働き方改革関連法ノート

労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)や厚生労働省労働基準局などが開催する検討会の資料・議事録に関する雑記帳

つながらない権利 テレワーク就業規則規定例

2021年03月09日 | つながらない権利
「つながらない権利」とは
「つながらない権利」(right to disconnect)とは、「労働者が勤務時間外には仕事のメールや電話などへの対応を拒否できる権利」(ウィキペディア)のことですが、フランスなどでは法制化されている。

日本では、昨年(2020年)12月25日、厚生労働省が公表した「これからのテレワークでの働き方に関する検討会報告書」に次のように記載されている。

フランスでは、労使交渉において、いわゆる「つながらない権利」を労働者が行使する方法を交渉することとする立法が2016年になされ、「つながらない権利」を定める協定の締結が進んでいる。

テレワークは働く時間や場所を有効に活用でき、育児等がしやすい利点がある反面、生活と仕事の時間の区別が難しいという特性がある。このため、労働者が「この時間はつながらない」と希望し、企業もそのような希望を尊重しつつ、時間外・休日・深夜の業務連絡の在り方について労使で話し合い、使用者はメールを送付する時間等について一定のルールを設けることも有効である。

例えば、始業と終業の時間を明示することで、連絡しない時間を作ることや、時間外の業務連絡に対する返信は次の日でよいとする等の手法をとることがありうる。

労使で話し合い、使用者は過度な長時間労働にならないよう仕事と生活の調和を図りながら、仕事の場と私生活の場が混在していることを前提とした仕組みを構築することが必要である。


テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(案)
厚生労働省は「これからのテレワークでの働き方に関する検討会報告書」を踏まえて、テレワークに関する新指針案「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(案)」を策定した。

厚生労働省・労働政策審議会(雇用環境・均等分科会)が2021年3月4日に開催されたが、議案(3)は「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドラインの改定について(報告)」とされており、厚生労働省が策定した「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(案)」が資料として労働政策審議会(雇用環境・均等分科会)に配布された。

この「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(案)」には、「つながらない権利」に関する事項としては次のように記載されている。

テレワークにおいて長時間労働が生じる要因として、時間外等に業務に関する指示や報告がメール等によって行われることが挙げられる。

このため、役職者、上司、同僚、部下等から時間外等にメールを送付することの自粛を命ずること等が有効である。メールのみならず電話等での方法によるものも含め、時間外等における業務の指示や報告の在り方について、業務上の必要性、指示や報告が行われた場合の労働者の対応の要否等について、各事業場の実情に応じ、使用者がルールを設けることも考えられる。
このテレワークガイドライン(案)に対して分科会委員から意見・質問が相次いだとされるが、今後、厚生労働省が各都道府県労働局長に対して通達(通知)されることになっている「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」に「つながらない権利」が明確に記載されるかどうか注視すべきだと思う。

なお、連合は「テレワーク導入に向けた労働組合の取り組み方針」を策定して「つながらない権利」についても言及されている。

テレワーク導入に向けた労働組合の取り組み方針(PDFファイル)

「つながらない権利」テレワーク就業規則(在宅勤務規程)
連合は昨年(2020年)9月に「テレワーク導入に向けた労働組合の取り組み方針」を策定。「つながらない権利」獲得に向けて、時間外や休日、深夜のメールを原則禁止するとした。そしてモデルとなるテレワーク就業規則(在宅勤務規程)も作成している。

<つながらない権利 就業規則(在宅勤務規程)例>
第〇条(つながらない権利(勤務時間外の連絡))
1 会社は勤務時間外の従業員に対し、緊急性が高い場合を除き、電話、メール、その他の方法で連絡等を行わない。
2 従業員は、勤務時間外の別の従業員に対し、電話、メール、その他の方法で連絡をしてはならない。ただし、緊急性の高いものはこの限りではない。
3 勤務時間外の従業員は、会社または別の従業員からの電話、メール、その他の方法による連絡について、応対する必要はない。
4 会社は、会社または別の従業員からの電話、メール、その他の方法による連絡に応対しなかった従業員に対して、人事評価等において不利益な取扱いをしない。


つながらない権利 新たなテレワーク労働時間管理(働き方改革関連法ノート)

追記:厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」公表
厚生労働省は、現行のテレワークガイドライン(指針)「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」を「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(指針)に改定し、本日(2021年3月25日)公表。

テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(厚生労働省)


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