元毎日新聞記者の西山太吉氏と佐高信氏の対談本を読みました。
西山氏は毎日新聞政治部のエース記者でありながら、1972年、沖縄返還に伴う佐藤政権とアメリカの密約を暴きスクープしたために、国家機密を漏洩した外務省職員の女性と共に逮捕されてしまったのです。
西山氏は政府の機密資料「沖縄返還密約文書」を日本でただ一人、取材の形でスクープしたジャーナリストでした。しかし社会は西山氏と外務省職員の関係を週刊誌等が書きたて「情を通じ」という判決文にあった言葉が独り歩きして、男女のスキャンダルにすり替えてしまいました。
外務省職員を利用してスクープをものにしたとされる西山氏に対する非難の嵐が社会を席巻して、毎日新聞は購読者が激少し倒産の危機にさらされました。「密約」という国家機密は、時の政権が「なかった」と言い張り、あったのかなかったのか うやむやのままに月日は経ちました。
しかしアメリカの公文書が50年振りに開示されその存在が明らかになったのです。それでも「 密約はなかった」と言い張る政府側の言い逃れは今でも続いていています。しかも今でも沖縄の米軍基地諸費用、 撤退する時の費用など、思いやり予算も、私達の税金の中から延々と支払っているのです。
当時マスコミが男女の事件にすり替え肝心の「沖縄密約」についてはあいまいなまま月日だけが流れて行きました。西山事件は戦後の昭和史の中で埋もれたり忘れてはいけない事件だと思います。
この当事の記者達は、夜討ち朝駆けと言われて、取材対象の懐深く入り込んでスクープをものにしていました。西山氏はスクープを取るためなら手段をえらばない恥知らずと非難の嵐の中で毎日新聞を退社しフリーのジャーナリストとして活路を見出そうとしましたがそれは平坦な道ではありませんでした。
そして彼は残り少ない人生を顧みて、このままではいけないと名誉回復の訴訟に踏み切ります。アメリカの公文書開示により西山氏が名誉回復の裁判を起した時、事件当時は北米局長だった吉野文六氏が証言台に立ち「密約」の存在を認め、国家の嘘を暴きました。裁判は一審で西山氏が無罪を勝ち取ったものの、高裁、 最高裁では有罪の判決が下されました。
西山氏の名誉回復は成される事なく、この本を出版した直後、91歳で亡くなりました。太平洋戦争末期に重要書類を焼却したり必要な証拠を破棄したりしたのが再び繰り返されたのです。いや、現在も森友・加計事件の様にあった事をなかった事にしようとする力が働いています。
更に東京オリンピックを多くの国民の反対を押し切り強行開催して、次々と出て来るオリンピックに伴う汚職の数々、隠蔽と破綻。それを後押しするマスコミ。捻じ曲げて全く違う事にすり替えてしまうマスコミ。その姿は今も変わってはいません。東京オリンピック2020で私達国民に何か良い事があったでしょうか。あの頃テレビは散々オリンピックという祭りを煽っていましたね。
私は金子みすゞの 「大漁」という詩を思い出しました。
大漁(たいりょう)
朝焼小焼(あさやけこやけ)だ
大漁(たいりょうだ。
大羽鰮(おおばいわし)の大漁だ。
浜(はま)はまつりの
ようだけど
海のなかでは
何万(なんまん)の
鰮(いわし)のとむらいするだろう。
金子みすゞ詩集より引用しました。
「護憲+コラム」より
パンドラ
西山氏は毎日新聞政治部のエース記者でありながら、1972年、沖縄返還に伴う佐藤政権とアメリカの密約を暴きスクープしたために、国家機密を漏洩した外務省職員の女性と共に逮捕されてしまったのです。
西山氏は政府の機密資料「沖縄返還密約文書」を日本でただ一人、取材の形でスクープしたジャーナリストでした。しかし社会は西山氏と外務省職員の関係を週刊誌等が書きたて「情を通じ」という判決文にあった言葉が独り歩きして、男女のスキャンダルにすり替えてしまいました。
外務省職員を利用してスクープをものにしたとされる西山氏に対する非難の嵐が社会を席巻して、毎日新聞は購読者が激少し倒産の危機にさらされました。「密約」という国家機密は、時の政権が「なかった」と言い張り、あったのかなかったのか うやむやのままに月日は経ちました。
しかしアメリカの公文書が50年振りに開示されその存在が明らかになったのです。それでも「 密約はなかった」と言い張る政府側の言い逃れは今でも続いていています。しかも今でも沖縄の米軍基地諸費用、 撤退する時の費用など、思いやり予算も、私達の税金の中から延々と支払っているのです。
当時マスコミが男女の事件にすり替え肝心の「沖縄密約」についてはあいまいなまま月日だけが流れて行きました。西山事件は戦後の昭和史の中で埋もれたり忘れてはいけない事件だと思います。
この当事の記者達は、夜討ち朝駆けと言われて、取材対象の懐深く入り込んでスクープをものにしていました。西山氏はスクープを取るためなら手段をえらばない恥知らずと非難の嵐の中で毎日新聞を退社しフリーのジャーナリストとして活路を見出そうとしましたがそれは平坦な道ではありませんでした。
そして彼は残り少ない人生を顧みて、このままではいけないと名誉回復の訴訟に踏み切ります。アメリカの公文書開示により西山氏が名誉回復の裁判を起した時、事件当時は北米局長だった吉野文六氏が証言台に立ち「密約」の存在を認め、国家の嘘を暴きました。裁判は一審で西山氏が無罪を勝ち取ったものの、高裁、 最高裁では有罪の判決が下されました。
西山氏の名誉回復は成される事なく、この本を出版した直後、91歳で亡くなりました。太平洋戦争末期に重要書類を焼却したり必要な証拠を破棄したりしたのが再び繰り返されたのです。いや、現在も森友・加計事件の様にあった事をなかった事にしようとする力が働いています。
更に東京オリンピックを多くの国民の反対を押し切り強行開催して、次々と出て来るオリンピックに伴う汚職の数々、隠蔽と破綻。それを後押しするマスコミ。捻じ曲げて全く違う事にすり替えてしまうマスコミ。その姿は今も変わってはいません。東京オリンピック2020で私達国民に何か良い事があったでしょうか。あの頃テレビは散々オリンピックという祭りを煽っていましたね。
私は金子みすゞの 「大漁」という詩を思い出しました。
大漁(たいりょう)
朝焼小焼(あさやけこやけ)だ
大漁(たいりょうだ。
大羽鰮(おおばいわし)の大漁だ。
浜(はま)はまつりの
ようだけど
海のなかでは
何万(なんまん)の
鰮(いわし)のとむらいするだろう。
金子みすゞ詩集より引用しました。
「護憲+コラム」より
パンドラ