いけいけドンドンの拡大主義で猛進するヤマダ電機とは対照的に,自らの身の程,身の丈を意識し,無理することなく堅実経営を貫き,地道に存在地位を高めている企業の筆頭に,家電の「ケーズホールディングス」があげられます。 ライバルの大型店都心進出や取扱品の拡大,さらに海外進出で派手な話題を振りまいているのに対して,ケーズは郊外での大型家電店との姿勢を貫いています。
とはいっても,業績維持のためには,絶えざる刷新(イノベーション)で,お客をひきつけ,離さない工夫が必要です。百貨店や総合スーパーの業績停滞の原因の一つとして,成功体験にすがるあまり刷新を怠り,売場は活気を失い,マンネリ化,硬直化へと悪循環に陥いったことがあげられます。
そこで,①「今」を読みとり,新潮流やライバルの動きを把握し対応を練る②市場動向から「次代」に向けての兆候を察知し,変化に備える,③過去の出来事を見つめ直し,歴史や先人の知恵を手本に,新たな戦略形成に向けての変革のヒントを得る,といった三つの観点が,マンネリ化や硬直化を防ぐカギとなります。(出典「身の丈」を強みとする経営 p28)
エコポイント終了に伴う売り上げの落ち込みを補う狙いもあり,家電量販大手は相次いでネット通販を強化しています。ケーズもインターネット通販を計画し2012年3月期のネット売上高は100億円と前期実績見込み比3倍強を目標としています。
同社の加藤会長は,「消費者は一定のサイクルで金を使い続ける」との持論のもと,海外に目もくれず国内市場の掘り起こしに傾注するケーズの堅実路線は,自粛ムード溢れる時勢にあって一層際立つであリましょう。
⇒ 関連HP ⇒ エリアマーケティング
⇒ 関連HP ⇒ 県民性-風土記
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▼>「がんばらない」経営 不況下でも増収増益を続けるケーズデンキの秘密」 立石泰則著
このデフレ不況の時代に,安売り激戦地の家庭量販業界で,なんと毎年増収増益を続ける会社がある。しかもその秘訣は「がんばらない=無理をしない」ことだという。定時退社に週休2日。数値目標で縛らない。従業員が安心して長く勤められる環境づくり,会社が従業員を守り,従業員が会社を支える…理想論としか思えないその経営手法で,実際に「創業以来62年連続の増収,2回をのぞいてすべて増益」という実績を生んでいるのだ。従来の経営の「常識」をひっくりかえす,しかし実はきわめて真っ当なその経営哲学のすべてを紹介する。
「がんばらない」経営 不況下でも増収増益を続けるケーズデンキの秘密 | |
立石泰則 | |
草思社 |
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『 「身の丈」を強みとする経営』(日 本経済新聞出版社刊)。本書は,性急な業容拡大は弊害が多いとして,堅実な発展を目指して,自らの分を知り,ライバルの動きに惑わされることなく,マイ ペースを貫きながら存在感を発揮するという経営姿勢を貫く経営姿勢を「身の丈経営」とし,縮小の時代の小売業経営のあり方を考察しています。
セブン-イレブンに関しては,第2章「独自性を元に絶えざるイノベーションで客層を拡大」,第3章「業種・業態の垣根が融け融合の時代へ」などで取り上げています。
「身の丈」を強みとする経営―縮小の時代に勝つ「新リージョナルマーケティング」 |
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小林 隆一 | |
日本経済新聞出版社 |