結婚の時、母から、素敵な包丁を持たされた。
「濃州正宗作」と銘打った三元刃だ。
この包丁1本で、和洋中、何でも使える。
特に、野菜に関しては、切れ味もよく、キャベツの千切りなど、自分でも、ほれぼれするほどの出来だ。
この50数年、専門家に研ぎに出したのは、数えるほど。
たいていは、実家の父に頼っていた。
バスタオルに巻いて、中央線を西から東へ。
何往復、したことだろう…。
(もし、警察官に、見とがめられたら、銃刀法違反でお縄になっちゃう…)
父が亡くなって、17年目の夏を迎えた。
今では、主人に頼んだり、自分で研いだりしてるけれど、いまいち、切れが悪い。
今朝も、父譲りの砥石で丁寧に研いだけれど、なんか、物足りない。
駅前の金物店で相談してこようか…。
が、お他人様に、マイ包丁を見せるのに、なぜか、戸惑いを覚えている。
どうしよう…。