老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

ブチャ虐殺事件についてー雑感―

2022-07-19 20:44:37 | 戦争・平和
わたしの書いたコラム「ブチャ虐殺事件はどこにいった!」について、珠さんと猫家五六助さんが書かれているので、わたしの立場を書いておきます。
https://blog.goo.ne.jp/rojinto_goken/e/bf47950005a8e50c1fe0ae936150ba56
https://blog.goo.ne.jp/rojinto_goken/e/c377c4e0915c43526e844d11b006ac4f
https://blog.goo.ne.jp/rojinto_goken/e/0227fbd196d5d7cb01dfde2b03b6147d
(1)現代の戦争は、情報戦が主体になっている。⇒と言う事は、戦争当事国の情報は、その多くがプロパガンダを意図したものだ、と考えなければならない。
(2)ウクライナ戦争でも同じことが言える。
 米国は、ウクライナ戦争は【情報戦】が主体であると明確に語っている。
 最初に疑わなければならないのは、ウクライナでの戦争にかかわらず、流される情報の大半が米国発だという事実(なぜなのだ?)⇒しかも、これまでの戦争ではほとんど出されたことのなかった米軍の諜報機関の情報がどんどん出てきている。(なぜなのだ)⇒しかも、西側諸国のメディアがほとんど横並びにロシア批判に狂奔した事実。(西側メディアに対する米国の影響力の強さ)

わたしのウクライナ戦争論は、(1)(2)を考えながら書いています。

そこでブチャ虐殺事件についてですが、ブチャ虐殺事件が問題になった当初、わたしはロシアがやったかどうかは、分からないと書きました。大虐殺の話は、眉に唾つけて聞いておいた方が良いとも書きました。ウクライナ当局や西側メディアの報道だけでは、本当のことは分からないと考えたからです。

ブチャ虐殺事件についての疑問は、時間軸の問題です。ロシア軍が撤退したその日にはブチャの市長など市の幹部連中は、街に帰っています。もし、あれだけの大量の死体が街に放置されていたのであれば、当日に大問題になっていたはずです。それが3日ぐらい後に大虐殺だと騒がれ始めたのですから、何故なのか、という疑問がわいたのです。

もう一つ、「ブチャ虐殺事件はどこにいった!」を取り上げたのは、資料の問題です。

こういう問題を語るには、「現地調査」がなにより重要です。と同時に調査の「人選=中立性・公平性」が重要になります。

当初、ロシアは、国連安保理にブチャ虐殺事件を調査する【調査委員会】の設立を要求しています。この要求をネグレクトしたのが英国(安保理議長)や米国など西側です。

ブチャ虐殺事件が本当にあったのなら、ロシアが要求しているのだから、【調査委員会】を結成し、ただちに調査すべきだったのです。こういう調査委員会は、時間が問題なのです。迅速に調査しなかったら、具体的な証拠を発見するのが難しくなります。

※何故、英米などは、調査委員会設立に応じなかったのか。まず、この疑問が残ります。

しかし、本文の中に示しているように、満足いく形ではないですが、ブチャ虐殺問題についての調査が行われました。この調査を行ったのは、フランス国家憲兵隊の組織する調査団とウクライナの法医学者の調査団の合同調査です。つまり、ロシアの敵国(ウクライナとNATOの一員)がロシアの行為について調査発表したものです。そして、その調査結果を発表したのも西側メディアです。

だから、わたしは、「ブチャ虐殺事件はどこにいった!」を書いたのです。加害者とされたロシア側が発表したものではなく、被害者とされたウクライナ側とNATOの一員(ロシアの敵国)の調査団が発表したものです。普通こういうものは、自分たちに不利な情報を出したがらないものです。それを勇気をもって公表しているのですから、一定以上の信憑性があると考え、それをもとに書いたのです。

ブチャの大虐殺を行ったのはウクライナ軍である、突然メディアが沈黙した理由: mishajp — LiveJournal
https://mishajp.livejournal.com/6176936.html

現実にこの調査結果が公表されてから、西側メディアで「ブチャの虐殺」問題が急速に報道されなくなっています。日本も同様です。

わたしは、ウクライナ問題について書くとき、ロシアメディアの情報はほとんど参考にしていません。(ロシアメデイア情報は、大半がスプートニックの情報です。https://jp.sputniknews.com

特に戦争情報は何がどうなっているのか、何が真実なのか、戦場で何が起こっているのか、ほとんどの人には分かりません。まして、戦争当事国の軍事情報は秘中の秘。やぶの中です。

わたしは教師生活中、二度ほど学校がひっくり返るような騒ぎに巻き込まれました。後から振り返って見ても、騒ぎの渦中にいた教師一人一人で語る内容が違うのです。当然、巻き込まれた子供一人一人でも騒ぎの認識が違います。情報とは、それほど一人一人によって違うものです。

ましてや戦争情報は、ほとんどは国家が管理しています。ほとんどの情報はバイヤスがかかっていると思わなければなりません。だから、わたしは戦争当事国の情報はあまり信用していません。

米国は戦争当事国ではないではないか、という疑問が返ってきそうですが、わたしはウクライナ戦争における【情報戦】の主役は米国だと考えています。(1)や(2)の疑問を見て下さい。ウクライナ戦争は米国が主役だと言う事を物語っています。

国家の指導者は、何よりも国民に責任を持たなければなりません。ゼレンスキー大統領は、ウクライナ国民の生命・財産を守ることについて、最大の責任者なのです。彼は何よりもウクライナと言う国家の代表者なのです。だから、ゼレンスキー大統領は、ウクライナ戦争を起こした事自体について、他の誰よりも責任があるのです。

しかし、現在彼は欧米諸国の人々が発するSNSでどのように書かれているのでしょうか。下のYouTubeで見てください。
https://www.youtube.com/watch?v=lNSb1XI9M6c
彼の評判はかなりひどいようです。

わたしは「ウクライナ戦争のアフガン化」で、長期間にわたる戦禍でウクライナの復興が難しくなる。アフガンニスタンのような【破綻国家】になる危険性について指摘しました。

ウクライナの復興資金について今の段階では正確な数値は出ないでしょうが、30兆円~50兆円は最低でも必要になると言われています。わたしの推測では、最低でも日本の国家予算規模〈約100兆円〉は必要になると思います。

ウクライナ可哀想!と言うレベルで決定できるレベルの金額ではない金額が必要になるはずです。NATO加盟諸国やEU各国は、その負担に耐えられるのでしょうか。

現実にアメリカのリスク評価機関が、キエフを、非返済ローン組織というごみ箱に格下げしています。世界的には、ウクライナはもはや破綻国家扱いというわけです。

ゼレンスキー大統領は、「武器よこせ!金よこせ!」と叫べば何とかなると考えているのでしょうが、一国の最高責任者はもっとトータルなウクライナと言う国家の未来のグランドデザイインを描いて国民に提示しなければなりません。

ゼレンスキー大統領は、こういう悲惨な結果まで考慮に入れて、ロシアとの外交をやってきたのでしょうか。答えは、NOでしょう。何故なら、ウクライナ東部は2014年以降、戦争状態です。東部2州を独立させようというロシア語を話す親ロシア派勢力とそれを許さないというキエフ政権との間で激しい戦闘が行われてきたのです。

この戦争を停戦させるために結ばれた条約が【ミンスク合意】です。フランスとドイツが関与してやっと合意にこぎつけたものです。これを一方的に破棄したのが、キエフ政権側です。

当たり前のことですが、停戦条約が破棄されれば、また戦争状態に入ります。双方が条約を守って初めて平和的な停戦状態が維持できるのです。これを破棄したのが、ゼレンスキー大統領の方です。

ロシア側の主張では、ロシア系住民に対する民族浄化作戦を開始しようと計画していたので、ロシア系住民保護のために軍事行動を起こしたというのが、言い分です。証拠になる命令書(民族浄化作戦遂行)も今回の侵攻で手に入れている、と言う主張をロシア側はしています。ロシアの一方的侵略という西側諸国の報道とはかなり違います。

このあたりの詳細な報道がなされていれば、日本国内の世論も相当違ってくるのでしょうが、現在のメディア状況では望むべくもないでしょう。

わたしは、その点も含めてロシア侵攻当初からゼレンスキー大統領の政治責任を問うています。

このように冷静に考えれば、戦争が今終わったとしても、ウクライナと言う国家の再出発には想像を絶するいばらの道が待っているのは誰にでも想像がつきます。

しかし、戦争はこれからまだまだ長期化しそうです。米国議会は、6兆円を超えるウクライナ支援を決定しています。

英国のボリス・ジョンソン首相は、ウクライナ国民は最後の1人まで戦う、などという戦前の日本陸軍を彷彿とさせる台詞を吐いています。

英米アングロサクソン連合は、何が何でもウクライナ戦争を続けるつもりです。ゼレンスキー大統領は、英米の狙いに忠実なパペット(操り人形)を演じているとしか思えません。

上のYouTubeでもかなりの怨嗟の声がでているようですので、これから半年1年と戦争が長期化すると、さらに莫大な資金が必要になります。EUや西側諸国はこの負担に耐えられるのでしょうか。

これに加えて、ドイツやEU諸国は、ロシアからの天然ガス・石油に依存しています。今年の冬、ドイツなどのEU諸国は、寒さをしのげるのでしょうか。穀物など食料品も軒並み高騰しています。各国のインフレは酷い水準になっています。

さらに悪いことに、ノルドストリーム1の故障の問題があります。故障修理を請け負っているのは、シーメンス(ドイツ)なのですが、修理に必要な器具をカナダに下請けに出しているのです。

これが経済封鎖にひっかかり、修理ができなくなっています。そのため、ロシアのガスプロムは、7月21日からドイツ向け天然ガス供給をストップすると通告しています。ドイツ政府などが懸命に努力し、部品の提供ができるようになろうとした矢先、ゼレンスキー大統領がロシアを利すると反発、猛烈な批判をしました。

まあ、自分の国に膨大な援助をしてもらっているドイツの国家的危機に対して批判をするのですから、あなたは何者なんだ、という話です。わたしなら「いい加減にしろ!」と怒鳴りたくなります。ゼレンスキー大統領には自分はお前たちのために戦争してやっているんだ」という思いがあるのかもしれません。

しかし、ドイツやEU各国の国民はそんな事は知りません。ウクライナが可哀そうなんで、天然ガスや石油の高騰は我慢します。私たちも不便な生活に耐えます、とは、簡単になるとは思いません。上のYouTubeでの怨嗟の声も理解できるというものです。

EU諸国の国民はいつまでウクライナのために自己犠牲をはらうのでしょうか。

同時に、これはウクライナ支援に狂奔している日本も例外ではありません。サハリンの天然ガス採掘から日本が追い出されたら、日本国内の都市ガスやLPGなどが相当値上がりします。

まあ、ウクライナ可哀想で、そんな事は我慢します。“欲しがりません。勝つまでは”。何でも我慢します、というのなら、それも一つの選択肢でしょう。

もう一つ指摘しておかねばならないのは、“北方領土返還”はこれで諦めねばならないでしょう。ロシアからすれば、日本は明確に敵についたと認識しているでしょう。

さらにほとんどの国民が認識していないのですが、いまだに日本は、国連で「敵国条項」の適用の扱いを受けているのです。

旧敵国条項  旧敵国条項とは - コトバンク (kotobank.jp)
『第2次世界大戦中に連合国の敵であった枢軸諸国(日独伊など)を対象に、安全保障面で特別の過渡的規定を盛り込んだ国連憲章第107条及び53条の別名。憲章には武力行使の禁止(第2条4項)や集団的武力行使権限の安保理への集中化(第42、46、48条など)などの規定があるが、第107条によれば、旧敵国に対する行動に関する限り、旧連合国はそれに拘束されない。つまり、「第2次大戦の結果としてとる行動」の範囲内(例えば再侵略の防止)である限り、旧敵国に対して自由な武力行使が可能である。同じく第53条は、地域的取極(とりきめ)(軍事同盟など)が強制行動(侵略の撃退など)を起こす際にも、本来ならば必要な安保理の許可が、旧敵国に対する措置である限りは不要とするもの。』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ロシアも中国も安全保障理事国です。ロシア・中国は、日本に対して武力行使を行う事を自由にできる(例;再侵略の防止など)のです。例えば、台湾有事に対してもし自衛隊が介入でもしたら、中国は国連決議などなしに自由に日本を攻撃できるのです。もちろん、ロシアも同様です。

絶対的平和主義の立場から言えば、どんな戦争も否定しますが、そんな理想主義が地球上に定着するのは、夢のまた夢でしょう。

マルクスの夢だった国家消滅もこれまた夢に近いのです。であるとするならば、為政者は、まず自国民を平和で飢えず、安全な生活を送らせるための方策を全身全霊を傾けて構築しなければなりません。

わたしはゼレンスキー大統領はその部分が欠落しているように思えてならないのです。どれだけの国土が荒廃し、どれだけの国民が生死の境に放り込まれているのか、どうしたら戦争を止め停戦を実現できるのか。血を吐くような努力を積み重ねても簡単に実現できるものではないのです。

何度も言うようですが、「ミンスク合意」を破棄しなければ、現在の悲惨な状況はある程度回避できたのです。最高権力者は、常に最悪を想定できる想像力と最悪を回避する実践力といつでも自らを捨て去ることのできる「自己犠牲」の精神が必要です。

わたしはウクライナ国民のためにも、ゼレンスキー大統領には、すべてのしがらみを断ち切って、一刻も早い停戦を決断する事を望んでいます。

「護憲+BBS」「コラムの感想」より
流水

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