三菱重工,客船事業の損失が累計2300億円超=2隻目の年内納入困難
――今後も追加で損失が出る可能性はあるか。
宮永社長「我々が織り込める合理的な金額は全て織り込んだ。2隻目は1隻目とまったく同じ船なので,経験を生かしてコストを減らしていきたい。客船建造は 大変な状況だが,終息に向かいつつある。2隻目の引き渡し時期については客先と交渉中で,まだはっきりしていない。作業が遅れているのは事実だ。16年中 の引き渡しは難しいと考えている。今後改善策を打ち出していく」
――今回の問題の教訓は。
宮永社長「客船の契約に問題があったと感じている。我々は初めて手掛ける船を造りあげるノウハウを熟知していなかった。契約したのは最先端の技術を搭載する巨大船だったのに,昔の感覚で見積もりをしてしまった。客船事業の今後について社内の委員会を設け検討しているところだ。16年夏から秋にかけてある程度の方向性を示す」。
関連情報・三菱重工 創業の地・長崎造船所の2部門を分社化
出典:三菱重工 Press Information 2015年9月28日
出典: https://www.mhi.co.jp/finance/library/annual/pdf/annual_2013.pdf
三菱重工業 https://www.mhi.co.jp/ の造船事業をめぐっては,大型客船設計のやり直しにより,建造収支が2隻で巨額の特別損失計上もあって,同社創業の地である長崎造船所(長崎市),通称「長船(ながせん)は分社化,再編で立て直しを図る。
長崎造船所は,本工場と香焼(長崎市),幸町(以上長崎市),諫早(長崎県諫早市)−4工場で構成され,2014年4月時点での従業員は約2300 人である。造船部門の売り上げは約3割にとどまり,6割を占める火力発電設備が主体となっており,実質的には,脱「造船所」の状態にある。
三菱重工は,長船の造船事業を分社した後も雇用は維持する方針である。長崎市内では下請けなどを含め,製造業就業者の約45%に当たる1万9千人が長崎造船所と関わっていることから,同所の動向は地域経済に及ぼす影響も大きい。
●分社:造船事業を分社。液化天然ガス(LNG)運搬船などの設計・建造と、船体ブロック製造の2社に分社化。
●再編:所内4工場に分散している防衛,宇宙、エネルギー関連の生産集約に向け2017年度末までに整理。幸町工場の新たな活用法を検討する。
これらの施策により,組織のコンパクト化やコスト削減を進めることで収益の安定化,競争力強化を目指す。
>>>三菱重工船舶海洋 / 三菱重工船体
「三菱重工船舶海洋」は,長崎造船所の事業のうち,液化天然ガス(LNG)や液化石油ガス(LPG)の運搬船 の営業や建造を担う。社員数は約 500人。ガス運搬船に特化することで連続建造が可能になり,材料や人材の合理化を進める。2015年3月期決算で約750億円だったガス運搬船建造事業 の売上目標を約1000億円とする。
「三菱重工船体」は社員数約170人。同社は,長崎造船所 香焼工場の強みである大型船体ブロックの生産に特化することで,生産規模の拡大,同型ブロックの連続生産,生産合理化投資などを進める。溶接機増設などの 設備投資で生産能力を現在の 1・5倍にし,他社向けの生産割合を約半数に高める計画。ブロック製造事業の売上目標は,2015年3月期決算の約70億円から約100億円に引き上げ。
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