タイヨー 全店に新型セルフレジ
出典:日経MJ 2016-1-22
鹿児島,宮崎両県を地盤とするスーパーのタイヨー(鹿児島市)は来年2月末をメドに全93店に新型セルフレジを導入する。買い物代金支払時の客の待ち時間を短くし店舗の競争力を底上げする。来春の消費税率引き上げに伴う軽減税率導入にも対応する。
2013年のMBO(経営陣が参加する買収)を機に力を入れている収益力向上にも役立て,経営基盤を強固にする。地方スーパーが100近い店で新型セルフレジを1年足らずのうちに導入する例は珍しい。
新型セルフレジは商品のバーコード読み取り機と買い物代金の精算機が別になっているタイプ。客が自分ですべての会計作業をするタイプ(フルセルフレジ)と区別して「セミセルフレジ」と呼ぶ。タイヨーは寺岡精工(東京・大田)のPOS(販売時点情報管理)システムを採用。読み取り機2台につき精算機3台を組み合わせて使う予定で,合計で約920台を導入する。
セミセルフレジは作業に慣れた店員がバーコードを読み取り,精算は来店客自身でする仕組み。タイヨーは1時間あたりレジ通過客数が従来の1・5倍に増え,従業員がレジ作業にあたる時間を3割前後減らせると見込んでいる。人的な余裕を生かして接客や独自商品開発などを強化し,店舗競争力を底上げする。
今年5~7月に地域や店舗規模に応じた運用検証に取り組み,9月から本格導入する。17年2月未までに全店に配備する。タイヨーはフルセルフレジを利用しておらず,導入予定もないが,セミセルフレジは利用客に受け入れられるとみている。設備導入費は現在のレジメーカーの製品を更新する場合より安いといい,自己資金で賄う。
清川和彦社長は「経費を抑える半面,売上高や利益を大きく伸ばす経営を着実に実行中だ。セミセルフレジ導入をより強い会社づくりにつなげたい」と話している。
*寺岡精工のセミセルフレジ(寺岡のウエブサイトより)
>>>タイヨーの経営考課 - 出典「激流」2015-8-p67
売上高 1240億4700万円 伸び率 ▲2.5
経常利益 3387万円 伸び率 31.6
一昨年のMBO後,社内改革を断行。今年4月には取締役を執行役員に降格し,社長夫人が副社長に就任。社内に不満が噴出。業態を問わず熾烈な競争が続く中では,出店なしでの業績拡大は困難。根本的なMDの見直しが必要。土日営業の「土日サンキュー店」は今のところ好調。
社 名 | 株式会社 タイヨー |
代 表 者 | 代表取締役社長 清川 和彦 |
本部所在地 | 鹿児島市南栄 3丁目14番地 |
創 業 | 昭和35年11月26日 |
業 務 内 容 | 総合小売業、生鮮食品・一般食品・日用雑貨・衣料品・住居関連商品・酒類等販売 |
資 本 金 | 1億円(平成27年2月末) |
売 上 高 | 1,240億円(平成27年2月末) |
店 舗 数 | 92店舗 |
従 業 員 数 | 7,687名(社員1,279名、嘱託396名、準社員4,455名、アルバイト1,557名(平成27年2月) |
労 働 組 合 | UAゼンセン・全タイヨー労働組合 |
関 連 会 社 | サン食品(株)・太陽サービス(有) |
主要取引銀行 | 三井住友銀行・西日本シティ銀行・鹿児島銀行 |
鹿児島県を中心に宮崎,熊本県に出店する地域スーパー・タイヨーの動向が注目される。同社は,2013年7月、経営陣による株式買収、いわゆるMBOで大証二部 及び福証の上場廃止に踏み切った。最近は,セブン&アイ・ホールディングスとの「資本業務提携」が取り沙汰されている。オーナーの清川和彦社長は,「同業 大手との資本提携や保有株式の売却は有り得ない」と断言しているという。また,三井住友銀行から155 億円の融資を受け、MBOを行った経緯からして,「身売り」はにわかには信じ難い。
では,なぜ,こんな憶測が流れたのか。問題の背景は,タイヨーのみならず九州のスーパー地域スーパーは,全国展開する大手スーパーとの競争激化か ら,軒並み減収,もしくは売上が伸び悩みにある。 加えて,人口減少と高齢化,さらには過疎化に伴う市場の縮小という,厳しい経営環境にある。
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の推計によると,鹿児島県の全45市町村の人口は,138万8852人と,2005年と較べ 20.82%減となる。県下全市町で人口は減少する見通しであり,最も減少が著しいのは南大隅町で,2005年の約半数の52.2%に落ち込むと予測している。
参考までに,これまで,このブログで取り上げてきたタイヨーの経営動向,さらには同社が地盤とする鹿児島県の商業,そして九州における流通業界の動きに関する記事の一覧を,以下にリストアップする。
┏┓
┗■ タイヨーの動向に関する記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
⇒⇒ 九州の流通業界 注目される動き・2 「M&A,タイヨー,セブンイレブン」 2014-03-05
⇒⇒ 鹿児島の食品スーパー タイヨー 「経営陣のMBO成立」・3 2013-11-03
鹿児島の食品スーパー タイヨー 「経営陣がMBO」・2 2013-10-22
鹿児島の食品スーパー タイヨー 「経営陣がMBO」・1 2013-10-20
⇒⇒ 鹿児島のネットスーパー タイヨー/ダイエーが競い合う 2013-10-20
セブン-イレブンの鹿児島進出で大苦戦のスーパー「タイヨー」・1 2013-07-04
┏┓
┗■ 鹿児島の小売業に関する記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
・知恵に長ける 宇宿商店街振興組合の取り組み・3 2013-06-06
・知恵に長ける!! 鹿児島「宇宿商店街振興組合の取り組み」・2 2013-05-15
・知恵に長ける!! 鹿児島「宇宿商店街振興組合の取り組み」・1 2013-05-13
鹿児島国際大学での集中講義を終えて ーマーケティング論・15 「A-Zスーパーセンター」④ 2011-09-20
鹿児島の誇れる企業 山形屋 3 2010-10-29 ・
鹿児島が誇れる小売業 山形屋 スーパークッキー(薩摩川内市) 1 2010-10-19 ・
マルヤガーデンズにグッドデザイン賞 - コニュニティ発想が評価される 2010-10-08 .
セブン-イレブン鹿児島出店に関連して HCコメリの動向-1 2010-10-05 .
鹿児島地盤のミドリ薬品 マツモトキヨシHDの傘下入り 2010-04-02
・鹿児島 スーパー「A-Z」社の価格調査-千葉県八千代市のスーパーと比較 3
・鹿児島 スーパー「A-Z」社の価格調査-千葉県八千代市のスーパーと比較 2
・鹿児島 スーパー「A-Z」社の価格調査-千葉県八千代市のスーパーと比較 1
・鹿児島 スーパー「A-Z」社の事例を通じての問題提起6 住みやすく暮らしやすい鹿児島づくり
・鹿児島 スーパー「A-Z」社の分析を通じての問題提起4 住みやすく暮らしやすい鹿児島づくり
・鹿児島のスーパー「A-Z」社 3 ー 県経済界への貢献・功績 大
・鹿児島県のスーパー「A-Z」社の事例分析を通じての問題提起 2
・鹿児島県のスーパー「A-Z」社の事例分析を通じての問題提起1
月刊激流 2016年 03 月号 | |
特集 イオンリテールGMS解体的改革の全貌 ■六支社の経営戦略 東北カンパニー ・少子高齢化の最前線で挑む全員参加の店作り 北関東・新潟カンパニー ・カンパニー主導のM&Aで地域密着を強力に推進 南関東カンパニー ・「なぜそうなるの」の問い掛けで都市GMSの再生に挑む ケーススタディ 「イオンスタイル板橋前野町」 ・箱型、駅前型GMSを甦らせた「イートイン」の仕掛け 東海・長野カンパニー ・店舗が自ら動き出す環境づくりを全力でやり抜く 近畿・北陸カンパニー ・店の要望はすべて聞き、地域の食文化を前面に打ち出す 中四国カンパニー ・岡山の成功手法をローカルのGMS作りに生かす ■参考資料 GMS改革の歩み、GMS事業業績推移 ◎特別レポート ・脱チェーンストア経営は業績回復の救世主か ◎地方創生の現場を歩く 【湯田中温泉『清風荘】 ・今時の外国人客が喜んだ昔風の生活スタイル 次号予告 「オムニセブン特集」 鈴木康弘CIOインタビュー、オペレーション、商品、加盟店の声 ほか |
|
国際商業出版 |
月刊激流 2016年 02 月号 | |
特集大手寡占加速流通業界2016年全予測■大手スーパー・視界不良から薄明かりが射し始めたGMSの再生 |
|
国際商業出版発行 780円 |
・
ダイヤモンド・チェーンストア 2016年2月15日号 | |
ダイヤモンド・チェーンストア2月15日号の特集は,「新しい売場のカタチ イートイン!! スーパー」です。
レストランのように、専門の飲食店を集積させたり、酒類の提供を行う企業、地域の交流拠点として、自治体や地元住民と連携したイベントの開催に積極的に取り組む企業……。小売業界で、イートインスペースを拡充する動きが顕著になってきています。 小売店舗の機能は物販だけではありません。食事から地域コミュニティの維持・活性化まで、イートインスペースが担う役割は大きくなっています。 変革期にある小売業のイートインスペース。イオンリテール、カスミ、ライフコーポ レーション、サミット、原信、平和堂、マルナカ、ミニストップ、セイコーマート、ウエルシアホールディングスの取り組みをレポートします。 |
|
ダイヤモンド・フリードマン社 1,440円 |
・