リンガーハット,統合協議白紙 ラーメン店運営ハチバンと
長崎ちゃんぽん店などを全国展開するリンガーハットと、北陸地方を中心にラーメン店「8番らーめん」を運営するハチバン(金沢市)は,2014年2月に資本・業務提携を締結していたが,3月18日,店舗展開の形態が異なることなどから、当初期待していた相乗効果が得られないと判断したとして,資本・業務提携を解消すると発表した。
リンガーハットはハチバン株を9・51%持つ筆頭株主ある。また,ハチバンはリンガーハット株を2・32%を保有する。両社は保有株式の取り扱いについて「それぞれの判断に委ねる」としている。
2015年 8月中間決算 3年連続の増収増益
リンガーハット(長崎市)の2015年8月中間決算は,国産野菜を使ったちゃんぽんなどの好調に加え,新規出店や値上げ効果もあって中間期としては3年連続の増収増益で,純利益も2年ぶりに伸ばした。
◆連結ベース 単位は100万円,( )内は前年同期比増減率%
・売上高 20,185(8・9)
・経常利益 1,180(80・0)
・純利益 661(5・5倍)
◆リンガーハット 業績の推移
source:リンガーハットHPより
リンガーハット復調のキーポイントは,「安さから」から「安心・安全」へ,さらに「ボリューム重視」から「健康志向」へという,外食に関する時代の流れを敏感に読み取り,業界他社に先がけ,「国産野菜100%採用」に踏み切ったことにある。これはまた,世の中の変化への鮮やかに対応しほかならない。
●国産野菜調達への挑戦
リンガーハットはかつて,ちゃんぽんに使っていた野菜7品目のうち,国産はキャベツ(全量契約栽培)とモヤシ(自社栽培)のみであった。後の5品目は中国産の野菜を現地で冷凍加工したものを輸入していた。
2009年,米濱会長兼社長の厳命を受け,キャベツ,モヤシ,ニンジン,コーン,タマネギ,青ネギ,オランダサヤエンドウの7品目をちゃんぽんの定番野菜に決め,これら国産野菜の通年調達に取り組んだ。
米濱氏はその時の心境を「日経レストラン」(日経BP社/2010年3月4日号)で次のように語っている。
「兄たちと始 めたこの商売がどうしてここまで大きくなったのかと考えたら話は簡単。新鮮な国産野菜のみを使い,とにかく『おいしい』ちゃんぽんをお客様に提供してきた からだ。だったら,もう1回原点に戻ればよい。もちろんコストや調達など不安要素を数えたらキリがない。だから,『ごちゃごちゃ言っていないで,とにかく やれ』と役員たちの反対を押し切った」。
国産野菜ブームの追い風に乗る
リンガーハットは,2009年2月期は,24億円の大幅な最終赤字を出し無配転落。現在はというと,2015年1月までのリンガーハット既存店 売上高は7カ月連続で前年比プラス。グループのとんかつ専門店「浜勝」を含めて,2015年2月期の連結決算は,2003年2月期以来の12年ぶりの営業 利益20億円(前期は17.7億円)超が見込まれている。(会社予想の売上高計画は 前期比2%増の370億円)。
リンガーハット復調の起爆剤は,国産野菜人気である。メインメニューである「野菜たっぷりちゃんぽ ん」の国産野菜480グラム使用に示されるるように,2009年からリンガーハット全店で使用している野菜をすべて国産に切り替え「健康,安全,安心」を アピールするとともに, 『野菜たっぷりちゃんぽん』の販売開始。さらに,毎月,2日間,「野菜の日」を設けて,当日限定の野菜たっぷり特別メニューを提供するという力の入れよう である。
こうした取り組みが,功を奏した。海外産の野菜と比べて信頼がある国産を使っていることが,健康志向の強い消費者に受け入れられ,女性客へのアピールにもなっている。
リンガーハットの復調は,「安さ」や「ボリューム」重視から,「安心・安全」そして「健康志向」へとの時代の流れの証明,さらには外食業界における新たなトレンドの予兆を感じさせる。
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リンガーハット
◆ リンガーハットジャパン株式会社
本店所在地: 長崎県長崎市鍛冶屋町6番50号
設立: 2006年9月1日
代表取締役社長:前田 泰司
資本金: 1億円
事業の内容 「長崎ちゃんぽん」の専門店としての飲食店の運営
◆ 株式会社リンガーハット
本社: 東京都品川区大崎1-6-1TOC大崎ビル14F
⇒⇒ 3分で分かる!リンガーハット ⇒ http://www.ringerhut.co.jp/three_minutes/
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