     んて悲しくて、眠れなかったの・・・!!・・・あ・・・でも折角
     持って来たお花が・・・(ローラの前へ。)お姉ちゃんにあげ
     る!!私を助けてくれたお礼に!!(花を差し出す。)」
  ローラ「(花を受け取る。)・・・ありがとう・・・(受け取った花束を
      下に放し、足で踏み付ける。)」
  ナナ「・・・お姉ちゃん・・・?」
  エドワード「・・・ローラ!?」
  ローラ「私、花は嫌い・・・」
  ナナ「酷いわ!(泣き出す。)」

         ローラ、ナナの様子を見て、一瞬ニヤリと
         微笑む。

  エドワード「ローラ!!なんてことをするんだ!!」
  ローラ「(ハッとしたように。)あ・・・ご・・・ごめんなさい!!(慌て
      て花束を拾う。)ごめんね、ナナ!!折角、私の為に持っ
      て来てくれた花束・・・」
  エドワード「・・・どうしたんだ、ローラ・・・?」
  ローラ「・・・分からないの・・・なんだか急に・・・頭がボーッとして
      ・・・」
  マーク「・・・ローラ・・・」

         音楽流れローラ、スポットに浮かび上がる。 

  ローラ「・・・どうしたのかしら・・・私・・・丸で自分の中に、全く違う
      もう一人の自分がいるようで・・・自分の思いとは裏腹に
      ・・・何もかも目茶苦茶にしたくなるような・・・。泣いている
      ナナを見て、嬉しくなるなんて・・・。何だか自分自身が怖
      い・・・」

         上手スポットに、ローラの話しを聞いて
         いたようにデビル、浮かび上がる。
         ローラ、歌う。
         デビル、呼応するように歌う。

      ローラ“何かが変わり始めた・・・”

      デビル“何も変わりはないさ・・・”

      ローラ“昨日と今日では全く違う
          私に思える・・・
          何が変わったのかしら・・・”

      デビル“何もかも同じさ・・・”

      ローラ“分からないわ・・・
          同じものを見て感じる心が
          ただ・・・違う・・・”

      デビル“同じさ・・・
          昨日も今日も変わらない・・・”

      ローラ“自分の心が・・・怖いの・・・”

  デビル「・・・違うのはただ一つ・・・おまえは死んだ人間だと言う
      ことだけさ・・・(笑う。)」

         ローラ、冷たい瞳で遠くを見遣り、
         フェード・アウト。    

    ――――― 第 8 場 ――――― A

         カーテン前。
         上手よりマーク登場。深刻な面持ちで
         立ち尽くす。一時置いて、下手より
         エドワード登場。マークを認め、近寄る。

  エドワード「マーク!話しってなんだよ・・・。また何か説教か?(
         笑う。)」
  マーク「・・・エドワード・・・」
  エドワード「ん?」
  マーク「・・・僕の話しを真面目に聞くか・・・?」
  エドワード「聞くか・・・って、おまえ普通こう言う場合、“聞いてく
         れるか”って言わないか?・・・まぁいいけど・・・おまえ
         の話しはいつも“真面目な話し”だから、改まって真
         面目に聞けと言われなくても、真面目な話ししか出
         来ないだろ?(笑う。)・・・何だよ・・・?」
  マーク「・・・昨日のローラの様子・・・」
  エドワード「・・・ローラの様子?」
  マーク「・・・花束を踏み付けた・・・」
  エドワード「ああ・・・頭がボーッとしたとかって・・・どうしたんだろ
         うな・・・。いつものあいつなら、喜んで受け取っただ
         ろうに・・・。病院でもう1回、調べてもらった方が・・・」
  マーク「いや・・・!」
  エドワード「・・・え?」
  マーク「それだけじゃない・・・あの後の彼女・・・今までの彼女じ
      ゃないんだ・・・いや・・・見た目は今までの彼女だが・・・や
      ることとか・・・言うことが・・・だから・・・」
  エドワード「何言ってんだよ・・・。ローラはローラさ!そりゃ、あの
         事件があったばかりで、少しショックが残っているよう
         ななところもあるけど・・・」
  マーク「違うんだ!!」
  エドワード「・・・違うって・・・何がだよ・・・」
  マーク「・・・僕は・・・とんでもないことをしてしまったかも知れな
      い・・・」
  エドワード「・・・とんでもないこと・・・?いつも冷静沈着で、俺と
         違って道を違えたことなど一度もないおまえがか・・・
         ?」
  マーク「・・・そうだ・・・」
  エドワード「(笑う。)・・・まさか・・・」
  マーク「・・・(神妙な面持ちで、一点を見詰めている。)」
  エドワード「(溜め息を吐いて。)・・・それで何やらかしたんだよ
         ・・・。その顔は、余程不味いことを仕出かしたんだな
         ?聞いてやるから話せよ。解決出来るかどうかは・・・
         安請け合いはやめとく・・・。(マークの思い詰めた表
         情を見て。)冗談だよ!(小声で。)全く・・・一体何や
         らかしたんだか・・・」
  マーク「・・・表通りの抜け道で・・・占いの老婆に出会ったんだ・・・
      」
  エドワード「・・・占い・・・?」
  マーク「・・・ああ・・・」
  エドワード「おまえ、占いなんかに興味あったのか?」
  マーク「僕だって興味なんてないさ!!だけど、僕の苦しみを・・・
      ローラがいなくなった悲しみから救い出してやると言われ
      てつい・・・その老婆の言葉に・・・耳を貸してしまったんだ
      ・・・」
  エドワード「・・・ローラがいなくなった悲しみ・・・?確かに事件の
         直ぐ後は、皆が悲しみに暮れていた・・・だけど、翌朝
         にはその悲しみは間違いだったと分かったじゃない
         か・・・!!」
  マーク「違うんだ・・・!!」
  エドワード「・・・違う・・・?」
  マーク「違うんだ・・・」
  エドワード「だから何が・・・?」
  マーク「あのローラは・・・僕らの知ってるローラじゃない・・・」
  エドワード「・・・え・・・?何、変なこと言って・・・ローラじゃないっ
         て・・・」
  マーク「ローラはあの事件の時・・・本当に死んだんだ・・・」
  エドワード「・・・死んだ・・・?でも・・・翌朝確かにローラは今まで
         と変わりなく元気に・・・」
  マーク「・・・だから!!その日、僕らが見たローラは命の花で生
      き返った、ただのローラの抜け殻だ!!」
  エドワード「・・・抜け殻・・・?」
  マーク「・・・そうだ・・・」
  エドワード「・・・冗談だろ・・・?」
  マーク「・・・こんなこと・・・冗談で話せるもんか・・・」
  エドワード「・・・まさか・・・そんな・・・」
  マーク「・・・本当の・・・話しだ・・・」
  エドワード「嘘だ・・・そんな・・・マーク!!何そんな馬鹿な話し
         ・・・一体誰が信じるもんか・・・(マークの真剣な顔を
         見て。)・・・本当・・・なのか・・・?」
  マーク「(ゆっくり頷く。)」
  エドワード「ばか・・・やろう・・・おまえは何てことをしたんだ!!
         (マークの服の胸元を掴む。)おまえのしたことは、神
         への冒涜だ!!ローラへの愛情でもなんでもない!
         !ただの・・・自分勝手な・・・独りよがりで自己満足な
         行いだ!!」
  マーク「・・・分かってる・・・」
  エドワード「何故ローラを・・・何故静かに眠らせてやらなかった
         んだ・・・何故・・・おまえは・・・」
  マーク「・・・すまない・・・」
  エドワード「俺に謝ったって・・・畜生・・・それで・・・ローラは・・・
         彼女はこのまま生き続けることが出来る・・・筈はない
         ようだな・・・」
  マーク「・・・え・・・?」
  エドワード「そのおまえの様子だと・・・ローラがその花のお陰で
         ・・・以前同様・・・あの事件は夢だったと思い生きて
         いけるなら・・・おまえは俺に、そのことを態々打ち明
         けたりしなかった筈だ・・・」
  マーク「・・・エド・・・」
  エドワード「・・・ローラの命の代償は何だ・・・」
  マーク「・・・それは・・・他の者の・・・命・・・」
  エドワード「・・・他の者の・・・命だと・・・?」
  マーク「老婆が言ったんだ!!世の中、突然いなくなっても困ら
      ない人間が大勢いる!!だからそいつらとローラの命を
      交換して・・・」
  エドワード「馬鹿野郎!!(思わずマークを殴る。)」
  マーク「あっ・・・!!(殴られた弾みで尻餅をつく。頬を押さえ。)
      」
  エドワード「おまえは・・・おまえは心底大馬鹿野郎だ!!そんな
         ・・・そんな・・・ローラが誰かの変わりに生き返ること
         が出来たとして・・・そんなことで本当に彼女が喜ぶ
         と思っているのか!!そんな風にたとえ命が助かっ
         たとして・・・誰かの為に犠牲になることを厭わない・・・
         あの時だって、ナナの変わりに自分の命を何の躊躇
         いもなく差し出すようなことを、平気でやって退けた
         彼女が・・・喜ぶと・・・喜ぶとおまえは本気で考えた
         のか!!」
  マーク「エド・・・すまない・・・(項垂れる。)」

         その時、ローラの声が聞こえる。

  ローラの声「嬉しいわ・・・」

  エドワード「・・・え・・・?(回りを見回す。)」
  マーク「・・・ローラ・・・?(顔を上げる。)」

    ――――― 第 8 場 ――――― B

         (カーテン開く。)
         夜の公演。
         中央に不敵な笑みを湛えたローラ立つ。

  エドワード「ローラ・・・」
  ローラ「・・・勿論嬉しいに決まってるじゃない・・・。それでどっち
      が死んでくれるのかしら・・・?」
  マーク「・・・え・・・?」
  ローラ「どちらかが私の為に、自分の命を犠牲にしてくれるんで
      しょう・・・?(微笑む。)」
  エドワード「・・・ローラ・・・」
  ローラ「花を咲かせ・・・私を生き返らせてくれたマークかしら・・・
      ?それとも身寄りがなく、いなくなっても誰も悲しむ者がい
      ないエド・・・?どとらでもいいのよ、私は・・・」
  エドワード「ローラ・・・君は・・・君は・・・」
  マーク「・・・ローラ・・・」
  ローラ「・・・エド・・・?(夢から覚めたように。)マークも・・・2人共
      どうしたの?こんなところで・・・(2人の様子を見て不思議
      そうに。)なぁに?2人揃って深刻な顔しちゃって・・・。喧嘩
      でもしたの?」
  マーク「・・・ローラ・・・君は・・・」
  ローラ「ええ・・・」
  エドワード「何ともないのか・・・?」
  ローラ「なによ!変な言い方。(笑う。)何ともないに決まってるじ
      ゃない!やっと仕事が終わって・・・あら・・・私・・・一体今
      まで・・・確か家へ帰ろうとして、署を出たところまでは覚え
      てるんだけど・・・なんだか最近変ね・・・私・・・時々、頭が
      ボーッとして・・・何だか自分が自分でないようで・・・」
  エドワード「ローラ・・・」
  マーク「・・・僕が家まで送るよ・・・もう暗くなってきたし・・・」
  ローラ「ありがとう・・・でも大丈夫よ!」
  エドワード「ローラ・・・今日はマークに送ってもらった方がいい・・・
         」
  ローラ「エド・・・そうね・・・じゃあそうする・・・」
  マーク「・・・行こうか・・・」
  ローラ「ええ・・・おやすみなさい、エド!」
  エドワード「・・・おやすみ・・・ローラ・・・」  
                  
         マーク、ローラをエスコートするように、
         2人下手へ去る。
         エドワード、暫く2人が出て行った方を
         見詰めている。
         音楽ながれ、エドワード歌う。

         “たとえば・・・命よりも大切な
         者を守る為だとしても・・・
         人の道に・・・背いていい筈は
         ないと思って生きて来た・・・
         だけど・・・
         愛しいその微笑みを前にすると・・・
         たとえ神への冒涜だとしても・・・
         犯した罪の重さに
         心が押し潰されそうになっても・・・
         おまえのとった行動が・・・
         今は理解できる・・・”

  エドワード「マーク・・・おまえがどんな思いでその花を手にした
         か・・・俺には分かる気がする・・・。けど・・・それを認
         めることは出来ないんだ・・・絶対に・・・。たとえ天地
         が引っ繰り返ろうと・・・人の生死を人の手で左右す
         ることなど・・・あってはならないんだ・・・決して・・・」

         エドワード、上手へ行こうとする。と、上手より
         一人の杖をついた老婆、頭の上からすっぽり
         頭巾を被り、曲がった腰に手をやりながら、
         ゆっくり登場。
         上手方より来たエドワードとぶつかり、蹌踉めく。

  老婆「おっとっと・・・」
  エドワード「あ!すみません、お婆さん!」
  老婆「いいや、何・・・わしの方こそ、前をちゃんと見とらんかった
     もんで、すまんの、青年・・・」
  エドワード「いえ・・・」
  老婆「・・・それじゃ・・・」
  エドワード「気をつけて・・・」

         老婆、ヨロヨロとゆっくり歩を進める。
         エドワード、老婆のことが気になる様子で
         立ち止まり、振り返り見詰める。

  エドワード「あの・・・お婆さん!(老婆へ駆け寄る。)」
  老婆「(立ち止まり。)なんじゃ・・・?」
  エドワード「あの・・・もしかしてあなたは・・・表通りの抜け道で、
         占いをしていたりしませんか・・・?」
  老婆「いかにも・・・わしは占い師じゃが・・・」
  エドワード「矢っ張り・・・」








     ――――― “エドワード”4へつづく ―――――










   

    2月18日(月)

    今日はこれから、新作の歌レッスンです(^O^)
    台詞練習はあっても、歌は毎回、メンバー其々の
    独学だった為、ある程度不味いところは目を瞑って
    きた部分があったのですが、今回は初めてレッスン
    して頂ける・・・と、言うことで、今までの不味い部分
    を克服するべく、頑張って参ります(^_^;)

    今日は、帰りが遅くなると思って、先に更新しに
    やって来ました(^-^)V

    それでは「いってきま~す♪」



                             どら。