黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

煉瓦温室の廃墟

2009-06-18 05:21:08 | 産業遺産
仕事で湘南へ行きました。
早めに仕事は切り上げて、かねてより撮影しておきたかった、
江ノ島のサムエル・コッキング苑へ。
サムエル・コッキング苑は南国系のさまざまな植物が育つ植物園ですが、
といっても別に植物に興味があるわけではなく、
目的は園内に残る煉瓦温室の廃墟です。



ポンペイの廃墟、といったらかなり言い過ぎですが、
園内の一角に大規模な煉瓦温室の廃墟が残っています。
サムエル・コッキング苑は、明治15年 [1882] に、
アイルランドの貿易商サムエル・コッキングさんによって建造された、
国内で3番目に古い植物園。



その後園内に煉瓦造りの温室が建造されるも、
関東大震災で崩壊。
昭和24年 [1949] の植物園改修の際に、
地中に埋められてしまった温室の基礎が、
平成14年 [2002] の改修で発見され、公開にされることになった、
現存唯一の煉瓦温室の廃墟です。



地下空間はたまに公開されるようですが、
この日は偶然開いていたので見学が出来ました。
地下通路はボイラー室と貯炭庫へ続いているようです。





地下通路へ入ってみると、
右側の壁にくりぬかれたスペースがありますが、
案内板によると水性の植物を飼育していた水槽だそうです。





地下通路はTの字型になっていて、
更に奥へ進むとボイラー室と貯炭庫があります。
煉瓦壁に群生するシダがいい感じです。





暗いトンネルの更に先にある貯炭庫。
左側の壁面が黒いのは石炭の煤の跡でしょうか。

ここに石炭を備蓄し、隣のボイラー室で蒸気を作っては、
園内に張り巡らした鉄管や鉛管を通し、
温室全体を24度に保っていたそうです。
天井にあいた穴は、石炭を庫内に投入する窓。
ここから石炭を落としては蓄え、
ボイラーを炊き続けたんですね。



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4 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
まさに遺跡 (Nylaicanai)
2009-06-18 07:02:52
煉瓦というのが良いですね。
しかし、こういう風に植物園を利用する人は少ないでしょうね(^^ゞ
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おお、これが (えいはち)
2009-06-18 11:33:53
去年教えていただいたサムエル・コッキング苑の煉瓦温室ですか。
これは是非とも見に行かねば。
猿島とセットにすれば煉瓦廃墟三昧になりそうですが、時間的に厳しいかな…。
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▼Nylaicanaiさんへ (廃墟徒然草)
2009-06-19 05:18:39
煉瓦といっても基礎だけで、
温室全体が煉瓦だったら、
相当重い感じですよね。

普通植物園にはこんな遺構はないので、
ここは特別だと思いますが、
周囲にはかなりベンチが設置してあって、
けっこうほげ~っと眺めてるカップルとかもいますよ(^.^;)
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▼えいはちさんへ (廃墟徒然草)
2009-06-19 05:23:17
そうですそうです、これがサムエルさんの温室跡です。

猿島とのセットは、ちと厳しめでは…(^ ^;)
猿島だったらせめて観音崎とかあたりがいいんではないでしょうか。

江ノ島行ったら、
岩屋洞窟(富士山まで繋がってるっていうB級スポットですね)とか見て、
サザエつまみながら一杯、
夕方はエノスパ温泉につかりながら、
沈み行く夕日を堪能する、
なんて感じはどでしょかね。




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