黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

廃線:鶴見線石油支線 #11

2005-12-28 07:11:46 | 鉄道遺産


神奈川県の京浜工業地帯に残る変わった名前の廃線<石油支線>。
その見学も終点まできました。
といっても1km足らずの支線、
更に車止めからは500mにも満たない極めて短い路線ですが。

浜安善駅の先に続く線路は、
橋本産業の敷地内へ吸い込まれるように入っていき、
敷地内の小さな車止めのところで終わっていますが、
やはりレールとは釣り合いのとれない、
綺麗な転轍機がきになります。



上画像近辺から後ろを振り返ると、
浜安善駅と今来た石油支線の軌道が一望できます。
広角気味のレンズで撮影しているので、
小さくはなってしまっていますが、
一直線に伸びる石油支線は、
この一枚の画像の中にほぼ全線写りこんでいます。



横浜市の都市計画マスタープランというのを見ると、
空洞化した工場跡地にはゲノム総合開発研究所など、
生産工場から研究開発工場への変換に力を入れているらしく、
「横浜サイエンスフロンティア地区」としての再生を夢みているようです。
同時に住民に開かれた土地にしようと、
さまざまなレクリエーション施設の建設や計画も進んでいるようです。

鶴見線はというと、
浜川崎駅から東に延びるJR東海道線支線(貨物線)
#02の路線図 参照)
を再利用した環首都圏旅客線の計画などが進んでいるそうです。
この貨物線は、川崎の工業地帯を通過し、
羽田近辺の海底を経由して
大井埠頭の東京貨物ターミナルへ通じる路線ですが、
これが完成すると、
京葉工業地帯とお台場そして京浜工業地帯が1本で繋がることになります。

工場地帯に砂浜を造り、
産業とレジャーを一体化させようとした浅野総一郎氏の野望が、
約1世紀経った今やっと、
行政などを中心に実現にむけて動き出したということでしょうが、
京葉線+りんかい線の全線開通が、
京葉貨物線構想から実に30年以上経ってのことのように、
この京浜臨海線の開通も、
気の遠くなる先の話なのかもしれませんね。

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■シリーズ:鶴見線石油支線■
・#01 鶴見駅・本山駅
・#02 鶴見線・安善駅
・#03 安善駅踏切・浅野総一郎
・#04 米軍油槽基地
・#05 安善橋・鶴見線の駅名
・#06 車止め・昭和10年の沿線案内
・#07 踏切・戦後の鶴見線
・#08 ヤード跡・安善町の石油会社
・#09 石油埋立地の意味
・#10 浜安善駅・京浜の発展と衰退
・#12 最終回
 


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