いよいよ、新型コロナウイルスの脅威が深刻になってきた。
「新型コロナウイルス騒動と緊急事態条項必要発言!」でも指摘したが、安倍政権には緊急事態に対応する「準備」も「気構え」も「能力」も欠落している事が、ますます明らかになっている。
具体的な危機に対処できない無能な政権とか組織、危機に対処する準備も心構えも度胸もない無能な人間ほど自らの「無謬性」を語りたがる。
そういう組織とか人間が「緊急事態法」に規定されるような絶対的権力を手に入れた場合に起きるのは、自らを批判したり非難したりする人間や組織に対する弾圧しかない。何故なら、科学的・合理的・論理的に「エビデンス」に基づいて、他者を説得し、納得させる事のできない組織や人間が、自らの正統性を誇示できるのは、力による弾圧しか残されていないからだ。
さらに言えば、道徳性や倫理性が全く欠落した組織や人間が権力を持てば、どれだけの被害が他者に加えられるか。ナチスドイツや戦前の日本、世界の独裁国家の弾圧を見れば明らかである。
今回の新型コロナウイルス感染問題の深刻さは、2月10日の習近平氏の北京での演説に端的に表明されている。
中国と言う国は、何はさておいても、経済成長を重視する。経済の成長こそが、中国指導部の権力の源泉。彼らは、経済成長を軽視するなどと言う行為は決して取らない。
習近平氏は、「ウイルスの現状は非常に厳しく、予防・制御策は膠着した状況が続いている」と述べ、現在の中国の体制(4億人の封鎖体制と言われている)を継続する、と述べた。彼はまたこのウイルスとの戦いを【人民戦争】とも述べている。毛沢東の言葉を語る事で、中国国民の「愛国心」を鼓舞したのであろう。
つまり、習近平氏は、経済成長の鈍化、減速に目をつぶり、ウイルス対策に全力を傾注すると述べている。
この演説の意味するところは、きわめて重要。習近平氏は、今回の新型コロナウイルス(武漢ウイルス)の撲滅の困難さを語っている。そして、現在中国が行っている「4億人封鎖体制」でも、コロナウイルスの撲滅がきわめて難しいという現実を問わず語りに語っている。それだけ、今回の新型コロナウイルスの脅威は深刻だと言う事である。
現に、昨日、中国の武漢ウイルス対策の中心人物は、2月中旬から3月にかけてが流行のピーク。その後、高止まりしたまま徐々に減少すると述べた。つまり、これからが本番と言う事である。
そう考えると、クルーズ船(ダイヤモンド・プリンセス)一隻の隔離ですら満足にできない現在の安倍政権のウイルス対策のお粗末さが浮き彫りになってくる。
中国政府だからできる「4億人封鎖体制」でも収束が簡単ではないのに、クルーズ船一隻の対応もままならない日本政府の能力で、本当に新型コロナウイルス対策ができるのか。不安になるのは私だけではないだろう。
それほど、今回の「新型コロナウイルス」の対応、特に横浜港に停泊している「クルーズ船」に対する対応は、目を覆わんばかりの酷さである。
2月13日の米紙(名前は失念)に日本政府の対策を「決してやってはならない対策の見本」として酷評していたが、世界基準からすれば、そうなるのだろう。
🔷「クルーズ船」乗客・乗員に対する【PCR検査】がなぜできないのか。
政府の説明は、PCR検査(遺伝子検査)にかかる時間と人員とキットの不足や薬品の不足などの理由でできないと言っているようだが、民間では、現在でもどんどんPCR検査を行っている。C型肝炎などの検査で日常的に使用されている。
今日(2/13)の「そもそも総研」で玉川キャスターは、民間での検査は、可能であるという調査結果を発表していた。民間の検査機関を利用すれば、乗客・乗員全部(3,700名)のPCR検査は可能。田村元厚生労働大臣もPCR検査は十分できると言っている。
🔷現実は、もはや、政府の検査マニュアル(湖北省縛り)が役に立たない事を示しているのに、なぜそれに固執するのか。
① 民間検査を実施すると、ウイルス感染者が増加。そうなると、検査費用の保険適用を考えざるを得なくなる。厚生労働省はそれが厭なのだろう。
② ウイルス検査を拡大すると、感染者が飛躍的に増加すると考えられる。⇒陰圧室を備えた指定病院だけでは対応できない。⇒一般病院を開放する以外ない。⇒社会的パニックが起きる可能性⇒世界的に報道⇒オリンピック中止の可能性が出てくる(★これだけは何が何でも避けたい)
③ 安倍内閣で、感染症対策などの予算・人員を削減してきたつけが回っている。10年間で1/3に削減。大学予算、基礎研究予算などの削減と同様、安倍内閣における日本破壊の結果が露呈している。
https://news.nicovideo.jp/watch/nw6572195
米国のCDC関連の人員は、約14,000人強 予算は、米国は8000億円強
https://globe.asahi.com/article/11529907
日本の国立感染症研究所 378人 予算 64億円
一目瞭然。こんなお粗末な人員と予算で今回のような事態に対応できるわけがない。
感染爆発(パンデミック)の恐ろしさは、現在の中国を見れば良く分かる。感染爆発がどのように進展していくか。この典型的なモデルが、現在クルーズ船の中で起きている事態だ。
これが東京都で起きたらどうなるのか。こういう想像力を欠いた政治家や役人どもが、国立感染症などの予算を削減し続け、現在のような無残な事態を招いている。
世界的に感染症の脅威が叫ばれているにも関わらず、人員と予算を削減し続けた結果が、今回のお粗末な対応に現れている。口を開けば「安全保障」と嘯く安倍政権の危機管理認識が、この程度のお粗末さ。これが、感染症対策にかける費用と人員の落差に象徴されている。
米国のCDCは、感染症対策などは、完全な安全保障問題として考えている。現代の安全保障問題は、何も軍備だけに限ったものではない。ここでも無能政権のお粗末さが見て取れる。
🔷世界のコロナ・ウイルス(武漢ウイルス)対応
① 中国からの入国者に厳しい対応⇒米国・ロシア・北朝鮮など
② 中国からの入国者全てでなく、湖北省とか浙江省などに限定する対応⇒日本などアジア諸国
先の習近平の発言を考えると、この危険なウイルスの本質を見抜く能力と果断な対応を取った①の国々が正しかった、という結論になりそうである。
たしかに、クルーズ船の国籍は「アメリカ」、船長は「英国人」。クルーズ船船内の指揮権は「船長」にある。こういう難しさはある。ただ、日本国領域に入っているのだから、日本の法律に従わなければならない。
●クルーズ船内⇒閉鎖空間。しかも、食事・イベントなど、日常的に【濃厚接触】が行われている。ウイルスに感染する危険性はきわめて高い。⇒かなりの感染者がいると考えるのが至当。
●クルーズ船の乗客⇒金銭面・日数などを考えても、リタイヤ―した高齢者が多い。⇒体力的には、あまり強靭ではない。⇒中国武漢の実態を踏まえると、感染すれば、重篤になる可能性が高い。
🔷船内に隔離するとは
① まず、感染者を明確にして、感染者を船外に搬送。入院。加療させる。⇒「全員検査」が必須条件。
② 次に、飛沫感染や接触感染、排せつ物感染、などを防ぐ体制を確立する⇒マスク・手洗い・手袋(接触感染を防ぐ)・トイレ清掃の方法の徹底=情報の共有(正しく恐れる)
③ クルーズ船乗客・乗員の食事管理⇒三食・飲み物などの確保と配給
④ 隔離された人々の体調管理をどうするか。・肉体的・精神的ストレスの緩和。・持病を発病させないようにどうするか。(薬の管理)(メンタルヘルスの配慮)
⑤ 船内の客室ごとの格差による問題点をどう克服するか。特に、乗員の環境(寝室など)をどう改善するか。乗員が一番感染するリスクが高い⇒窓がない。換気の問題。他人と同じ部屋に寝起きする問題。
⑥ クルーズ船内の医師不足(基本1名ないし2名)にどう対処するか。それと、医療室不足の問題の解決。医薬品の確保。医療機器や備品(体温計などを含む)の確保
⑦ 情報の伝達をどうするか⇒このような閉鎖空間に入った場合、人は必ず情報を求める。情報弱者ほど、パニックに陥る可能性が高い。情報不足ほど精神的ストレスはない。⇒正しい情報の伝達は、集団の安心と秩序を回復する。
⑧ 乗員の精神的安定こそ乗客の精神的安定につながる⇒乗員から「コロナ・ウイルス検査」を行うくらいの配慮が必要⇒「わたしたちは陰性。安心してサービスを受けてください」⇒乗客の安心。
⑨ こういう隔離政策を実践する場合、徹底的な事前準備と緻密な実行計画を決めなければならない。
★病院の確保 ★宿泊施設の確保(船から降ろした場合を想定しておく)★医師・看護師の確保★医薬品や医療機器などの確保★検査機関や検査キットの確保★水・食料や日用品の確保★乗客・乗員に伝える情報の準備★乗員・乗客の情報の精査★政府や各省庁での情報の共有★乗客・乗員の出身国への外交的折衝など。
🔷水際作戦の不毛
ざっと考えただけでも、上記の程度の問題点をどう解決するかの腹案を以て、「乗客乗員全員隔離」の手段を断行しなければならない。水際作戦とは、そういうものである。
感染症やパンデミックなどの専門家に言わせると、そもそも当初政府が叫んだ【水際作戦】などは、不可能だし、意味がないと言っている。それが世界各国の常識だそうだ。
・・ 我が国の危機管理体制 〈感染症対策を例にして〉木村もりよ・・
http://j-strategy.com/forum/2539
水際作戦が不毛だとしても、水際作戦をやらざるを得ないとするならば、どうしたら良いのか。
わたしなら、まず、「クルーズ船」のすぐ傍に政治家や官僚が大好きな【対策本部】を設置して、現場の責任者や要員を派遣する。そうする事で、クルーズ船の乗員・乗客に安心感と緊張感を与え、政府の本気さを印象付ける。
そして、全ての指示を一元化し、クルーズ船の船長と協議・連携し、迅速・果断に具体的な指示を出さなければならない。指揮命令系統が複数の場合、どの指示・どの命令に従えば良いのか、下の者は迷う。結局、あらゆる手が中途半端になり、全てが手遅れになり、問題を大きくしてしまう。こういう危機的状況の場合、指揮命令系統の一元化は、必須条件である。
さらに、「対策本部」の設置は、政府の本気度を「可視化」できる。「可視化」というものは、国民の信頼度を高める。ましてや、今回の場合は、日本のみならず、世界的な関心事。政府の対策の「可視化」と「情報の公開」は必須条件。これが【信頼】を生む。こういう緊急事態の場合、最大の助力は【国民の信頼】である。危機管理のイロハのイだろう。
さらに対策本部の傍らに、野戦病院を大きくしたテントを張り、自衛隊の医師など200名程度動員し、看護師も動員。乗客乗員全員の診察とコロナウイルス検査を実施すべきだと考える。医師1名が15人程度の検査をすればよいので、最長でも2~3日で終える事ができる。法的な問題(上陸したかどうかなど)は、屁理屈が上手な官僚に考えさせれば良い。いつもは平気で法律違反をする連中である。ちゃんとした理屈を考えるだろう。
たとえ、その場しのぎの対策であっても、今回のような【感染症】対策は、時間が全てを決定する。【先手必勝】こそが緊急事態対応の要諦。こういう場合には、「理屈は後からついてくる」という信念で、できる限りの政策を打たなければならない。リーダーは、“全ての責任は俺が取る”と言い切って、部下を思う存分働かせなければ、何もできない。
今回の政府の対応のように、後手・後手を踏んでは、問題を拡大するだけである。
本当は、こういう場合を想定して、上記の米国CDC(アメリカ疾病予防管理センター※)のような全ての施設と人員と予算を持ち、全ての法的障害をクリアーした「法」を準備しておくのが、政治というものである。
※CDC アメリカ疾病予防管理センター ‥ウィキペディア・・
https://ja.wikipedia.org/wiki/アメリカ疾病予防管理センター
「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
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