子供が実写フィルムを見て 歓声を上げている
皆 他人事みたいな顔で 人が死ぬ場面を見てる
怖いね、と振り返れば 番組はもう笑いに変わっていた」
これは、さだまさしさんが1982年12月に発表したアルバム「夢の轍」に収録されている「前夜~桃花鳥~」の歌詞の一部である。「桃花鳥」とは絶滅危惧種のトキで、学名の「ニッポニア ニッポン」を当て字にしている。別の一節には、こうある。
「そうだね いやな事すべて切り捨てて
こんなに便利な世の中になったし」
私にはこの詩が当事者意識に欠ける世情を嘆き、「大切な物事から目をそらすな」とメッセージを発しているように聴こえた。時代背景として、1979年にはロシア(旧ソビエト)によるアフガニスタン紛争が始まり、1982年にはフォークランド紛争が起きている。
そして2022年10月31日、渋谷の駅前で大勢の人々がハロウィン仮装で大騒ぎしているとき。ウクライナではロシアの侵略を防ぎ、領土を取り戻すために命を懸け、爆風に晒されている人々がいる。遠い国での戦争でありながら、リアルな情報が刻一刻とネットやテレビで伝わる。
その日本は、旧統一教会問題で政治を論ずる資格がない政治家であふれる政府自民党が国民に危機感をバラまき、世論を煽って防衛費の大幅な増額を画策している。
一方で、LGBTを含めた差別発言を繰り返して人権意識に乏しく、伊藤詩織さんへの名誉棄損で有罪になった杉田水脈を、岸田総理は政府の要職・総務大臣政務官に居座らせたままでいる。さらに、東京五輪の贈収賄事件と底の見えない黒い金脈疑惑が現政権に追い打ちをかける。
国民感情よりも党内派閥に配慮し、安倍晋三の国葬を強行した岸田総理。こんなことを続ければ、内閣支持率が急落すると思い浮かばなかったのか。あまりにも視野が狭すぎる・・・しかし、哀れだとも思う。今まさに、彼は安倍晋三の亡霊とアベトモダチの麻生太郎に翻弄されているのである。
旧統一教会と政治の関係を長年仕切ってきたのは、岸家×安倍家の政治家一族だった。オリンピックを「国威掲揚」と強引に誘致した石原慎太郎も問題児だったが、それに輪をかけて「フクシマはアンダーコントロール」と大嘘をつき、東京五輪開催に関わる暗部を隠したのは安倍晋三。そして、ネトウヨ思想の杉田水脈は安倍晋三のお気に入りである。
さらに言えば、財務省職員・赤木さんの尊い命を奪った公文書改ざん問題も安倍晋三への忖度と「知らねぇなぁ~」の無責任男・麻生太郎絡みである。一説には、安倍晋三の国葬をゴリ押ししたのも麻生太郎と言われている。
こうした安倍晋三&オトモダチのしがらみを、岸田総理は断ち切ることができるのか。いや、こうなればドロドロに引きずり、のたうち回り、内閣支持率を10%以下まで落としてほしい。そうなれば、黒を白にする政治に慣れてしまった国民もさすがに自民・公明党を断ち切り、頼りない野党のほうがマシだと気づくのではないか・・・と思いたい。
「護憲+コラム」より
猫家五六助