九州の食品卸ヤマエ久野・1 「コロナ禍なんのその1-売上高6000億円を目指す」
参考:「激流」2020年8月号
ヤマエ久野にとって2020年は正念場の年となりそうである。創立70周年を迎え,新たな中期三カ年経営計画がスタート。さらに全国区に向け,今年3月には東証一部への上場を果たした。一方で新型コロナウイルスの影響で,業績の先行きは不透明である。
20年3月期は,3月にコロナの影響でわずかにマイナス要因が生じたものの,売上高は5221億円(前期比106.8%),経常利益は50億円(前期比127.2%)と,増収増益を果たした。
業績に貢献したのはM&Aで,19年3月に子会社化した栃木の木材製造販売会社ハイビックが売り上げ,利益ともに貢献した。また東京支社も順調に売り上げを伸ばした。子会社で関東の業務用卸みのりHD,TATSUMIも売り上げを順調に伸ばした。
これにより目標売上高5000億円は達成。そのうちの4割を本拠地の九州以外であげるという計画も,関東の売り上げ拡大により達成できた。
>>>新中期経営計画「NEW STAGE2022」
今期からスタートした新中計「NEW STAGE2022」では,3年後の22年度に売上高6000億円,経常利益72億円(経常利益率1.2%)を目標とする。
基本方針は「『クオリティ』と『ビッグ』を両立させ,新たなスデ-ジヘと進化する」。その実現に向けての戦略としては,物流,新規事業,M&A,エリアの四本柱。
◇物流
物流ではAIをはじめとした先端技術の活用による次世代物流モデルを追求する。その事例となるのが,314億円を投じて今年10月に稼働の熊本物流センターである。
これまで熊本県内に分散していた5つの営業拠点やセンターを集約させるもので,敷地面積4万2000坪,延床面積2万2000坪の広大なセンターである。ここに,無人搬送機(AGV),自動倉庫,マルチピッキングカート,垂直搬送機(バーチレーター),電子棚札,移動ラック式ピッキングシステムといった先端技術を導入する。ここで得たノウハウのうち,水平展開できるものは既存センターへの導入を目論んでいる。
◇なぜ新規事業か
また中計期間中に新規事業の立ち上げを計画している。これまでの「食」(食品関連,糖粉・飼料畜産関連事業)と「住」(住宅・不動産関連事業)の二本柱に加え, これらに次ぐ第三の柱を模索しており,今年四月には新規事業推進に向けた専門チームも設置。目下,新規事業分野の探索,洗い出し段階にあるという。
新規事業開拓の理由は,今後の成長を考える上で,既存事業だけでは限界があると見ているからという。人口が減れば,当然食品全体のパイも減る。「そのパイを取りに行くことはするが,それでも限度がある。中計の間に,明確なものを出していきたい」とする。
◇M&A
とはいえ,売上高6000億円の実現には,既存事業のさらなる拡大が不可欠である。加えてこれまで続けてきたM&Aも継続していく方針だ。M&Aは水平・垂直統合のみならず,新規事業分野への進出も加速させる。
◇エリア戦略
エリア戦略では,地盤とするの九州市場の堅守,その上で九州外のエリアでの基盤の確立を図る考えである。
⇒⇒ ヤマエ久野 2020年3月期決算および中期経営計画説明会 ⇒
https://www.irmovie.jp/nir2/?conts=yamaehisano_202006_Dc8i
商号 | ヤマエ久野株式会社 |
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本社 | 〒812-8548 福岡市博多区博多駅東2丁目13番34号エコービル |
設立年月日 | 1950年(昭和25年)4月27日 |
代表取締役 | 会長CEO 網田 日出人(おうだ ひでと) 社長COO 大森 礼仁(おおもり ひろと) |
資本金 | 2,974,593,692円 |
従業員数 (2020年3月31日現在) |
1,141名(単体) 3,562名(連結) |
事業所数 | 27カ所 |
主な事業内容 | 当企業グループは、当社、子会社26社および持分法適用関連会社1社で構成され、主に一般加工食品・冷凍食品・小麦粉・酒類等を仕入れ並びに農産物の加工・弁当惣菜の製造を行い、コンビニエンスストア・量販店等に販売するとともに同商品の共同配送作業と住宅資材・木材加工及び製品を建材・木材店に販売する卸売業であります。 |
上場取引所 | 東京証券取引所 市場第一部、福岡証券取引所 |
>>>ヤマエ久野 ブログ記事-アーカイブス
・九州の食品卸のヤマエ久野-着々と関東,関西市場を開拓-その2 2019-08-27
・九州の食品卸のヤマエ久野-着々と関東,関西市場を開拓-その1 2019-08-13
・快進撃 総合卸のヤマエ久野-1 2018-08-18
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