〈 主な登場人物 〉
エドワード(エド) ・・・ 本編の主人公。警察官。
ローラ ・・・ エドの同僚。
マーク ・・・ エドの相棒。ローラに想いを寄せる。
悪魔(デビル)
ナナ ・・・ 孤児の少女。
ペリー
占いの老婆
その他
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――――― 第 1 場 ―――――
静かな音楽流れ、舞台明るくなる。
(カーテン前。)
中央、泣いている少年(エドワード。)、
座り込んで何かを埋めているよう。
エドワード(少年)「さようなら・・・さようなら・・・僕の可愛がって
いたウサギさん・・・」
そこへ上手より、エドワードの様子を見て
いたように、デビル登場し、ゆっくり
エドワードの側へ。エドワードを見下ろす。
エドワード「(デビルに気付き、鼻をすする。)・・・誰・・・?」
デビル「(少し驚いたように。)・・・俺のことが見えるのか・・・?」
エドワード「・・・(頷く。)」
デビル「・・・へぇ・・・なら、いいことを教えてやろう・・・」
エドワード「・・・いいこと・・・?」
デビル「そう言うことは、無駄な労力だ・・・」
エドワード「・・・労力・・・?」
デビル「やるだけ無駄だ・・・と言っているんだ・・・」
エドワード「・・・どうして?昨日まで可愛がって、一緒に仲良く暮
らしてたウサギさんが、今朝起きてみると・・・(耐え
切れなくなったように、しゃくり上げる。)」
デビル「・・・土に埋めれば生き返るのか・・・?」
エドワード「違うよ!(立ち上がる。)お空に昇って、天使様の国
へ行って、幸せに暮らすことが出来るんだ!だから
僕の父さんと母さんも、僕が小さい頃、天国へ行った
けど、今はそこで幸せに暮らしてるって・・・!だから
僕、父さんと母さんに会えなくても我慢するんだ!!
」
デビル「・・・そんな国なんかあるものか・・・」
エドワード「嘘だ・・・お空の上にちゃんとあるよ!!」
デビル「ないね・・・」
エドワード「どうしてそんな嘘を吐くの・・・!?あるって院長先生
が・・・」
デビル「院長先生・・・?」
エドワード「院長先生は本当の母さんみたいに優しいんだ・・・!
嘘なんか吐かないよ・・・!」
デビル「院長先生はそこへ行ったことがあるのか・・・?」
エドワード「・・・ないよ・・・。そこは死んだ者しか行けないんだ・・・
」
デビル「・・・じゃあ嘘かも知れない・・・」
エドワード「・・・でも・・・」
デビル「見たこともないくせに、嘘を言ってるんだ・・・」
エドワード「そんな・・・。・・・じゃあ・・・死んだらどうなるの・・・?
あなたは知ってると言うの・・・?今、生きてるあなた
が知ってるの!?」
デビル「・・・知りたいか・・・?」
エドワード「・・・うん・・・」
デビル「・・・おまえが自分で確かめればいいんだ・・・」
エドワード「・・・どうやって・・・?」
デビル「(ニヤリと微笑む。)・・・死んで・・・」
エドワード「・・・死んで・・・?」
エドワード、恐ろし気にデビルを見詰め、
後退りしながらゆっくり下手方へ。
その時、下手方からエドワードの名を呼ぶ
声が聞こえる。
声「エド!!エドワード!!どこにいるの!?」
エドワード「(振り返り、下手方を見る。)院長先生・・・」
声「エド!!」
デビル「死ねばおまえにも分かるだろう・・・?(声を上げて笑う。
)」
エドワード、下手へ走り去る。
デビルの笑い声残して暗転。
――――― 第 2 場 ―――――
音楽流れ、明るくなる。(カーテン前。)
舞台中央、一人の青年(エドワード。)
座り込んで何かを埋めているように。
ひとしきり済むと、立ち上がり歌う。
“たとえば未来が人生の・・・
行き着く先に幸せと
願いは儚く永遠に・・・
今を心に刻みたい・・・
別れは過去の終着と・・・
歩いた果ての結果なら
思いは求めた結論と・・・
認め素直に受け入れたい・・・”
エドワード「(下を見て。)・・・天国で幸せに暮らせよ・・・」
その時、下手より一人の少女(ナナ。)
走りながら登場。
ナナ「エドワードお兄ちゃん!」
エドワード「(ナナを認め。)ナナ・・・ほら、ちゃんと埋めてやった
ぞ。おまえも手を合わせろ。」
ナナ「・・・うん・・・(しゃがみこんで手を合わせ祈る。)・・・これで
金魚さんは天国へ行ける?」
エドワード「ああ・・・」
ナナ「・・・よかった・・・死んだら皆・・・天国へ行くのよね?それで
そこで幸せに暮らすのよね?私のパパやママも、そこにい
るんでしょ?」
エドワード「ああ、いるさ・・・。きっとそこで幸せに暮らしてるんだ
・・・。だからそんな顔するな・・・。」
ナナ「・・・うん・・・」
2人、下手へ去る。
――――― 第 3 場 ―――――
サイレンの音が響き渡る。
アナウンス「緊急指令!緊急指令!事件発生!!事件発生!
!直ちに出動して下さい!!」
明るい音楽流れ、カーテン開く。
と、警察署内の様子。
ポーズを取った警官達、歌い踊る。
“大変だ!!
街が我等を呼んでいる
大変だ!!
治安維持が我等の仕事
誰もが住みよい街づくり
さぁ出動命令だ
今日も元気に飛び出そう!!”
警官達、其々椅子の上の上着を取り、
慌てた様子で下手へ走り去る。
ローラ、マーク、出掛ける支度をしながら。
ローラ「エドは?」
マーク「さぁ・・・」
ローラ「一体こんな緊急時に、どこ行ったのかしら?」
マーク「またその辺で、くだらない事件でも追いかけてるんじゃ
ないかな・・・。彼はいつも単独で行動し過ぎるので困る
よ、全く・・・」
ローラ「そうね・・・。エドとコンビのあなたにとっては、いい迷惑
よね。(クスッと笑う。)でもあんな風だけど、犯人の検挙
率がいいのは、エドの特技よね。」
マーク「(独り言のように。)だから余計に腹が立つんだ・・・」
ローラ「え?」
マーク「いや・・・」
ローラ「まぁいいわ。エドのことは放っておいて行きましょう!待
ってたって、あの鉄砲玉はちょっとやそっとで見つかりっ
こないもの。」
ローラ、マーク、下手へ行きかける。と、
下手より男を捕まえてエドワード登場。
エドワード「誰が鉄砲玉だって?」
ローラ「あら、エド・・・」
マーク「出動命令だ。自分勝手な行動は謹んでもらいたいな・・・
。いざという時のこっちの身にもなってくれ。」
エドワード「出動命令は取り消しだ!宝石店強盗なら、ほら・・・
(連れていた男を、2人の方へ突き出すように。)」
ローラ「・・・犯人・・・?」
エドワード「たまたま通り掛かったんだよ。警察へ通報した時に
は既にお縄になってた・・・ってことだ。」
ローラ「へぇ・・・あなたの鉄砲玉的行動は、行ったっきりじゃなく
て、ちゃんと成果を上げて戻って来るから、不思議よね。」
エドワード「どう言う意味だよ。」
マーク「いつもいつもオマケが付いてくると思ったら大間違いだ。
ここにはここの規則って言うものがあるんだ。それを頭に
入れておいてもらわないと、我々は至極迷惑だ。」
エドワード「(ローラに。)迷惑だったか?」
ローラ「(肩を窄めて。)そうねぇ・・・私はさて置き、少なくともマ
ークは確かに迷惑かもね。単独行動はいけないもの。あ
なたのそれは、マークの足かせになってることは確かよ
。その辺は素直に認めないとね?」
エドワード「はいはい・・・悪かったな、マーク!(連れていた男
に。)さぁ行くぞ!取調室。」
エドワード、男を連れて上手へ去る。
マーク「全く・・・彼には警官としての自覚がないのか・・・。善悪
を判断をする能力に欠けている・・・としか思えない。」
ローラ「・・・そうかしら・・・確かに少し自分勝手ではあるけれど
。」
マーク「・・・少し?」
ローラ「・・・大分ね・・・。でもそれは善悪を判断する能力に欠け
ているんじゃなくて、善悪が分かりすぎるから・・・正義感
が強すぎるのね、きっと・・・。彼にとって、この仕事・・・天
職だと思わない?」
マーク「さぁ・・・僕にはそうは思えないけど・・・。危険が大き過ぎ
る・・・」
ローラ「・・・そうね・・・」
マーク「僕は彼といると・・・その内とんでもないことに巻き込まれ
るような気がして仕方ないんだ・・・」
ローラ「・・・でも・・・私なら彼を信じて付いて行く・・・」
マーク「・・・え?」
ローラ「なんでもない!なんでも・・・(上手方を見詰める。)」
マーク「ローラ・・・君は・・・(ローラを見詰める。)」
音楽でカーテン閉まる。
――――― 第 4 場 ―――――
カーテン前。
上手より一人の男(ペリー。)、息を切らせ
走りながら登場。
後ろを気にしていると、上手より黒いスーツ
姿の男、ペリーを追い掛けるように登場。
中央、躓いて転んだペリーを捕まえる。
男「さぁ!!この間貸した1万ドル、今日こそは耳を揃えて返し
てもらわねぇと、てめぇの命の保証はないぜ!!」
ペリー「そ・・・そんな・・・俺・・・1万ドルも借りてないです・・・!!
ほ・・・ホントです!!俺が借りたのは・・・」
男「煩い!!てめぇは“利息”ってもんを知らねぇのか!?」
ペリー「で・・・でも・・・いくら利息がついたから・・・って・・・そんな
大金・・・急に・・・」
男「(ペリーの襟首を締め上げるように掴む。)」
ペリー「く・・・苦しい・・・」
男「俺はこのままおまえを昇天させても構わねぇって、ボスに言
われてんだぜ!!」
ペリー「ま・・・待って下さい・・・待って下さい・・・!た・・・助けて
下さい・・・」
男「じゃあ今直ぐ、金を返してもらおうか!!」
ペリー「ま・・・待って下さい・・・今直ぐなんて無理です・・・もう一
日・・・もう一日だけ・・・今日中にはなんとかします・・・だ
から・・・」
男「今日中になんとかする・・・?」
ペリー「・・・はい・・・だから・・・」
男「(手を離す。)てめぇ、冗談じゃないだろうな・・・?」
ペリー「・・・はい・・・」
男「今日中に1万ドル、耳揃えて持って来ねぇと、本当にてめぇ
には明日と言う日はないと思っとけ!!」
ペリー「わ・・・分かってます・・・」
男「どこに隠れても、外国にトンズラしても、組織の者が絶対に
逃さねぇ!!分かってるな!!」
ペリー「(頷く。)」
男「・・・まぁ、いいだろ・・・じゃあ今日だけ待ってやる。」
ペリー「は・・・はい・・・」
男「精々、ない知恵絞って金を用意するんだな。でなきゃ明日の
朝は、冷たい海の中だ。(笑う。)」
男、笑いながら上手へ去る。
ペリー、男が去るのを見計らって、気が
抜けたように、その場に座り込む。
ペリー「(呆然と。)・・・どうしたらいいんだ・・・そんな1万ドルなん
て大金・・・その日暮らしの俺に・・・そんな金・・・でも、なん
としても用意しないと俺の命は・・・あいつらのことだ、どこ
に隠れてもきっと探し出してズドン・・・だ・・・。い・・・嫌だ
・・・まだ死にたくないよ・・・でも、どうしたら・・・」
その時、カーテン間よりデビル登場。
座り込んでいるペリーの耳元で囁くように。
(ペリーにはデビルの姿は見えない。)
音楽流れる。
デビル「・・・金なら・・・あるところに行けば、有り余る程ある・・・」
ペリー「・・・どこか金のあるところ・・・」
デビル「1万ドルなんて端た金・・・直ぐに用意できるところがな
・・・」
ペリー「1万ドルくらい・・・直ぐに手に入るところ・・・」
デビル「ちょっと拝借すればいい・・・」
ペリー「・・・銀行強盗・・・!?」
デビル「いい考えだ・・・」
ペリー「・・・だ・・・駄目だ・・・そんな大それたこと・・・金が手に入
っても直ぐに監獄行きだ・・・」
デビル「だが金を用意できなけりゃ、おまえの命は今日限り・・・」
ペリー「だけど金がなきゃ殺される・・・」
デビル、歌う。
“命と名誉と尊厳と・・・
何も迷うことはない
正しい心は神のみぞ知る・・・”
ペリー、立ち上がり歌う。
“命と正負と決断と・・・
迷えば明日なない
道を誤った答えは分からない・・・”
デビル、歌う。
“さぁ 心は決まった
選ぶ余地はない
答えは一つ・・・”
デビル、ペリーの背後から銃を差し出す。
ペリー「(銃を手に取り見詰める。)・・・もう・・・これしか方法がな
いんだ・・・神様だって許してくれるさ・・・」
暗転。
――――― “エドワード”2へつづく ―――――
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(どら余談^^;ちょっと近況です・・・)
最近、編集作業が楽しくて、今まで以上にパソコンの前に
座っている時間が、増えたような気がします(^_^;)
ここ数日、色んな出会いや情報提供があり、“リトルパイン”
またまた1歩前進・・・と言った具合の今日この頃でありま
す(^-^)V