右往曲折の末,天文館に来年5月オープン予定の複合型映画館(シネコン)の名前が「天文館シネマパラダイス」と決まったとのことです。この映画館は天文館周辺の事業者らで作る株式会社「天文館」が15億9000万円をかけシネコンを建設するものです。7つのスクリーンやテナントが入る地上6階建で床面積は6200平方メートル,座席数は820席。 来年3月の完成、5月1日のオープンを目指す,と発表されています。
今回のテーマ「天文館の持続的発展を考える」にあたり,学生には,「天文館にシネマ劇場映画館新設には反対」である。天文館発展の方策は,鹿児島市の中心市街地活性化基本計画にある,中央駅・天文館・ウォーターフロントの3つの拠点の回遊性向上により市街地活性化に取り組むべき,との私の考え方を授業冒頭で明確に伝えました。
反対とする理由・根拠としては次の4点をあげました。
1 鹿児島市内には既に、与次郎ヶ浜と中央駅に映画館があり,地域ニーズを満たしている。
2 シネコンの最大手、TOHOシネマズ(東京・千代田)は,人ロ40万~50万人以上の都市での1劇場が採算ラインと見ている。鹿児島市の場合は,人口規模からして共倒れの恐れがある。
3 日本映画製作者連盟によると,2010年の入場者数は,約1億7400万人でと09年比3%増えたが、01年以降は頭打ち傾向にあり,入場者数および入場料金とも大幅増は見込めない。
4 鹿児島県全体として,人口減少傾向にある。加えて高齢化の進行は著しい。したがって,シネマ劇場での大幅な顧客吸引,さらには天文館への来街促進は不可能である。
なお,学生に強調した点は,「これはあくまで私の考え方である。100%正しいと言いきれるものではない。異論,反論,大いに結構。またそれを望む」という点です。私の目論見は,この授業を通じて問題発見,問題解決能力につながる構想力と分析力を養ってもらいたいということです。その方法として,「天文館にシネマ劇場映画館新設タイムリーな話題」を設定したわけです。
学生のレポートを紹介します。
▼3年生k君
小林先生の授業は,最初に先生が自分の主張を延べ,その後で「なぜ,そう言えるか」といった根拠を説明していくという進め方でした。しかも,考えてもしないような主張をしていたので,興味・関心が湧いてしっかり聞くことができました。
▼3年生L君
人とは違う視点で,モノゴトを考える先生で,ちょっと理解,共感することができないところもありましたが,正しいものには正しい,違うものは違うなど,はっきり述べられるところがすごいと思いました。
▼4年D君
久しぶりに本音を言う授業を受けました。聞き流せば,タダの野次ですが,よくよく考えて聞くと「マーケティング」の考え方があってこその発言であり,なかなか今までの自分の中でありえなかった発想に出会うことができました。そういった意味でもこの授業をうけて実によかったと思います。
出典:日本映画製作者連盟(http://www.eiren.org/)
⇒⇒参考ブログ:「シネコン市場の現状分析」
国内の映画興行収入,シネコン市場に関しては,「シネコン市場の現状分析」に書き込みました。参照ください。
▼ブログ-バックナンバー
・カゴシマ天文館 ◆「マルヤガーデンズ」は,戦略的赤字施設?
http://blog.goo.ne.jp/rk_kobayashi/e/156e64128a1aeafd3743e5a165cac343
・集中講義を終えてーマーケティング論・9-天文館3
http://blog.goo.ne.jp/rk_kobayashi/e/e780bcfe589a75201a228bfcd9bb0b38
・集中講義を終えてーマーケティング論・8-天文館2
http://blog.goo.ne.jp/rk_kobayashi/e/e000314d88450027b57eb59b02b07a62
・集中講義を終えてーマーケティング論・7-タウンウォッチング天文館
http://blog.goo.ne.jp/rk_kobayashi/e/7b4c1a2fddf7e5aa7c912f63fc84fd9b
◆関連HP マーケティング&マニュアルゼミー |
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