働き方改革関連法ノート

厚生労働省の労働政策審議会(労政審)労働条件分科会や労働基準関係法制研究会などの議論に関する雑記帳

労働者範囲拡大を連合会長は求めたが岸田首相は無視

2023年11月06日 | 雇用類似の働き方
新しい資本主義実現会議(第23回)芳野連合会長発言
第23回 新しい資本主義実現会議(議長は岸田文雄内閣総理大臣)が、2023年(令和5年)10月25日に総理大臣官邸会議室で開催された。議事は(1)供給サイドの強化の在り方(省人化投資、高齢者就労の活性化、リ・スキリングを含む)、(2)コンテンツ産業の活性化(アニメ・ゲーム・漫画・映画・音楽・放送番組等)。

新しい資本主義実現会議(第23回)議事要旨によると、芳野連合会長は「連合はこれまで文化芸能芸術分野で活躍されているフリーランスの方々と意見交換を重ね、課題の把握に努めてきた。コンテンツ産業に限らず、多くのフリーランスは発注者に対し弱い立場にあり、長時間にわたる就業時間の削減をはじめとする環境整備や報酬の引上げが重要課題となっている。来年(2024年)施行予定のフリーランス新法は、フリーランスの契約適正化には一定程度の効果が見込まれるが、フリーランス保護策についてはさらなる施策の強化が求められる」と発言している。

また、芳野連合会長は「特に1985年以降改正がなされていない『労働者性の判断基準』を見直し、労働者の範囲を拡大することは、この業界を含め、請負契約で働く者の保護に必要不可欠である。あわせて、コンテンツ産業だけでなく、日本で就業・就労しているフリーランスや労働者が公正に適正に評価され、安定した就業環境と創造性を発揮しやすくする場をつくる必要があり、政府にはこうした支援策を強化していただきたい」と述べている。

このように芳野連合会長は、労働者性の判断基準を見直して労働者の範囲を拡大すること、つまり労働基準法などの労働法における労働者定義の拡大を政府に求めている。

この芳野連合会長の発言後、武見厚生労働大臣、盛山文部科学大臣、新藤新しい資本主義担当大臣、岸田内閣総理大臣が発言しているが、労働者性の判断基準を見直して労働者の範囲を拡大すること、労働基準法などの労働法における労働者定義の拡大することには全く触れられていない。

芳野連合会長の「労働者性判断基準見直し」「労働者範囲拡大」という提言は完全に無視された。それで連合会長が委員として新しい資本主義実現会議に参加する意味があるのだろうか.........。

第23回 新しい資本主義実現会議議事要旨(PDF)


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